BCIコットンとは
BCIコットンとは、さまざまな基準に則り栽培された綿です。オーガニックコットンと混同されがちですが、認定基準や栽培方法が異なります。ここでは、BCIコットンの定義とオーガニックコットンの違いを解説します。
BCIコットンの定義
BCIコットンは、BCI(Better Cotton Initiative)が定める基準に則って栽培されたコットンのことです。BCIとは、持続可能なコットン生産を推進している国際NGO団体のこと。このBCIが認定した綿花生産者によって栽培されたコットンを、BCIコットンと呼びます。BCI認証を受けた綿花は、全世界のコットン生産量の約20パーセントを占めており、年々増加しています。
【BCIコットンの基準】
・農薬使用
・水の使用
・健康と安全
・繊維の品質
・労働環境保護
・児童労働・強制労働・差別禁止
・結社の自由など
基準をクリアできなかったとしても、厳しい制約やノルマはありません。
BCIとは綿花持続可能性プログラム
BCIとはBetter Cotton Initiativeの略で、これからの未来へ安定的に綿花が共有されること、綿花栽培による環境への負荷を軽減することを目的とした団体です。
また、農家の生産性も同時に維持できるようにする取り組みでもあります。欧米ブランドをはじめ、多くの企業で採用されており、日本でも広がりつつあります。
オーガニックコットンとの違い
厳しい規制を最上級の"BEST"でクリアするのがオーガニックコットン、基準を緩くしつつも、誰にでも受け入れられる形で栽培されている綿花がBCIコットンです。
オーガニックコットンは、太陽や水、大地などの自然の恵みを生かして栽培されており、農薬や化学肥料を使用していません。また各国が定めた認証機関があり、世界基準をクリアした上で認証を受ける必要があります。一方、BCIコットンはコスト削減と農家の利益増加を目的としているため、認証を必要としていません。
綿花産業が抱える4つの課題
綿花産業には、環境破壊や過酷な労働、綿の不安定な価格といった課題があります。BCIでは、綿花産業が抱える課題を解決するために、さまざまな取り組みを行なっています。しかし、まだまだ解決できていないのが現実です。ここでは、綿花産業が抱える4つの課題について解説します。
①環境への影響
コットンの原料でもある綿花の栽培には、大量の水が必要です。例えば、1枚のTシャツを作るために使用する水の量は2,720リットルと言われています。綿花の栽培では、田畑を耕作する水を水路から引いて栽培しています。その世界的な割合は、水利をはかる灌漑畑地(かんがいはたち)が60パーセント、降水のみを利用する天水畑地(てんすいはたち)が40パーセントです。
しかし、農業や工業で水を多用することによって水資源が激減。水が激減することによって、河川や湿地、森林などの流域を破壊してしまい、野生生物が絶滅の危機に瀕したり、水不足に直面したりしています。さらに水の管理が不十分だと、土壌が痩せ細ってしまい、劣化につながってしまいます。
②農薬の過度な使用
綿花を栽培する地域では、多量の農薬が使用されています。綿花の耕作地面積は世界の約5パーセント程度にもかかわらず、農薬や肥料などの化学物質の使用量は全体の10パーセントを占めています。殺虫剤の使用に関しては14.1パーセントの売上を占め、他の単一作物よりも多いです。
大量のコットンを安価かつ効率的に栽培するためには、多量の農薬や水の使用を選択するしかありません。農家では生きていくために栽培方法を切り替えるケースが多いですが、そのせいで健康にも被害を及ぼしています。
③綿花農家の労働環境
綿花を栽培している人の60パーセント以上は、発展途上国の小規模農家です。さらにこのうち90パーセントの人達が栽培している畑は2ヘクタール未満と言われています。
小規模綿花農家は、食料や医療費、日用品など生活に必要な収入よりも綿花の売上が下回っており、貧困のライン以下で生活しています。農薬や肥料などの原料が高いため多額の借金に苦しむなど、綿花市場の在り方がその原因です。
また大人より賃金が安くすむため、学校には行かせず児童に労働させる児童労働も深刻な状況となっています。実態調査が行われ労働者権利の改善は進んでいるものの、まだまだ進展が必要です。
④変動する価格
綿花の価格は、変動しやすく不安定。国の規制や備蓄、政府の補助金などが要因となっており、農家にとって不確実な市場を作り出しています。
また株式市場や投資による収益が低い時期に、金融商品として綿花が活発に取引されています。その結果、価格が大幅に変動し、農家が得られる綿花価格が不安定になってしまうのです。
BCIコットン以外のコットンに関する認証ラベルやプログラム
世界には、BCIコットン以外にもコットンに関する認証ラベルやプログラムが存在します。それぞれ独自の取り組みを行なっていたり、支援方法が異なったりと、その内容は多岐にわたります。綿花に対する認証ラベルやプログラムをチェックしましょう。
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