画像1: 【2023年版】ファミリーカー人気ランキング&使い方別おすすめ20台を車の専門家が徹底解説

ひと口に「ファミリーカー」といっても、最近は「ミニバン」や「SUV」「スーパーハイトワゴン」など、そのボディタイプやキャラクターはさまざまです。そんな中から“どれ”を選べば、私たちの毎日の生活はより豊かで楽しいものになるのでしょうか?最新の「ファミリーカー人気ランキング」を発表するとともに、専門家が豊富な実例を交えて解説します。

画像2: 【2023年版】ファミリーカー人気ランキング&使い方別おすすめ20台を車の専門家が徹底解説

この記事の執筆者
伊達軍曹(だてぐんそう)

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。

セダンからミニバン、SUVへ。「人気ファミリーカー」の変遷

画像: セダンからミニバン、SUVへ。「人気ファミリーカー」の変遷

2023年となった今でこそ「ファミリーカー」と聞けば、ほぼ自動的に中型ぐらいのミニバンやSUVなどが想起されますが、その昔、「ファミリーカー」という言葉がイメージさせる車像は、今とはまったく異なっていました。ここでは、明確な定義は実は存在してない「ファミリーカー」というモノの意味とヒストリーを、簡単に振り返ってみましょう。

「自家用車」を持つ人が増えたのは1960年代

画像: 1966年に発売されたトヨタカローラは日本のマイカーブームの象徴だった

1966年に発売されたトヨタカローラは日本のマイカーブームの象徴だった

令和の世の中は「街に車があふれかえっている」ともいえる状況ですが、ここ日本で多くの人が「自家用車」を持つようになったのは意外と最近で、概ね1960年代のことでした。

豊かだった米国と違って戦後の日本では、自家用車は「ごく一部の人だけが所有しているもの」でした。しかし1963年に日本初の都市間高速道路として名神高速道路が開通し、1964年には東京オリンピックが開催され、そして1969年に東名高速道路が全線開通すると、にわかに「マイカーブーム」が巻き起こりました。道路ができただけでなく、高度経済成長に伴って一般庶民の所得も上がったことで、「多くの人が自分の車を持てる時代」がやっと到来したのです。

そして1960年代末頃から1980年代頃までは、ファミリーカー=普通の人々が家族といっしょに用事を済ませたり、どこかへ出かけるために持つ車は、ほとんどが「4ドアセダン」でした。

4ドアセダンがファミリーカーとして好まれた理由は、ざっくり言ってしまえば「それしかなかったから」です。

「走ること」の価値が薄れ、人気は「車内が広い車」に移行

画像: 1986年に発売された2代目三菱デリカスターワゴンは三菱パジェロやトヨタプラド、日産テラノなどとともに90年代のRVブームを支えた1台

1986年に発売された2代目三菱デリカスターワゴンは三菱パジェロやトヨタプラド、日産テラノなどとともに90年代のRVブームを支えた1台

もちろん1970年代ぐらいからワンボックス車やステーションワゴン的な車種も存在していました。しかし当時のワンボックス車は、今のミニバンと違って「完全なる商用タイプ」でしたし、ステーションワゴン的な車も、「ライトバン」と呼ばれる簡素な商用タイプだったのです。

ですが1980年代の終わり頃から、多くの家族は「自家用車を持ち、それに乗ること」自体に価値を見いだすのではなく、「車に乗って出かけた先で、何か楽しい行為をすること」のほうに重きを置くようになってきました。

そうなると、室内や荷室が相対的に狭い4ドアセダンよりも、たくさんの荷物を積んで河原などまで乗っていくことができる「四駆のRV(今で言うSUVに近いもの)」がファミリーカーとしても人気を集めるようになってきます。これが1990年代前半頃です。

そしてその後は「荷物も積めて、なおかつ走行性能も高い」というステーションワゴンがブームになり、さらにその後は「走行性能よりも室内の広さのほうが大切だ!」という考えからでしょうか、ワンボックス車であるミニバンが大ブームとなりました。

直近のミニバン人気は全盛期と比べれば若干下がっていますが、それでもまだまだファミリーカーのメインストリームであり、ミニバンが若干だけ下火になった分、「セダンとワゴン車のいいとこ取り」ともいえるボディタイプとなるSUV(Sport Utility Vehicle)が、世界中のファミリーから熱烈に支持されています。また日本で独自のガラパゴス的進化を遂げた「軽スーパーハイトワゴン」や「普通車のトールワゴン」も、車を実用的に使いたいファミリー層からは大人気です。

最新の販売ランキングの上位に数多くのファミリーカーが!

