車の維持費の中でも大部分を占める燃料費。ガソリン代の高騰が止まらない昨今、燃料費を抑えるために最も有効なのは燃費が良い車を選ぶことといえます。とはいえ、たくさんの車の燃費性能をひとつずつ調べるのはかなりの手間がかかります。

そこで、燃費の良い車をランキング形式でご紹介します。SUVやミニバンなどタイプ別のランキング、また実燃費向上につながるテクニックなども見ていきましょう。

普通車の燃費の良い車 総合ランキングTOP10

普通車の燃費の良い車ランキング上位10車種をご紹介します。ランキング上位はガソリン車に加え、ハイブリッド車をラインナップする車種が上位に入りました。

1位トヨタ「ヤリス」36.0
2位トヨタ「アクア」35.8
3位トヨタ「ヤリスクロス」30.8
4位トヨタ「カローラ」30.2
ホンダ「フィット」30.2
6位トヨタ「カローラスポーツ」30.0
7位トヨタ「カローラツーリング」29.5
8位トヨタ「シエンタ」28.8
9位トヨタ「プリウス」28.6
10位日産「ノート」28.4

燃費の良い車のTOP10のうち、トヨタ車が8割を占めています。トヨタはハイブリッド技術に定評があり、燃費性能には強みがあります。なお、車は重量が軽いほど燃費には有利になるので、車体が小さく比較的車両重量が軽いコンパクトカーが6車種ランクインしています。

トヨタ車は「カローラ」や「カローラスポーツ」など3ナンバーの普通車もありますが、ホンダと日産はコンパクトカーのみがTOP10に入っています。

燃費が良いコンパクトカーランキングTOP5

コンパクトカーには厳密な定義がなく、一般的には5ナンバーの小型自動車のほか、3ナンバーであっても排気量1.5L以下、または全長が4.7m程度以下の車を指します。

ここでは、5ナンバーサイズの車、またはメーカーが「コンパクト」と位置付けている車のうち、燃費性能に優れた5車種をご紹介します。

1位 トヨタ「ヤリス」

2WD19.6~36.0147万円~
4WD/E-Four19.2~30.2185万7,000円~

燃費の良いコンパクトカーで1位になったのは、総合ランキングでもトップに輝いたトヨタの「ヤリス」です。デザイン性や安全性能、燃費性能など全方向にレベルが高くバランスのとれたコンパクトカーとして欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、日本だけではなくグローバル市場からも高い評価を受けているモデルです。

ハイブリッド車は36.0km/Lという高いレベルの低燃費を実現していることはもちろん、ガソリン車も21.6km/Lと十分な燃費性能を有しています。また、一般的にハイブリッド車は車両本体価格が高い傾向がありますが、ヤリスのハイブリッド車のエントリーグレードは201万3,000円と買いやすい価格を実現しているのもポイントです。

2位 トヨタ「アクア」

2WD29.3~35.8199万7,000円~
E-Four30.0~30.1219万5,000円~

トヨタ「アクア」は、トヨタの看板車種であるハイブリッドカー「プリウス」が大型化し3ナンバーとなったことから、国内の道路事情に適したコンパクトハイブリッドカーのニーズを満たすモデルとして2011年にデビューしました。

現行型は2021年7月に初めてのフルモデルチェンジを受けた2代目で、燃費性能に磨きをかけたことはもちろん、ホイールベースを拡大し先代型よりも後席の居住性や荷室の使い勝手を向上させました。さらに、交差点での衝突回避に対応した衝突被害軽減ブレーキやシフト制御までシステムが行う駐車支援機能を設定するなど、最新鋭の先進安全技術を多数採用し安全性を大幅に向上させています。

3位 トヨタ「ヤリスクロス」

2WD17.6~30.8189万6,000円~
4WD/E-Four17.4~28.7212万7,000円~

トヨタ「ヤリスクロス」は、ヤリスの派生車種ではありますがボディサイズがヤリスよりも一回り大きく、後席や荷室によりゆとりがあります。ヤリスには及びませんが、それでもかなり高いレベルの低燃費を実現しているので、燃費の良さは魅力だけどヤリスは少し狭い、と感じている方におすすめです。

2022年7月には、スポーティーでアグレッシブなスタイルが魅力の「GR SPORT」をラインナップに追加。専用のサスペンションや電動パワーステアリング制御、剛性アップパーツなどを採用し、ルックスだけでなく走りの質感も高めています。

