自分自身のこころとからだの変化を理解し、 正しいケアを行いましょう

月経(生理)前の3~10日の黄体期に、女性ホルモンの変動がもたらす心身の不調はPMS(premenstrual syndrome/月経前症候群)といわれ、PMS症状を自覚している女性は7割(※1)にも及びます。しかし、PMSへの対処法として、「何もしていない」という人は63%(※2)おり、症状を感じていても薬の服用や産科・婦人科の受診、セルフケアなどの行動を起こさず、我慢をしている人が多い現状です。
※1 2021年6~7月 大塚製薬調べ 30〜44歳日本人女性1,000人を対象に行った調査
※2 働く女性の健康増進に関する調査2018

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そういった中で、女性の健康をサポートする大塚製薬がPMS軽減に有用な成分についての研究を実施し、その成果を2022年8月8日に発表しました。この研究では、「γ(ガンマ)-トコフェロール、γ-トコトリエノール、エクオールおよびカルシウム含有食品」の摂取がPMS症状(むくみやイライラなど)の軽減に有用であることが示唆されました。

月経前の「むくみ」や「イライラ」などの症状軽減に有用であることが示唆

<試験概要>
PMSのむくみの症状を自覚する健康な女性35人(20~41歳)を対象に、1日1回、夕食後に4成分を含む食品(右表:γ-トコ複合食品)を摂った場合と、見た目が変わらない偽成分を含む食品(プラセボ)を摂った場合とで、PMS症状の程度を比較。
*本調査では、1日目から4日目までは自宅や職場など日常生活下で、5日目夕方からは実施施設にて安静に過ごした。

<結果>
①プラセボよりもγ-トコ複合食品を摂った場合の方が、 「顔のむくみ」 「下腹部・お腹まわりの張り」「イライラ・怒りやすさ」「気分の落ち込み」 の症状の程度がプラセボ摂取時に比べ、試験期間を通して有意に軽減した。

②尿中ナトリウム排泄量と尿量を調べたところ、プラセボ摂取時に比べ、 尿中ナトリウム排泄量も尿量も有意に多いことが分かった。
*6日目朝から7日目朝までの24時間の尿中ナトリウム排泄量と尿量。γ-トコ複合食品摂取時の尿量の増加は緩やかで、頻尿や脱水は認められなかった。

「むくみ」や「イライラ」などが軽減する3つの成分とは?

γ(ガンマ)-トコフェロール及びγ-トコトリエノール
ビタミンEの一種であるγ-トコの代謝物がむくみを軽減
優れた抗酸化作用で知られるビタミンE。自然界にはビタミンEは8種類あり、一般的なのはα-トコフェロールです。一方、大豆油や米油などの植物油に多く含まれるγ-トコフェロールとγ-トコトリエノールには、「むくみ」を軽減する働きがあることが分かりました。2つの成分は肝臓で一部が「γ-CEHC」に代謝されます。このγ-CEHCが、体内にナトリウム量が多くなり過ぎて、水分を溜め込んだ状態になった時に腎臓で働き、ナトリウムを緩やかに体外に排出して、むくみを軽減すると考えられています。

むくみが軽減する仕組み
γ-トコフェロールとγ-トコトリエノールは肝臓で代謝され、γ-CEHCという物質に変わります。このγ-CEHCは腎臓で、体内にナトリウム量が多くなり過ぎた状態の時だけ、ナトリウムを体外に排泄させるように働きます。その結果、水分の貯留が減ってむくみがスッキリするのです。

γ-トコフェロール、γ-トコトリエノールが含まれる植物油
γ-トコフェロールやγ-トコトリエノールは主に植物油に含まれる成分ですが、食事から摂れる成分は微量です。むくみ改善作用に期待するのは難しいと言えるでしょう。そのため、サプリメントを利用するのもひとつの手です。植物油100ɡ当たりの含有量は、大豆油のγ -T 67.6mɡ、米ぬか油のγ -T3 10.8mɡが最高値です。

エクオール
女性ホルモンのように働く大豆パワーの源
エクオールは、女性ホルモンの「エストロゲン」に似た構造を持っています。大豆を食べると、大豆イソフラボンは腸内細菌によって、エクオールに変わります(右図)。エクオールは、体内でエストロゲンが足りない時には、その働きを補い、逆にエストロゲンが多すぎる時は、作用を弱めます。こうして月経周期に伴う女性ホルモンの急激な変動を整えるように働くことで、さまざまな不調をやわらげてくれると期待されている成分です。ただ、大豆を食べて腸内でエクオールをつくれる人は、日本人の2人に1人、特に若い女性では5人に1人しかいないことも分かっています。エクオールがつくれるかどうかは簡単な尿検査で分かりますが、残念ながら、つくれない人が生活習慣を見直したからといって、つくれるようになるという研究データは見当らないのが現状です。