それでは具体的に今この瞬間には、どんなタイプのファミリーカーがよく売れているのでしょうか?直近のデータである2023年2月の販売台数ランキングを見てみると同時に、昨年1年間のランキングもあわせてチェックしてみましょう。

■2023年(2月)乗用車販売台数ランキング(軽自動車除く)

1ヤリストヨタ15,760151.3
2カローラトヨタ14,738116.6
3シエンタトヨタ11,767330.9
4ノート日産10,709109.4
5ルーミートヨタ8,64577
6ヴォクシートヨタ8,523411.1
7ノアトヨタ8,518382.5
8アクアトヨタ8,191129.7
9ハリアートヨタ7,843333.6
10プリウストヨタ7,681230.9
11フリードホンダ7,07197
12RAV4トヨタ6,588214.5
13アルファードトヨタ6,214136.5
14ランドクルーザーWトヨタ5,534235.8
14フィットホンダ5,531103.2
16ライズトヨタ5,40954.6
17ソリオスズキ4,931171.9
18セレナ日産4,53975.9
19ヴェゼルホンダ4,375114.3
20CX-60マツダ4,37522年9月発売
21クラウントヨタ3,581235.9
22NX350Hレクサス3,559763.7
23パッソトヨタ3,365115.8
24ステップワゴンホンダ2,926113.1
25エクストレイル日産2,616282.2
26スイフトスズキ2,290101
27CX-30マツダ2,215103.9
28ジムニーWスズキ2,207132.7
29ロッキーダイハツ2,00298.9
30フォレスターSUBARU1,752112.9
31MAZDA2マツダ1,62953.2
32デリカD5三菱1,57993.8
33インプレッサSUBARU1,488152.1
34C-HRトヨタ1,454179.3
35MAZDA3マツダ1,38074.2
36クロスビースズキ1,338284.7
37シビックホンダ1,260171.4
38リーフ日産1,25480.5
39トールダイハツ1,254135.6
40CX-5マツダ1,20933.6
41NX250レクサス1,1543497
42キックス日産1,12039.2
4386トヨタ1,062110.7
44ロードスターマツダ99889.1
45ハイエースWトヨタ927160.1
46レヴォーグSUBARU894431.9
47CX-8マツダ78127
48カムリトヨタ751149.9
49RX500Hレクサス73222年11月発売
50UX250Hレクサス704209.5

※ 上記の台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含みます。
※ 例:ブランド通称名 カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含んでいます。

ご承知のとおり世界的な半導体不足などの影響を受け、ここ最近は自動車の生産量が全般的に不安定であるため、販売台数ランキングがそのまま“人気”を表しているとは言い難い状況ではあります。

画像: ■2023年(2月)乗用車販売台数ランキング(軽自動車除く)

しかしそれでも“傾向”というのはなんとなく現れるものです。トヨタの兄弟車ミニバンである「ノア」と「ヴォクシー」は、合算して考えれば堂々の1位であり、5ナンバーサイズのコンパクトミニバンである「トヨタ シエンタ」も、単一ボディとしては1位としてカウントできます(1位のヤリスと2位のカローラは、さまざまなボディタイプの販売台数が合算された数字です)。完全にモデル末期といえるホンダのコンパクトミニバン「フリード」も、ホンダ車としては一番売れていますので、やはり「ミニバン人気」はまだまだ続いているようです。

そのほかでは、トヨタ ハリアーやRAV4などのSUVは相変わらず堅調で、トヨタ ルーミーやスズキ ソリオなどの「手頃な価格のトールワゴン」も、幅広い層から支持されていることが見て取れます。

■2022年(1~12月)乗用車販売台数ランキング(軽自動車除く)