4位 ホンダ「フィット」

2WD17.6~30.2159万2,800円~
4WD16.0~25.4179万800円~

燃費の良い車総合ランキングにホンダ車で唯一ランクインしている「フィット」。コンパクトカーランキングにおいても4位になりました。フィットは日常のほとんどの走行シーンをモーターでまかなう2モーター式のハイブリッドシステム「e:HEV」を採用し、燃費性能を高めています。

また、コンパクトカーの域を超える室内の広さはフィットの大きな魅力です。ホンダ独自のパッケージング技術「センタータンクレイアウト」により、後席にもしっかりとゆとりを持たせているためどの席に座ってもくつろいでドライブを楽しむことができるでしょう。

5位 トヨタ「シエンタ」

2WD18.3~28.8195万円~
E-Four25.3257万8,000円~

コンパクトカーランキング5位に入ったのは、2022年8月にフルモデルチェンジしたトヨタのコンパクトミニバン「シエンタ」です。現行型ではガソリン車は2WDのみとなり、4WDが選択できるのはハイブリッド車のみとなりました。なお、シエンタでは電気式4WDシステムのE-Fourを搭載しています。

新設計された高剛性プラットフォームを採用したり、構造用接着剤の一部を高減衰タイプにしたりすることで操縦安定性や乗り心地、静粛性が向上。従来型以上に走りの質感を磨き上げています

燃費が良いSUVランキングTOP5

今の車の主流のスタイルといえるSUVは、人気が高いボディタイプであるため各メーカーが多彩なラインナップをそろえる激戦区です。SUVの燃費が良い車上位5位のランキングは以下のようになりました。

1位 トヨタ「ヤリスクロス」

2WD17.6~30.8189万6,000円~
4WD/E-Four17.4~28.7212万7,000円~

2020年8月に日本で販売が開始された「ヤリスクロス」は、世界トップクラス(2022年7月時点、トヨタ調べ)の低燃費を実現しています。SUVでここまで低燃費の車はこれまでなかったので、SUVが好きで、かつ燃費性能にこだわりたい方にとってはかなりおすすめの1台といえます。

今時のスタイリッシュで都会に似合うデザインのコンパクトSUVではありますが、そのイメージを覆すようなしっかりとした悪路走破性を備えているのもヤリスクロスの魅力。ガソリン4WD車には路面状況に応じた3つの走行モードが選択できる「マルチテレインセレクト」を搭載しています。

2位 ダイハツ「ロッキー」/トヨタ「ライズ」

2WD20.7~28.0ロッキー:167万7,000円~
ライズ:171万7,000円~
4WD17.4ロッキー:195万4,800円~
ライズ:199万4,800円~

ダイハツ「ロッキー」/トヨタ「ライズ」はダイハツとトヨタが共同開発した5ナンバーサーズのコンパクトSUVです。全長4m以下、最小回転半径は4.9~5.0mと、SUVとしては非常に小回り性能が高く、日本の道路事情に適したサイズ感が高く評価されています。それでいて17インチの大径タイヤを採用し、本格SUVのようなタフな雰囲気を感じさせるデザインを採用しているのがロッキー/ライズの魅力といえるでしょう。

なお、ロッキーはスバルにもOEM供給されており、スバルでは「レックス」の名で販売されていますが、レックスにはハイブリッド車が設定されなかったため兄弟車であってもランキングからは外れています。

3位 トヨタ「カローラクロス」

2WD14.4~26.2199万9,000円~
E-Four24.2279万9,000円~

カローラシリーズ初のSUVとして2021年9月にデビューしたトヨタ「カローラクロス」。トヨタの基幹シリーズであり世界的に知名度の高い「カローラ」の名を冠して販売されるSUVであることから、カローラとしてのイメージを損なわない比較的オーソドックスなデザインが採用されています。

セダンに親しみがあり、あまりSUVになじみがない世代にも受け入れられやすいスタイルはカローラクロスの魅力のひとつといえるでしょう。クラストップレベル(2021年9月時点、トヨタ調べ)の荷室容量を確保し、SUVとしての使い勝手も抜群です。

