クリニックフォアグループでは、働く女性610名・クリニックフォアユーザーの低用量ピル服用者の働く女性510名の合計1,120名の働く女性を対象に「働く女性の生理の影響に関する実態調査」を実施しました。
現在、女性の生理にまつわる不調などでの労働損失は年間4,911億円(*)とされ、女性活躍が推進されている中、企業は女性の健康課題に対応し働きやすい環境に整えることが求められています。このような状況下でクリニックフォアでは、国際女性デー(3月8日)を機に「働く女性の生理による影響」をテーマに、生理の不調による仕事への影響や、職場での生理への理解・取り組み、低用量ピル服用による不調の改善について調査を実施しました。
(*)出展:経済産業省「健康経営における女性の健康の取り組みについて」
【調査概要】「働く女性の生理の影響に関する実態調査」
調査対象(1):働く女性610名
(調査期間:2023年3月2日~2023年3月5日、調査方法:インターネット調査)
調査対象(2):クリニックフォアユーザーの低用量ピル服用者の働く女性510名
(調査期間:2023年3月2日~2023年3月5日、調査方法:アンケート調査)
※調査対象(2)は「調査結果(4)低用量ピル服用による仕事への影響について」についてのみ調査を実施しました。
調査結果(1)生理の不調による仕事への影響について
約8割の女性が「仕事において生理で困った経験がある」と回答
困った理由として最多は「経血漏れの心配」、2番目は「辛くても仕事を休めない」という結果に
働く女性610人に、仕事において生理で困った経験があるか質問したところ、約8割が「困った経験がある」と回答。さらにどのように困ったのか伺うと、最多が「経血が漏れていないか心配になる」、2番目は「生理による不調が辛くても仕事を休めない」、3番目は「イライラなど精神状態が不安定になり、周囲とのコミュニケーションに困る」という結果になりました。
約8割の女性が、生理による仕事のパフォーマンス低下を経験。その内、約6割が「対策を講じている」と回答
生理による仕事のパフォーマンスへの影響について質問したところ、約8割の人が「生理の影響で仕事のパフォーマンスが低下した経験がある」と回答。さらに、パフォーマンス低下を感じた人に、何か対策を講じているか質問したところ、28%が「対策をしており、効果が出ている」、36%が「対策をしているが、それでもパフォーマンスが下がってしまう」、36%が「対策をしていない」と回答しました。
生理による仕事のパフォーマンスを低下を感じる人のうち、約6割が対策を講じているものの、そのうち半数がそれでもパフォーマンス低下を感じていることがわかりました。
「痛み止めの服用」を中心に生理痛対策が行われている一方で、 “生理による心の不調への対策”は行う人は少ない結果に
「生理による仕事のパフォーマンス低下の対策をしている」と回答した人に、どのような対策を行っているか質問したところ、最多が「痛み止めの服用」、2番目は「お腹を温める」、3番目は「休息や睡眠を取る」、4番目は「低用量ピルを服用する」という結果になりました。この結果から、多くの人が痛み止めの服用を中心に、生理痛対策を行っていることがわかりました。同時に「仕事において生理で困った経験」について質問した際に、3番目に多かった回答が「イライラなど精神態が不安定になり、周囲とのコミュニケーションに困った」にも関わらず、低用量ピルの服用など心の不調への対策をしている人が少ないことがわかりました。
生理による仕事のパフォーマンス低下へ対策をしない理由として「対策の仕方がわからない」「生理の不調が当たり前の状態になっている」ことが明らかに
「生理による仕事のパフォーマンス低下の対策をしていない」と回答した人に、対策を行わない理由を伺ったところ、最多が「どのような対策をすればいいからわからないから」、2番目は「生理による不調があるのは普通の状態だと思うから」、3番目が「対策にかかる費用が負担になるから」という結果になりました。「生理の不調について対策の仕方がわからないこと」や「生理による不調が当たり前の状態になっていること」が浮き彫りになりました。
調査結果(2)生理の不調発生時の職場での対応について
8割以上の女性が「生理の不調を我慢して、仕事をした経験がある」と回答
生理が理由で仕事を休むことに対して、抵抗を感じていることが明らかに