1ヤリストヨタ168,55779.2
2カローラトヨタ131,548118.7
3ノート日産110,113122.1
4ルーミートヨタ109,23681
5ライズトヨタ83,620102.1
6フリードホンダ79,525114.3
7アクアトヨタ72,08499.4
8シエンタトヨタ68,922119.2
9フィットホンダ60,271102.5
10アルファードトヨタ60,22563.4
11ノアトヨタ57,696130.5
12セレナ日産57,51397.6
13ヴォクシートヨタ55,54579.3
14ヴェゼルホンダ50,73696.3
15ソリオスズキ41,59093
16ステップワゴンホンダ37,96696.7
17ランドクルーザーWトヨタ35,390105.7
18ハリアートヨタ34,18245.8
19パッソトヨタ32,990101.4
20プリウストヨタ32,67566.4
21CX-5マツダ31,399140
22RAV4トヨタ31,11862.7
23スイフトスズキ25,113107.3
24フォレスターSUBARU25,096109.6
25MAZDA2マツダ24,42999.1
26インプレッサSUBARU23,04285.8
27ロッキーダイハツ22,223103.9
28キックス日産18,69753.4
29エクストレイル日産18,066150.3
30ジムニーワゴンスズキ17,820128.2
31クラウントヨタ17,76783
32アウトランダー三菱17,662713.9
33デリカD5三菱16,838113.8
34CX-30マツダ16,17683.6
35レヴォーグSUBARU14,27556.1
36MAZDA3マツダ14,02085.7
3786トヨタ13,341364.3
38シャトルホンダ12,94194.9
39CX-8マツダ12,93477.9
40リーフ日産12,732117.4
41クロスビースズキ12,31599.3
42C-HRトヨタ11,81165.3
43トールダイハツ11,52778
44レガシィSUBARU9,697482
45ロードスターマツダ9,578177.6
46ハイエースワゴントヨタ9,175107.3
47シビックホンダ8,773103
48CX-3マツダ8,409100
49マーチ日産8,20093
50エクリプスクロス三菱7,69386.6

※ 上記の台数は車名別の合算値となり、一部教習車などを含みます。例:カローラはカローラシリーズ全車種と教習車を含んでいます。
※ 前年比欄について、前年の台数がない場合や、前年比の桁数が5桁を超える場合は空白で表示しています。

昨年1年間の販売台数ランキングも、基本的には直近のデータと同じ傾向を示しています。つまり「コンパクトカーおよびコンパクトトールワゴン」と「ミニバン」「SUV」の3カテゴリーで人気を分け合っており、4ドアセダンやクーペの出る幕はない……といったニュアンスです。

そんな中でも、今年は生産量の関係で若干弱含みとなっている「日産 セレナ」や「ホンダ ステップワゴン」という2番手グループに属するミニバンも、生産が順調だった昨年の数字はまずまずでした。そして超モデル末期となったトヨタ アルファードも10位に入っていますので、「やはりミニバン強し!」ということになるのでしょう。

画像: ■2022年(1~12月)乗用車販売台数ランキング(軽自動車除く)

そのほかでは、SUVやミニバンの中でも特に悪路に強い「スバル フォレスター」や「三菱 デリカD:5がそれなりの位置に入ってきているということは、アウトドア派のファミリーの車購入意欲も依然として旺盛であることを意味しています。また3列のシートを備えたSUVである「マツダ CX-8」も、なかなかシブい位置をキープ。「3列シートは必要だけど、ミニバンはあまり好きではない」と考えているユーザーのニーズを、上手にひろっているようです。

ファミリーカーの4つのカテゴリ

画像: ファミリーカーの4つのカテゴリ

それでは以下、「おすすめのファミリーカー」を具体的に見てまいりましょう。とはいえ、乗用車といえばコンパクトな4ドアセダンしかおもにはなかった昭和の時代と違い、現在は3列シートの7人乗りミニバンから、ボディは小さいけど、後席は普通車以上に広い軽スーパーハイトワゴンなど、さまざまな「ファミリーカー候補」が存在しています。

そのため、「ファミリーカー」という大ざっぱなひと言だけで物事をくくり、検討したとしても、結局はなんのマトモな答えなどひとつも導き出されない結果になるでしょう。

そこでここでは、一般的にファミリーカーとくくられているモデル群を「お買い物&送迎用」「万能系」 「旅する系」「アウトドア系」という4つのカテゴリーに分け、「それぞれのカテゴリーにおけるベストバイ」を探ってみることにします。

This article is a sponsored article by
''.