4位 トヨタ「C-HR」

2WD14.9~25.8239万2,000円~
4WD14.3262万3,000円~

斬新なエクステリアデザインが特徴のトヨタ「C-HR」。ダイヤモンドをモチーフとした大胆な造形、ニュルブルクリンクをはじめとする世界各国の道を走り込んでチューニングした走りは、「良くも悪くもオーソドックスで王道」というこれまでのトヨタ車の概念を覆すような、インパクトのあるものでした。

C-HRは2016年に登場したモデルであり、ここで登場したヤリスクロスやカローラクロス、次の5位に位置している現行型のホンダ「ヴェゼル」よりも基本設計は古いといえます。それでも数ある国産SUVの中で上位の低燃費を実現している点において、トヨタのハイブリッド技術の高さがうかがえます。

5位 ホンダ「ヴェゼル」

2WD17.0~25.0227万9,200円~
4WD15.6~22.0249万9,200円~

ホンダ「ヴェゼル」の従来型はSUVらしいタフさを前面に出したデザインでしたが、2021年4月に登場した現行型はイメージを一新、エレガントで都会的なSUVへと進化しました。

搭載するハイブリッドシステム「e:HEV」はEVモードとハイブリッドモード、エンジンモードを賢く使い分けることで低燃費を実現。またアクセルオフ時の減速感を4段階に調節できる「減速セレクター」や走行シーンや好みに合わせて走行モードが選べる「ドライブモードスイッチ」も備えており、ホンダ車ならではの走る楽しさも味わえます。

燃費の良いミニバンランキングTOP5

大人数が乗車でき、日本ではファミリーカーの第一選択肢であるといえるミニバン。現在はスバルやマツダがミニバンを生産しておらず、少し前のミニバンブームのときほどの車種のバリエーションはありませんが、ユーティリティの高さや室内の広さで一定の人気を保っています。

ミニバンの燃費の良い車ランキングでも、トヨタ車が多く見られる結果となりました。

1位 トヨタ「シエンタ」

2WD18.3~28.8195万円~
E-Four25.3257万8,000円~

コンパクトカーランキングでも5位に入っていたシエンタがミニバンランキングではトップとなりました。シエンタの先代モデルはトレッキングシューズをモチーフとしたかなり個性的なデザインでしたが、2022年8月に登場した現行型ではエクステリアを一新。印象的なサイドプロテクションモールを装着し、ルノー「カングー」のような欧州車の雰囲気をまとったスタイルになりました。

ミニバンとしての居住性や使い勝手にも磨きをかけており、室内長を拡大。またクラストップレベル(2023年1月時点、トヨタ調べ)の前後席間距離を確保して頭上空間、肩まわりともに余裕を持たせています。天井サーキュレーターや「ナノイーX」など、車内環境を快適に整える機能も多数設定されました。

2位 トヨタ「ノア」

2WD15.0~23.4267万円~
4WD/E-Four14.3~22.0286万8,000円~

ファミリーカーの定番モデルといえるトヨタのヒットモデル「ノア」。先代まではノア、ヴォクシー、エスクァイアの3兄弟モデルでしたが、2022年1月のフルモデルチェンジではエスクァイアは姿を消し、ノアとヴォクシーの2兄弟となりました。

現行型では先代に設定がなかったハイブリッド4WD車を追加。電気式4WDシステム「E-Four」搭載モデルとして新設定されました。また、一定の条件を満たすとステアリングから手を離すことも可能な渋滞時支援機能「アドバンスト ドライブ」など、多数の最新鋭の先進安全技術を採用したことでも話題になりました。

3位 スズキ「ランディ」

2WD15.1~23.2310万6,400円~
4WD/E-Four14.3~22.0332万7,500円~

スズキ「ランディ」はスズキがトヨタ・ノアのOEM供給を受けて販売するモデルです。OEM供給モデルはブランドデザインを反映した独自のエクステリアが採用されることもありますが、ランディのデザインはノアのままでありルックスではエンブレム以外に大きな差はありません。

装備やグレード構成に関してはノアとは違いがあり、先述したノアに設定のある運転支援機能は採用されていません。またノアでは最上位グレードを除き各グレードが7人乗り、8人乗りが選択できるのに対し、ランディではガソリン車は8人乗り、ハイブリッド車は7人乗りで固定です。