働く女性610名に、生理による不調を我慢して仕事をした経験があるか質問したところ、8割以上が「生理よる不調を我慢して、仕事をした経験がある」と回答。休まなかった理由を伺ったところ、最多が「生理による不調で仕事を休むことに抵抗を感じるから」、2番目は「生理による不調で仕事を休むことを、上司や同僚に理解をされないと思ったから」、3番目は「生理による不調で、仕事を休むことを上司や同僚に相談しづらかったから」という結果になりました。生理が理由で仕事を休むことに対し、女性自身が抵抗を感じていたり、職場の人に理解されないのではと感じていることから、生理の不調を我慢して働く人が多いことがわかりました。
3人に1人が「生理による不調を理由に、仕事を休んだことがある」と回答
そのうち約3割が「”生理による不調”であることは伏せて、上司・同僚に伝えた」ことも判明
生理による不調を理由に仕事を休んだことがあるか質問したところ、3人に1人が「経験がある」と回答しました。さらに、生理による不調をどのように上司・同僚に伝えたのか質問したところ、約7割が理由を伝えられた一方で、約3割は「生理による不調であることは伏せて、体調不良であることを伝えた」と回答しました。
約3割が「職場で、生理の不調について誰にも相談できない」と回答
生理による不調について職場で相談ができると思う人について質問すると、約3割は「誰にも相談できないと思う」と回答。また「女性の上司・同僚・部下」はいずれも約20%またはそれ以上の確率で相談できると回答している一方で、「男性の上司・同僚・部下」に対して相談できると回答した人は、いずれも10%を満たしませんでした。この結果から、女性よりも男性の従業員へ相談がしづらいことがわかりました。
調査結果(3)生理の不調に対する、職場の理解・取り組みについて
約半数の女性が「職場で生理に対する理解があると感じる」と回答
生理による不調を相談しやすい環境や、生理の不調がある時の休みやすさがカギに
働く女性610名に、現在の職場の生理に対する理解について質問したところ、約半数が「理解があると感じる」と回答しました。その理由を伺ったところ、「生理を理由に休める環境や相談のしやすさ」、「生理休暇の制度がある」などの回答が寄せられました。
<「職場で生理に対する理解がある」と回答した人の声>
・生理を理由に休ませてもらえるから
・生理について相談しやすいから
・理解のある上司がいるから
・同僚が生理痛で休むことがあるから
・気遣いの言葉を掛けてくれたり、「薬を持ってるからあげようか」と言ってくれる同僚や後輩がいるから
・生理休暇があるから
・生理だけでなく、体調がすぐれない時など、快く休ませてもらえるから
「男性が多い職場だから、職場で生理に対する理解がない」という声がある一方で、「女性が多い職場でも理解がない」という声も
「職場で生理に対する理解を感じない」と回答した人に、その理由を伺ったところ、「生理がプライベートな話題のため、タブーな雰囲気を感じる」など生理について相談しづらい環境であることや、「生理休暇を取得した人がいないから」など、制度があっても取得しづらい雰囲気がある旨が寄せられました。また「男性が多い職場の場合、生理について理解してもらえない」という回答があった一方で、「女性が多い職場で『みんな耐えているんだから』という雰囲気があり休みづらい」といった、女性が多い職場でも生理に対する理解がないと感じている回答が寄せられました。
<「職場で生理に対する理解がない」と感じた人の声>
・プライベートに踏み込む話題であるため、タブーな雰囲気を感じる
・男性社員ばかりで理解してもらえないから
・女性が多い職場で「みんな耐えてるんだから」という空気感があるから
・生理休暇はあるが取得した人はいないから
・仕事がとにかく忙しく、常に人が足りておらず、体調不良などは言いづらいから
・なにも制度がないから
・「生理くらいで」という風潮があるから
約4割が「生理休暇が導入されている」と回答し、そのうち約半数が利用した経験も
職場に生理休暇が導入されているか質問したところ、約4割が導入していると回答。
さらに導入していると回答した人に、利用したことがあるか伺ったところ、約半数が利用した経験があると回答しました。
生理休暇に対して「ありがたかった」というポジティブな意見がある一方で、「他人に仕事をを任せてしまい、申し訳ない気持ちになった」という意見も
生理休暇を利用したことがある人に感想を伺うと「ありがたかった」や 「有給休暇をとることなく休めることで心理的な負担が減り休みやすかった」などポジティブな意見がありました。その一方で、「他人に仕事を任せてしまい、申し訳ない気持ちになった」や「評価はさがらないが手取りが減ってしまうのが嫌だった」という生理休暇を取得できても、後ろめたい気持ちがあったことや、収入に影響するとう意見も寄せられました。
