子どもを持つ、または持ちたいと考えている女性なら、誰でも興味を持たざるを得ない「幼児教育」。しかし、子育てや保育の情報は実際体験しないと分からない、見えてこないことも多く、「ちょっとよく分からない」ということが多いと思います。

ということで今回やってきたのは「幼少教育会議」。認可外保育施設・A.L.C貝塚学園の運営・執行役員の佐野さんと、保育業界の就職支援を行うキャリアフィールド株式会社の都築さんに、今の幼少教育業界の現実や課題についてお伺いしました。

幼保無償化の現実と現場の人材不足

2019年10月1日から消費税が値上げされたことにより、その使いみちの一つとして「幼保無償化」がスタートしました。

幼稚園、保育所、認定こども園などで3歳から5歳児までの利用料が無償化となったのです(0~2歳は、住民税非課税世帯の子どもが対象)。

佐野さんによれば、幼保無償化における保育施設側のダメージは、貝塚学園においてはほとんどないということ。しかし、人材・採用に詳しい都築さんからはこんな意見が上がりました。

「日本全体の保育園の課題としては、やはりまずは人材だと思います。世の中全体で保育業界はブラック・薄給と認識されすぎていることも大きな原因の一つですね。

今の業界の伸びを考えると、保育士不足は今後さらに深刻さを増してきます。幼稚園は幼稚園教諭、保育園は保育資格が必要なのですが、年間55000人がそれらの資格を取得するのに対し、2万人くらいしか保育職につかないんです。僕たちが資格所得者、かつ保育職につかなかった人たちに対して行ったアンケートでは、”資格は取ったものの、最初からなるつもりがない人”も2割。さらに6割は”実習の環境からなることをやめた人”などでした。

実習などで保育職を諦める人たちに関しては、保育現場の内部構造がまだまだ昭和的であるせいもあります。教育者を教育する環境が整っておらず、教育側が自分の物差し、教育哲学で実習生たちを見てしまって、働き方に不安を持ってしまう場合もあるようです」

保育の現場にはまだまだ抜本的に改革が必要なことも多く、キャリアフィールド株式会社や貝塚学園は、その問題に向き合って前線で改善に努めています。

2020年には「プログラミング教育」が必修化!

2020年には小学校でプログラミング教育が必修化されることになりました。プログラミング教育では、個々人でなくチームでの”協働”ができることや、各々の想像力や”クリエイティビティ”を養うことが目的です。

その日は貝塚学園の生徒たちの「プログラミング授業」を参観しました。一人一台がスマートタブレットを持ち、大画面で連携した動きを行いました。

しかし、実際の小学校でのプログラミング教育では、まだ具体的にどのようなことを教えるのか決まっておらず、教育現場でも戸惑いが大きい、と佐野氏。

小学校教育も改革に向けて改善していっているものの、具体的に行っていけるのかはまだわからないといった状況です。

親・教育者一人ひとりの意識が大切

保育業界は今後伸びを見せていく業界ではあるものの、それによって発生する障壁にいまだ備えられていない状況です。

就労環境や待機児童の問題も、都内を中心に改善に向かっているところも多いものの、だからこそ、子を持つ親や潜在保育士たちひとりひとりの問題意識も、業界の改善には大切なのです。