4位 トヨタ「ヴォクシー」

2WD15.0~23.0309万円~
4WD/E-Four14.3~22.0328万8,000円~

ノアの兄弟車であるトヨタ「ヴォクシー」は4位に入りました。ヴォクシーはノアと同じ設計でパワーユニットやプラットフォームなど基本コンポーネントを共有していますが、ノアの23.4km/Lを実現しているグレードに相当するモデルの設定がなく若干車両重量が重くなっているため、燃費ランキングにおいてはノアに後れを取る結果となりました。

ヴォクシーはカッコよさを際立たせた、良い意味でミニバンらしくないたたずまいが魅力の1台です。いかにも「ファミリーカー」といった雰囲気ではなく、洗練されたクールなデザインをミニバンにも求める方にぴったりでしょう。

5位 ホンダ「フリード」

2WD17.0~20.9227万5,900円~
4WD15.6~19.8244万900円~

シエンタのライバルであるホンダのコンパクトミニバン「フリード」が5位と健闘しています。現行型のフリードは2016年にデビューしておりモデル末期に差しかかっているといえますが、2022年暦年ミニバン販売台数1位を獲得するなど、いまだ衰えぬ人気を誇っています。

2022年6月に運転席と助手席のシートヒーターやスライドドア両側のロールサンシェード、撥水加工されたフロントガラスや親水/ヒーテッドドアミラーなど悪天候時の視界を良好に保つ「コンフォートビューパッケージ」が標準搭載されるなど、随時装備をアップデートして使い勝手の良さや快適性を向上させています。

燃費の良いセダンランキングTOP5

セダンは今でこそSUVに人気を奪われていますが、車の基本形といえるボディタイプで安全性や走行性能に優れています。かつての「車=セダン」という時代に現役であった高齢者にセダンの支持者が多いことからシニア向け、という印象を持つ若年層も多いといえますが、海外ではセダンは世代を問わず一定の人気を保っています。

セダンのランキングでは、トヨタのカローラシリーズが2車種ランクインしました。

1位 トヨタ「カローラ」

2WD18.1~30.2199万円~
E-Four25.3~28.1257万8,000円~

セダンのトップに輝いたのは、トヨタの代名詞ともいえるモデル「カローラ」です。SUV人気に押されてセダンが次々と姿を消している中、時代に合わせて進化させ今でも多くの方の支持を集めている信頼性の高い1台です。

歴史のあるカローラらしい奇をてらわない堅実なデザイン、セダンならではの安定した走りはもちろん、コネクティッド機能や最新鋭の先進安全技術も搭載し、今の時代が求める先進性も確保しています。

2022年10月の一部改良では、電動モジュールを刷新した1.8Lハイブリッドシステムを新たに採用、ガソリン車においても新開発の1.5Lダイナミックフォースエンジンに換装するなど、パワートレインを刷新し燃費性能に磨きをかけました

2位 トヨタ「プリウス」

2WD28.6320万円~
E-Four26.7~30.7342万円~
*プラグインハイブリッド車・法人向けグレード・「KINTO」専用グレードを除く

2023年1月、「Hybrid Reborn」をコンセプトに5代目となる現行型に切り替わったトヨタ「プリウス」。プリウスは1997年に世界初の量産ハイブリッドカーとしてデビューしたエポックメイキングなモデルで、2代目、3代目モデルは大ヒットとなり「国民車」と呼ばれるまでの存在になりました。ハイブリッド車の普及に大きく貢献した1台です。

今ではハイブリッド車はもちろん、さらに環境性能に優れたEVやプラグインハイブリッド車が一般的になりました。ハイブリッド車であることに特段の付加価値がなくなった今、目を奪われるようなデザインや走りの良さを追求し、これまでのプリウスにはなかった新たな魅力を持たせています。

3位 トヨタ「カローラアクシオ」

2WD17.2~27.8161万1,600円~
4WD15.6187万5,600円

トヨタ「カローラアクシオ」は、今となっては希少な存在といえる国産の5ナンバーセダンです。元々カローラは5ナンバーサイズのモデルでしたが、世代を重ねるごとにグローバルでのニーズに対応するために大型化が進みました。そのため国内の道路事情に適したコンパクトサイズのカローラを開発し、国内専用モデル「カローラアクシオ」として販売されたという経緯があります。

セダンランキング1位に登場した現行型カローラの先代にあたるモデルですが、現行型はグローバルで仕様がほぼ統一されたため再び大型化しました。カローラアクシオは5ナンバーサイズのニーズが高いことからグレード整理のうえで現在も販売が続けられています。

