新型コロナが流行する今年、「免疫力をあげることが大切」という呼びかけを多く耳にしました。こうした免疫力向上への意識の高まりと同時に注目を集めているのが発酵食品。

「免疫向上には発酵食品が良い」というイメージはありますが、なぜ大切なのかご存知でしょうか?

今回は免疫における体内(腸内)発酵の重要性と、発酵食品の代表とされるヨーグルトを例に、「一般的なヨーグルト」と「ビフィズス菌や水溶性食物繊維イヌリンを配合したヨーグルト」について、それぞれがどのように影響するのかを比較検討した試験結果について取材してきました!

そもそも発酵とは?

「腸の奥からの健康を考える研究会」の座長である松井輝明先生によると、発酵とは微生物が有益な有機物を生成する過程のことを示すんだそう。近年の研究では、この体外(食品中)での発酵に対し、体内(腸内)でも発酵が起こるということが明らかとなっています。

この体内発酵により作られる「短鎖脂肪酸」という物質が、体内の様々な健康効果を発揮するんだそうです。

免疫力アップ機能がある、スーパー物質の短鎖脂肪酸

短鎖脂肪酸には
①免疫力向上
②抗炎症作用
③全身のエネルギー源
という3つの健康効果があります。

この短鎖脂肪酸を作り出すには、「大腸を整えることが大切」とのこと。短鎖脂肪酸のエサとなり生成するのに欠かせないのが、私達もよく耳にする「ビフィズス菌」です。

ビフィズス菌を増やすには、大根や人参などの根菜や海藻などに含まれる水溶性植物繊維が必要です。一日の必要量は男性で20g、女性で18gと、普通に生活していてはなかなか摂りにくいので意識して摂取しなければなりません。

特に最近では、水溶性食物繊維の一種であるイヌリンが短鎖脂肪酸の生成量が多いことから、注目を集めています。

感染症と短鎖脂肪酸の関連性

続いて、株式会社メタジェンの福田真嗣さんに腸内フローラの特徴と感染症の関連性についてお話を伺いました。

福田さんによると、感染症は腸内フローラの状態を良くすることで予防ができるとのこと。小腸から大腸にかけて生息している細菌の集団を示す、腸内フローラ。

健常者の腸内フローラには多様性があり、短鎖脂肪酸を沢山作ってくれるという特徴があるそう。その為腸内フローラの状態を良くすることが免疫力向上に寄与し、感染予防に繋がっていくということです。

ヨーグルトを使ったin vitro試験結果

アンケート調査によると、近年、健康に気を遣い免疫力を上げる為にヨーグルトが食べられていることが明らかになっています。

今回は帝人株式会社による、「in vitro腸内細菌叢培養モデル」という最新機器を使い「一般的なヨーグルトと水溶性食物繊維イヌリンやビフィズス菌を配合したヨーグルト」が腸内細菌にどう影響するのかを、福田さんにご説明頂きました。

試験の結果わかったのは、普通のヨーグルトよりも「ビフィズス菌+イヌリンを配合したヨーグルト」の方が短鎖脂肪酸が増加し、免疫力を上げる為には効果的であるということ。

とはいえ、「ビフィズス菌+イヌリンの配合したヨーグルト」以外のヨーグルトにももちろん腸内細菌増加に効果はあるので、やはりヨーグルトを摂取すること自体が大切であるようです。

ニューノーマル時代のヨーグルト

人によって腸内細菌のバランスは異なり、発酵食品を摂取して効果がある人とない人が出てきます。

しかし、「ビフィズス菌+イヌリンの配合したヨーグルト」を食べることにより、効果を得られる人の割合は増えてきます。

今後は免疫力を上げるために+aの要素として「短鎖脂肪酸をお腹の中で増やす」ような発酵食品を摂取することが、大切になると言えるのではないでしょうか。