「音声メディアに関する利用実態調査」今後使ってみたいメディアに「Clubhouse」、「SPOON」など/約半数が「音声インフルエンサー」の活躍に期待も

2021年1月末、シリコンバレー発の音声SNS「Clubhouse」がネット上の話題を席巻するなど、ネクストトレンドの筆頭として注目を集めている「音声メディア」。現状は情報感度の高いイノベーター、アーリーマジョリティー層がアクティブに利用している印象ですが、生活者の多くはどのように感じているのでしょうか。実態を把握するべく、調査を実施しました。

30%以上が音声メディアを日常利用、「音声SNS」の台頭に注目

まず、「日常的に使っている音声メディア」について聞いてみると、31.6%が「何かしらの音声メディアを利用している」と回答。約3人に1人の日常に溶け込んでいることがわかりました。

日常的に音声メディアを利用している人に対象を絞り、詳しくメディアを見てみると、最も利用が多かったのは「radiko」(68.1%)という結果に。以降は「Spotifyポッドキャスト」(18.1%)、「ポッドキャスト(AppleまたはGoogle)」(13.3%)、「Discord」(12.7%)、「ラジオクラウド」(4.2%)となりましたが、2位以降はあまり数字的に大きな差は見られませんでした。今後の利用者の広がり次第では、どのメディアもシェア上位を狙える状況にあり、まさに音声メディア戦国時代の様相を呈しています。

一方、「今後、使ってみたい音声メディア」については、トップ5が「radiko」(28.9%)、「Spotifyポッドキャスト」(12.2%)、「ポッドキャスト(AppleまたはGoogle)」(11.6%)、「Clubhouse」(8.6%)、「SPOON」(5.7%)という顔ぶれに。
「radiko」や「ポッドキャスト」は、ユーザーが音声を聴く、配信するのどちらか一方のコミュニケーション(ラジオ配信型)ですが、「Clubhouse」や「SPOON」はフォロワーやトークルームといった、ユーザー間の双方向コミュニケーションであることが特徴といえます。今後はこういった「音声SNS」の台頭にも注目です。

コロナ禍による「他人との会話」への飢餓感が影響か

続いて「音声メディアを使う理由」を聞いてみると、1位は「他人の声や会話を聴くのが好きだから」(39.8%)となりました。コロナ禍により、他人とリアルの場で会話する機会が減っている状況が、音声メディアの利用モチベーションに拍車をかけていると考えられます。2位以下は「時間を有効に使いたいから」(30.1%)、「常に何か音声を聴いていたいから」(27.7%)、「情報量が多いから」(19.9%)、「流行っているから」(11.4%)という結果に。その他、自由回答でも「ゲームをしながら会話するため」といった意見が複数集まりました。数年前からASMR(生活音など、聴いていて心地いい音)が流行していることも考えると、“ながら聴き”のニーズが高まっている現状がうかがえます。

音声での人気条件トップ3は「テンポの良さ」「魅力的な声」「ワードセンス」

「お気に入りの音声コンテンツ(または人)」については、43.3%が「お気に入りコンテンツ(または人)がある」と回答しています。その特徴を聞いてみると、1位は「話し方のテンポがいい」(23.0%)、2位は「声が魅力的」(21.1%)、3位「ワードセンスがいい」(14.1%)となりました。

また、「音声メディアで活躍するインフルエンサー」については、48.3%が「人気が高まりそう」と答えています。トレンダーズが運営するZ世代とSNSトレンドの研究機関「memedays」が発表した「2021年トレンド予測」でも、「ゆたせな」、「ほのぴす」、「ヒヨごん」といった、「聴感上のタレント性」を持った次世代インフルエンサーがピックアップされています。彼らのオリジナルワードがTikTokなどで広まり、若者の流行語になるムーブメントも見られ、今年のトレンドを生み出す存在としても注目です。
※memedays 2021年トレンド予測:https://memedays.jp/research/202/

最後に、昨今の「音声メディアの盛り上がり」についてどう感じるかを聞くと、51.3%が「ポジティブに感じている」と回答しています。

芸能人の「トークスキルの横展開」も、音声SNS隆盛の注目ポイントに

今回の調査を通して、音声メディアの普及率はまだ高いとはいえないものの、生活者の間で、期待感は広まりつつあることがわかりました。「Clubhouse」が急速に話題化したこともあり、この期待感はさらに加速していきそうです。また、「Clubhouse」ではお笑い芸人やタレントなど、様々な有名人が利用を表明していますが、元来、話術に長けている方が多いため、音声メディアとの相性は非常に良いといえます。テレビで培った「トークスキルの横展開」が、音声SNSの隆盛に影響していくことは間違いないでしょう。

[調査概要]
・調査対象:20~30代男女526名
・調査期間:2021年2月1日
・調査方法:インターネット調査