4位 トヨタ「カムリ」

2WD24.3~27.1349万5,000円~
E-Four21.6369万3,000円~

トヨタの世界戦略車であり、海外、特に北米市場で高い人気を誇る「カムリ」。初代モデルは1980年に「セリカ カムリ」としてデビュー、2017年に登場した現行型で10代目となる歴史あるセダンです。

全長4,885~4,910mm、全幅は1,840mm、最小回転半径は5.7~5.9mと、国内モデルとしてはサイズが大きく、また価格帯も高額であることから日本ではそれほど頻繁に見かけることのない通好みのセダンともいえます。

上質なセダンとしての快適な乗り心地と、ドライバーが意のままに車を操る楽しさを両立。通気性を高めるとともにデザイン性にも配慮した「デザインパーフォレーション」を施した本革シート、優美な雰囲気を演出するウッド調の加飾など、上級セダンならではのラグジュアリーなインテリアも魅力です。

5位 ダイハツ「アルティス」

2WD24.3406万3,000円~
E-Four21.6426万1,000円~

ダイハツ「アルティス」は、先述したトヨタ・カムリのOEM供給モデルです。ダイハツで最も高額なモデルであり、現在のダイハツのラインナップの中で唯一3ナンバーの車でもあります。

カムリには複数のグレードの設定がありエントリーグレードの「X」が27.1km/Lを実現していますが、アルティスには該当グレードの設定がないため同じパワーユニットを搭載する兄弟車ではありますが、ランキングに差が出ました。

燃費の良い車の選び方

カタログに記載されている燃費の数値が良い車は、燃費性能が高いことは間違いありません。ただし、自身のカーライフに合っていない車を選んだ場合、またしっかりと確認せずにカタログスペックのみで選んだ場合、「期待したほど燃費が良くなかった」となる可能性があるため、車選びの際には以下の点に注意することをおすすめします。

必ずしもハイブリッド車が良いとは限らない

一般的に「燃費が良い車=ハイブリッド車」、のイメージがあるのではないでしょうか。それは間違いではありませんが、車の使い方によってはハイブリッド車が必ずしも低燃費とは限らないのです。

ハイブリッド車は、ストップ&ゴーを繰り返す街なかでの走行シーンで燃費を稼ぎます。高速域はエンジンの得意領域でモーターよりもエンジンの効率が良いため、高速走行時はエンジンがほぼ作動している状態になるハイブリッド車も少なくありません。

高速道路を使用しての長距離移動がメイン、という方はハイブリッド車のメリットを活かせず、思ったほど実燃費が伸びない、といったことになりかねません。自身の車の使い方をよく考え、ハイブリッド車とガソリン車を選ぶようにしましょう。

実燃費も確認する

WLTCモードは国際的に使用されている燃費の計測方法であり、従来日本で使用されてきたJC08モードよりも実燃費に近い数値が出るとされています。

しかし実燃費は、運転の仕方をはじめ、気温や道路環境、電装品の使用、荷物や乗員の重量などの影響を受けるため、カタログ燃費よりもある程度悪化することがほとんどです。カタログスペックそのままの燃費が常に出るわけではないので、可能であれば実燃費を確認しておきましょう。

グレードによって燃費が異なる場合も

ほとんどの車には複数のグレードが設定されています。装備によって車の重量が変わる場合、カタログ燃費にも差が出ます。また、「クラストップの低燃費」などのスペックを追求するためにエントリーグレードのみ燃料タンクの容量を小さくしている、などというケースもあります。

もちろん、搭載されているパワーユニットが同じであれば燃費性能にはそれほど大きな差はありません。しかし複数のパワーユニットが設定されている場合、ハイブリッド車とガソリン車では大きな燃費の差があることに加え、車種によっては排気量が異なる数種類のエンジンをラインナップしている場合もあります。

そのため「低燃費」であることが売りのモデルであっても、グレードによって燃費性能が大きく異なることも少なくありません。グレードの選択時には、装備だけではなく、パワーユニットと燃費も確認しておきましょう。

燃費が良い車に乗るメリット・デメリットとは

燃費が良い車に乗る最大のメリットとしては、以下の点が挙げられます。

●燃料費が抑えられる
燃費が良い車の最大のメリットは、やはり燃料費が抑えられることといえます。燃料費は車を維持するうえで絶対に欠かせないものなので、車の使用頻度が高い方、頻繁に長距離を移動する方にとって燃費の良いことの恩恵はかなり大きいでしょう。ここ数年のようにガソリンの値段が高止まりしている場合はなおさらです。

