エイジング研究で最注目のミトコンドリア活性に!
毛髪領域で挑んだ研究成果を発表
大正製薬は、近年、エイジング全般の研究領域で注目が集まっているミトコンドリアの中でも、毛髪のミトコンドリアに作用する素材の有用性と可能性について、ネイチャーラボ社と共同で毛髪最新研究発表会を開催しました。
大正製薬ではこれまで、学習院大学の柳教授との共同研究において、ミトコンドリアの形態制御や品質管理等に関わる分子として知られる酵素「MITOL(マイトル)」が、毛包組織や頭皮をはじめとした皮膚のアンチエイジングにおいて重要な役割を果たすことを解明してきました。その中で、MITOLの発現低下が白髪や薄毛などの髪の老化につながるなど、薄毛対策だけではない、白髪などヘアケア領域における様々な悩みをトータルで解決することを目指した研究を継続的に進めてきました。
今回の発表会では、根本的な改善策が少なく、まだまだ謎が多いとされる白髪領域において、このMITOLが新たな標的となる可能性を示す研究成果の発表に加え、ミトコンドリア機能を高める可能性が期待される「MITOL活性化成分」と、色素細胞へ作用するネイチャーラボ社の「ブラックリバースペプチド1」の掛け合わせが生む、白髪改善へのシナジー効果についての発表が行われました。
■毛髪サイエンスへのアプローチ
ず初めに大正製薬の長濱氏より、開会の挨拶として、20年以上に及ぶ毛髪研究の知見に基づき、男女問わずあらゆる世代のニーズに対応する、大正製薬のトータルヘアケア研究について紹介されました。さらに、近年強化しているテーマとして、ミトコンドリア研究及び毛包細胞研究を挙げ、今後も毛髪サイエンスの先駆者として、オープンイノベーションも活用しながら、予防から治療まであらゆる毛髪ソリューションの実現を目指すことも合わせて発表されました。
■毛髪サイエンス 最新動向及び展望について
続いて齊藤典充氏より、加齢による白髪や薄毛の原因は、毛をつくり出す毛包幹細胞と、髪色をつくり出す色素幹細胞の老化であることが明らかになるなど、近年の代表的な毛髪研究の成果についての解説が行われました。中でも、様々な分野において世界中で注目されているミトコンドリア研究は、毛髪サイエンスにおける新発想のアプローチとして期待されているそうです。
■ミトコンドリア機能異常と老化疾患
近年ミトコンドリアの機能異常が、老化や様々な疾患の病態と関連することが明らかになってきています。柳 茂先生はご自身が世界で初めて発見されたミトコンドリアに存在する酵素「MITOL(マイトル)」の毛髪への影響について解説。MITOLは、ミトコンドリアの形態制御や品質管理に関わり、ミトコンドリアの働きを正常に保つために欠かせない分子ですが、加齢に伴いMITOLは減少し、ミトコンドリアの老化を招きます。実際に研究でも、毛髪や皮膚のもとになる角化細胞(ケラチノサイト)のMITOLを欠損させたところ、白髪や脱毛が生じることが明らかに。さらにMITOL発現量の減少が、角化細胞の維持に関わる17型コラーゲンを減少させ、角化細胞や色素細胞の機能が低下することが明らかになりました。また「ベルベリン」がMITOLの発現を誘導し、さらに皮膚や毛の老化を抑制するという研究結果から、新たな抗老化素材としてのポテンシャルの高さも解説しました。
■MITOLの新たな研究成果「MITOLの白髪に関する新発見」について
次に大正製薬より、メラニンを産生し、髪の色を維持する上で最も重要な役割を担う色素細胞においてMITOL発現を低下させると、色素細胞の増殖抑制やメラニン産生酵素の低下が起きること、メラニンを角化細胞に受け渡すために必要な樹状突起が減少することを報告し、色素細胞の維持にはMITOLが極めて重要であることが発表されました。さらに、色素細胞のMITOLを高める素材として、ボタンピを見出し、ボタンピが培養毛包の成長期を延長させること、さらにメラニン維持に寄与したという研究結果を発表。これらの結果から、MITOL活性化成分は、白髪と薄毛に有用である可能性もの解説されました。
■MITOL×ブラックリバースのシナジー効果
次に、ネイチャーラボ社の竹岡 篤史氏が、大正製薬とネイチャーラボのオープンイノベーションによる新たな取り組みについて紹介しました。その上で、ネイチャーラボが開発したブラックリバースの研究結果を解説されました。ブラックリバースは、シグナルペプチドと植物幹細胞のシナジー効果により、頭皮環境を整え、さらに色素細胞のメラニンを増加させ、酸化ストレスから保護します。今回研究結果として、ブラックリバースペプチド1がメラノサイトを活性化すること、つまり毛髪の黒色化と維持に寄与することが報告されました。
最後に大正製薬の阿部氏より、ネイチャーラボ社と大正製薬との共同研究成果として、MITOLとブラックリバースペプチド1とのシナジー効果に関する研究成果も発表されました。MITOL活性化成分のボタンピとブラックリバースペプチド1との掛け合わせによるMITOL発現促進効果の増強と、毛包中の色素細胞のメラニン含量の増加について、さらに、これらの掛け合わせが白髪や薄毛といった毛髪のエイジングに有用な可能性があることも発表されました。
昨今、オンライン会議の機会が増え、頭髪への意識も高まっていると言われています。これらの成果が今後トータルヘアケアを実現するための商品開発に活かされるとのこと。今後の展開にも期待したいですね!