また生理休暇を利用したことがない人に、利用しない理由を伺うと、「男性がいる職場では申請しにくい」など生理休暇を利用しにくい環境である旨の回答が多数寄せられたほか、「無給になるから」「生理休暇が普通の有給と変わらないから」など有給消化と違いがないことや、休暇中は給料が発生しなくなるなど、職場に生理休暇を導入されていても、実際には取得しづらい状況にある事例があることもわかりました。
<生理休暇を利用した人の感想>
・家でゆっくり横になれて助かった
・ありがたかった
・他人に仕事を任せてしまい、申し訳ない気持ちになった
・休みが取れるので安心感がある
・欠勤扱いにならないので評価は下がらないが、時給で働いているので手取りが減ってしまうのが嫌だった
・有給休暇をとることなく休めることで心理的な負担が減り、休みやすかった
<生理休暇を利用しない理由>
・男性がいる職場では申請しにくい
・男性上司に申請したくない
・男性ばかりで使いにくい
・忙しすぎて、休めない
・社内で誰も取得した人を見たことがないので、取得しづらいから
・無給になるから
・有給として消化されるだけなのに、わざわざ生理だと言う必要もないから
調査結果(4):低用量ピル服用による仕事への影響について
クリニックフォアユーザーの低用量ピルを服用する働く女性510名を対象に、低用量ピル服用による仕事への影響について調査しました。
約7割が、低用量ピルにより”仕事のパフォーマンスが向上”
その理由に「生理の不調を我慢して働かなくなった」「経血漏れの心配がなくなった」という声も
低用量ピル服用者510人に、低用量ピル服薬後の仕事への影響について質問すると、約7割が「低用量ピルの服薬によって、服薬を開始する前と比べて働きやすくなったり、仕事のパフォーマンスが向上したと感じる」と回答しました。その理由について伺ったところ、最多は「生理による不調を我慢して働くことがなくなった」、2番目は「経血漏れの心配がなくなった」3番目は「生理用品を交換する頻度が減った」という結果になりました。
低用量ピルにより、仕事のパフォーマンス向上につながった一方で、約半数が金銭的な負担を感じていることが明らかに
低用量ピル服用者に、ピルの服薬を継続する中で困ったことや負担に感じることを質問したところ、最多は「金銭的負担」、2番目は「服薬を忘れしまう」という結果になりました。低用量ピル服用者の7割が、ピルにより仕事のパフォーマンス向上につながっている一方で、服用者の約半数の人が金銭的な負担を感じていることがわかりました。
低用量ピル服用者が職場に求めること第1位は「低用量ピル処方に関する費用補助」
低用量ピル服用者に、職場においてどのようなサポートがあった方がいいと感じるか質問したところ、最多が「低用量ピル処方に関する費用補助」、2番目は「体の不調に対応した、テレワークやフレックスなどの働き方の制度」3番目は「生理用品の支給や費用補助」という結果になりました。
生理に関連する不調は「月経随伴症状」と呼ばれ、腹痛や腰痛、頭痛といった体の不調だけではなく、イライラや気分の落ち込み等の心の不調も含まれます。その症状や、程度・期間は人によってさまざまですので、ご自身の症状に合わせた対策を取られることをおすすめします。今回の調査では、8割以上の女性が「生理の不調を我慢して、仕事をした経験がある」と回答、生理を理由に仕事を休むことに対する躊躇や抵抗感が浮き彫りになりました。生理による不調が重い場合には、子宮内膜症やPMDDといった疾患の可能性もありますので、我慢をせず、産婦人科などの医療機関で相談して下さい。
また今回の調査で、「痛み止めの服用」を中心に生理痛など体の不調への対策は行われている一方で、”心の不調への対策”は十分に行われていないという結果が見られました。そこで今回は、体だけでなく心の不調へもアプローチができる「低用量ピル」について解説させていただきます。
下記参照ください。
低用量ピルは、生理による体と心の不調にアプローチが期待できる薬
低用量ピルは少量の女性ホルモンが含まれるお薬です。女性は月に1度脳から卵巣に対し排卵を促すシグナルが出ますが、低用量ピルを服用中はホルモンの分泌量が変化し、排卵がストップするという仕組みです。効果は避妊だけでなく、生理痛や月経量、生理不順の改善、イライラや気分の落ち込みなど心の不調が現れる月経前症候群(PMS)の軽減。さらに、ニキビ・肌荒れの改善、卵巣がん・子宮体がんの予防効果も期待できます。
<低用量ピルの効果>
・避妊
・月経前症候群(PMS)症状の軽減
・ニキビの改善
・月経量の軽減
・生理痛の軽減
・生理不順の改善
・子宮内膜症の改善
・卵巣がんの予防 など