●税金の優遇がある
一定の燃費基準を満たしている車は、性能に応じて各種税金の減免が受けられます。かつての自動車取得税に代わって導入された環境性能割は燃費性能が高いほど負担が少なく、電気自動車などの環境性能が高い車は免税になります。また、自動車重量税はエコカー減税、自動車税/軽自動車税(種別割)はグリーン化特例による減免があります。

●SDGsへの貢献につながる
燃費が良い車は、環境負荷が少なく地球に優しい車であるといえます。環境に対する意識が高く、カーライフにおいてもサスティナビリティを意識したい方には良い選択肢となるのではないでしょうか。

デメリットとしては、ハイブリッド車や電気自動車、プラグインハイブリッド車などはガソリン車よりも車両本体価格が高いこと、部品数が多く複雑なしくみのため修理費用が高額になりがちなことが挙げられます。

燃費向上のためにできること

燃費の良い車を選んでも、メンテナンス不足や運転方法によっては燃費性能を十分に発揮できないケースもあります。

車の持つ燃費性能を最大限に引き出し、できるだけ実燃費を向上させる方法をご紹介します。

タイヤの適正空気圧を維持する

タイヤの空気圧はこまめにチェックすることをおすすめします。タイヤの空気圧が下がるとタイヤの接地面積が大きくなり抵抗が増すため、その分動力が必要になり、燃費の悪化につながります。

また、空気圧が低下した状態だとタイヤは本来の排水性能を発揮できず、タイヤと路面のあいだに水の膜ができる「ハイドロプレーニング現象」を起こしやすくなります。ハイドロプレーニング現象は一度起きてしまうと車の操作性が失われるため、非常に危険です。そのほかにもタイヤが突然爆発するように破裂する「バースト」が起こりやすくなるなどのリスクもあるので、燃費はもちろん安全のためにもタイヤの適正空気圧は維持するようにしましょう。

エコドライブを心掛ける

運転の仕方によっても燃費は大きく変わります。急発進、急停止などできるだけ「急」がつく運転を避けるだけでも差が出るので、時間に余裕をもって、リラックスして加減速の少ない運転を心掛けましょう。

エコドライブの達成度合いをマルチインフォメーションディスプレイなどに表示し、エコドライブをサポートしてくれる機能を搭載している車種もあります。

必要のない荷物は載せない

掃除機などの清掃グッズや日常的に使用しないアウトドア用品など、ついつい車に積みっぱなしにしていませんか?車は重たくなればなるほど動かすために多くのパワーを費やすので、燃費が悪化します。

万が一の自然災害への備えのための非常用のアイテムなどは仕方がありませんが、不要なものは積みっぱなしにせず、できるだけ車の重量を軽くすると実燃費向上にもつながります。

燃費の良い車で満足度の高いカーライフを送ろう

ガソリン代は社会情勢などによって相場が変わり、ここ数年のように高騰した状態が続くこともあります。生活に車が欠かせない方にとってはかなり大きな負担となるでしょう。

車は大きな買い物であり、一般的には長期間使用するものです。燃費の良いハイブリッド車やEVは車両本体価格が高い傾向がありますが、長い目で見るとどちらがお得か、また自身の車の使い方であればガソリン車とハイブリッド車どちらにメリットがあるのかなどをよく検討し、自身のカーライフに合った燃費の良い車を選びましょう。

※この記事は2023年3月時点の情報で制作しています

この記事の執筆者

マイカーコンシェルジュ(クルマ専門家)・自動車整備士・危険物取扱者・自動車販売店運営
若林由晃(わかばやしよしてる)

代々継がれる創業70年の車販・整備工場を営む家に生まれ、エンジンオイルとガソリンの香りにまみれながら育つ。小学校から車販の接客、中学校には整備の手伝いを行う根っからのカーガイ。自動車整備専門学校では上位の成績で卒業。整備士国家資格は満点合格(専門学校の先生が採点)。 その後、大手自動車メーカー系列のディーラーで整備と中古車販売を経験。IT×車という販売方法に興味を持ち、個人向けカーリースのセールスに転身。中古カーリース事業、全国の加盟店販売事業の立ち上げを行う。2022年より自動車販売店運営