カルシウム
イライラを軽減するなど精神状態と深い関わりがある成分
カルシウムは骨の健康維持に欠かせないミネラルですが、PMSの症状を改善する作用も期待できます。また、イライラを軽減するなど、精神状態とも深く関わっています。厚生労働省が示す基準では、20~40代の女性は1日あたり650mgを摂ることが推奨されている中、実際に摂れているのは400mg前後で、1日あたり200~250mgも不足しています。PMS対策のためにも、この不足量をしっかり補うことが大切です。
カルシウムは食品にも多く含まれていますが、毎日意識的に必要な摂取量をとることはなかなか難しいものです。セルフケアとして、サプリメントを利用するのも良いでしょう。

月経前の「むくみ」と「イライラ」には意外な関係が!

PMS症状として感じられやすい「むくみ」と「イライラ」に関連がみられました。アンケート調査(※4)を行った結果、むくみの症状が強い人ほど、イライラなどの否定的な感情が強いことが分かりました。PMSの症状が出る時期はプロゲステロンが分泌され、妊娠への準備に向けて身体を整えるため、栄養や水分を溜め込みやすくなります。つまり「太りやすく、むくみやすく」なっています。

むくんでいるときの身体の状態
人間の身体はナトリウムの濃度を一定に保つ必要があるので、ナトリウムが多くなり過ぎると、水分を体内にキープして薄めようとします。この状態が「むくみ」で塩分が多いものを食べ過ぎたとき、顔や身体がむくむのもこのためです。
※4 産科と婦人科; 83(12): 1434-1439,2016 対象:閉経前女性68人

産婦人科医が分かりやすく解説!

●今回の研究成果について
月経前に何となくむくみを感じる人は多いですが、γ(ガンマ)-トコフェロール、γ-トコトリエノール、エクオールおよびカルシウムの4つの成分を含む食品(γ-トコ複合食品)を摂ることにより、むくみを改善させ、さらに月経前の身体的症状のみならず精神的な症状をも改善することがわかったことは、月経前症状に悩む女性への福音になると考えます。また、産婦人科医師にとってはもちろんのこと、産婦人科以外の診療科の医師およびスタッフや、薬局などでも月経前の症状についての相談を受けることは少なくないと思いますが、まず気軽に試してみることができる一手がある、ということは嬉しいニュースになると思います。
●PMSの原因や最近の受診患者様の傾向
PMSの原因は、いまだ明らかになっていません。ただ、少なくともPMSは女性ホルモンバランスの乱れではなく、きちんとホルモンが分泌されて月経周期がつくられているからこそ起きるものであることがわかっています。近年、PMSで産婦人科を受診される女性がとても増えています。PMSの認知度が上がってきたこともその理由の一つであると思いますが、患者さんのお話を聞いていると、学校や仕事などでのストレスに耐えながら、日々頑張っている女性がとても多く、そういったストレスがPMS症状の誘因になっている可能性も考えられます。
●医師としておすすめしたいPMS対策
PMSかな?と思ったときに、まずしていただきたいことは、症状とその起きる時期の関連を確認するためにカレンダーなどに記録をすること。そして、普段の生活を見直してみることです。きちんと食事をとって、十分お休みされていますでしょうか。現代の女性はいろいろと忙しい方が多いですが、PMSはさまざまなストレスに対する体のサインかもしれません。まず手軽なサプリメントを使ってみるのも良い方法ですし、生活に支障をきたしているようでしたら、あまり我慢せず、ぜひ産婦人科でご相談いただければと思います。

東京歯科大学市川総合病院
産婦人科 准教授
小川真里子先生

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大塚製薬は、女性のヘルスリテラシーの向上に寄与する活動だけでなく、企業に対しても女性の活躍や健康経営の視点で情報提供を行うとともに、マスメディア・Webサイト・セミナー等を通じた女性特有の健康課題について社会全体に広く発信しています。自社ホームページ内では、情報サイト「更年期ラボ」に加え、新たに「PMSラボ」を開設したことで、より広い年代の女性に寄り添いながら、日々の健康をサポートする取り組みを行っていきます。

PMSラボとは?
「PMSラボ」は、一人でも多くの女性が月経前を快適に過ごせるよう、医師の監修のもと、PMSに関する様々な情報を発信しています。基礎知識はもちろん、症状のチェックシート、そして自分でできる対策などを分かりやすく解説する本サイトで、ご自身の身体のことやPMSの理解を深め、ハッピーな毎日に役立ててみてください。