漢方薬を中心とした一般医薬品と医療用医薬品を販売するクラシエ薬品が12月6日、今年最も注目された漢方薬を発表する「KAMPO OF THE YEAR 2023」を開催しました。独自の調査をベースに、生活に潜む不調について漢方独自の目線で読み解くこちらの取り組みは、今回で2回目の開催だそう。
本記事では漢方薬市場の動向や2023年に売上を伸ばした注目の漢方薬をご紹介していきます。
一般用漢方薬でトップシェアのクラシエ
会見冒頭では草柳徹哉代表取締役社長が登壇し、漢方市場の概要が説明されました。1966年からおよそ半世紀以上に渡り、日本に暮らす人々の健康で豊かな暮らしをサポートしてきたクラシエ薬品。現在は一般用漢方薬でトップ、医療用漢方薬ではシェア2位を誇ります。どちらも直近6箇年は増加傾向で、堅実な成長をしているそうです。
草柳氏は「漢方薬は一般用、医療用ともに着実に金額・数量ベースで伸長しております。特に一般用漢方薬におきましては、今月末の見通しで730億円の市場規模となっており、過去最高値です。」と述べながら漢方市場のトレンドを紹介しました。
“のどの異常“に関連する処方が伸長
続いてヘルスケア事業部マーケティング部の砂橋久瑠実氏が、2023年に売れた漢方薬ランキングを発表しました。
結果は1位が風邪に広く用いられる「葛根湯」、2位は肥満改善に用いられる「防風通聖散」、3位は足のつりの改善に効く「芍薬甘草湯」に。50-60代では足のつりや夜間尿等の加齢に伴う症状対処に効果的な漢方が継続して好調となったそうです。
また、一般用漢方薬市場で1月~10月の期間、最も伸長率が高かった漢方処方としては、1位がしわがれ声やのどの痛みに対応する「響声破笛丸(きょうせいはてきがん)」に。2位・3位には咳関連の処方である「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」「五虎湯(ごことう)」が入り、上位3位は全て「のどの異常」に関連する処方がランクインしました。
のどに関する処方が伸びたのは、新型コロナウイルスの影響で以前よりも咳への対処意向が高まり、セルフメディケーション需要の高まったことが要因だと推察されるそうです。
2024年度の漢方トレンドはフェムケア
続いて発表された2024年のトレンド予測では、「セルフメディケーション」の重要性が増加すること、漢方薬市場における「デジタルシフト」が強調されました。さらに注目すべきは女性の社会進出による「フェムケア」の需要拡大だと紹介されました。
クラシエは2023年11月に、20代から60代の働く女性を対象とした調査を実施しました。調査では働く女性の41%が月に1回以上体調不良を感じながら勤務し、そのうち64%が仕事に支障が出ているという結果が明らかになりました。
さらに調査では、漢方薬の現利用者は、処方薬、西洋薬と比較して「副作用(眠くなる等)の心配がない」と回答したスコアが高いことも判明しました。働く女性の不調には、漢方薬が一般的な特徴からも相性がよいそうです。
2024年は体質的な周辺症状まで改善出来るのも漢方薬が注目されそうですよ。フェムケア対策としての漢方薬をぜひ利用検討してみてはいかがでしょうか。