創業440年。天正年間には御所御用も務めた香司名跡の香りの伝統を受け継ぐ【御香所 香十】。 日本の香文化の源流をふまえ伝統を受け継ぎ、新たな日本の香り文化を創造しています。茶道、華道にならぶ三大芸道の一つの香道。そんな日本独特の香道を学ぶ場として、2つの場で体験会を実施しています。「座香十」では、銀座香箱3階の本格香間『暁』で香席の体験会や香文化を学べる講座を開催、「座香十楽」では店舗で気軽に楽しめるお香体験を開催しています。今回、「座香十」で定期的に開催している「組香」を体験してきましたのでレポート致します。

香文化と香道

仏教とともに祈りの香として日本に伝えられた香の文化。香が伝えるものを心で聞き取るということから、「香を聞く(聞香・もんこう)」という言葉と行為が生まれ、広まります。香の伝来からおよそ千五百年の時を重ね、室町時代の終りの頃から、香は芸道の形(香道)を作り始め、江戸時代に
「香道」は現代に伝えられる基本の形を整えていきます。

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香は時を経て平安期の貴族たちによって「遊びの香り」へと発展しました。仏前に供えるだけでなく、部屋にたき込めたり衣装にたきしめたりと、香りそのものを楽しむようになったのです。

香席の流れ

香道御家流師範・丸山堯雪(ぎょうせつ)先生

天の恵みといわれる香木の一片を燃やさずに暖めて香気をたて、その微妙な香りを心で聞きとる「聞香」が基本です。一炷聞き(いっちゅうぎき)、鑑賞香ともいいます。「聞香」で複数の香木の香りを聞き分ける事が、やがて香り当て遊びのような形となり、香で文学や季節を楽しむ形が生まれ、それが「組香」と呼ばれるようになりました。『源氏物語』や『古今和歌集』などの文学を題材として、香りの違いを確かめ聞くことによって、文学を香りを通じて解釈する遊びです。

さらに「香」は平安貴族たちの知性感性のかたちであり、自己の美意識の表現や身分の証となりました。こうした香のある平安期の雅な有り様については、「源氏物語」や「枕草子」などからも、詳しく知ることができます。

香十の香席体験 (*特別に撮影許可をいただきました)

銀座香箱3階の本格香間『暁』

中に入ると厳かな和室とテーブル席があり、今回はテーブル席での開催です。

「香道」にふれるのは今回がはじめて。置いてある小物などにも興味津々。先生が丁寧に使い方なども教えてくださるので、指示に従います。

1.香道具を整える
地敷打敷が香元の前に広げられ、香道具が並べられる(行われる組香によって異なる)

2.香木片を聞香炉へ
香元が灰手前をすませた聞香炉の銀葉の上に1欠片の香木をのせる。

3.聞香炉を香席のお客へ
香元より正客から順番にお客に香炉が回される(写真は御家流)

4.聞香炉で香を聞く
聞香炉は水平に持ち、左手の手のひらに乗せ安定させ、右手で上を覆い、一瞬香りをためてから深呼吸のように香りを聞き分け(3回)、次の人へ渡す

5.答えを書く
すべての香炉が回り終わってから、ルールに従い、自分の答えを書いて提出する。(その「組香」により答えの方法も異なる。)

6.香席の記録とお答えの発表
香元席の隣につく「執筆」という記録係が、その香席のすべての記録を「香記」として奉書1枚にまとめあげ、正解者のうち上座の方にその書が贈呈される

今回、登場したのは3つの香り。最初に試香を試し、その香りと同じか否かを基本の判断材料にして、計5回登場する香りがどの香りか当てていきます。香木が入った袋をシャッフルしてから焚くので先生ご自身も答えをその場で知るもので、スリリングなひとときが流れます。

香道御家流師範・丸山堯雪(ぎょうせつ)先生

炉が回ってくるのを待っている間に香りを忘れそうになり、少し困惑する場面もありつつ、自信がなかったものの全問正解でした!

香道御家流師範・丸山堯雪(ぎょうせつ)先生

ただし、この組香は、「全問正解とか勝ち負けを競うものではなく、あくまでも香りや元になる文学を楽しむもの、優劣を競う遊びではないので、間違えたからといってがっかりすることもありません。ですが、全問正解だと嬉しいし、より楽しみが倍増しますよね。」と先生からお言葉をいただきました。

香道にはまって55年、今は、茶道や語学の勉強(スペイン語や中国語)韓国語での合唱、大阪万博のボランティアガイドの準備などやりたいことが日々たくさんあって、時間が足りないの!毎日楽しくて!と終わった後はまるで少女のような笑顔でご興味あることを教えてくださった丸山先生。同じ女性として、好奇心旺盛でそれを全部実践されているお姿がとっても素敵だなあ~と香道のお話はもちろん貴重なお話を伺えて楽しいひとときでした。

女優 麻生久美子さんも体験されています!

今回”香道”を楽しく教えてくださった香道御家流師範・丸山堯雪先生も登場している記事をみつけたのでシェアします。

銀座香十の伽羅を財布に入れると金運アップ!

地下一階にあるショップへ。一歩足を踏み入れると地下階から香りが登ってくるほど!名人といわれた高井十右衛門のお香をはじめ、 お線香、 匂い袋、 オードトワレなどを展開しています。

香十 名私香 440円税込

一緒に参加した友人が教えてくれたのだけれど、こちらの”名私香”、”お金が好きな香り”で、お財布にいれておくと金運UP効果があると一時期SNSで話題になっていたのだそう。良い香りがするところにお金が引き寄せられると考えられ、最高級の香りを放つ伽羅の香りでお財布を満たしてあげるおとでお金のほうから寄ってきてくれるのだそう。

使い方は簡単。専用の袋を別途購入して中身を入れ替えても良し、そのまま使う場合には袋の隅をカットしてお財布に忍ばせておくだけ。

なんかちょっとしたおまじないみたいでワクワクしますね。”ありがとう”や”THANK YOU"といった
メーセージ付きのものもあるので(香りは同じ)ギフトとしても喜ばれそうです。

『香り博』イベント

今回の【香十】のことを知るきっかけになったのは、12日まで開催中の『香り博』

鳩居堂、松栄堂、日本香堂(香十)の3社が共同で展開する「日本の香り」を体験する今年初のイベントで、東京および京都の各3店舗合計6店舗にて現在開催中です。(4月18日の「お香の日」を中心に、4月12日~5月12日までの1ヶ月間)

『香り博』を記念した復刻商品のほか、各社が保有する貴重な歴史資料の展示、「聞香」体験や、オリジナルの香り袋が作れるワークショップなどから、店舗を回ってプレゼントがもらえるスタンプラリーまで、日本の香りを様々なかたちで体験できます。

4月開催の『香り博』、今後も継続的に毎年展開していく予定とのこと。今年は参加難しい方も来年はぜひ参加してみてくださいね。

アロマや香水とはひと味違った”香りの世界”が開かれたような体験でした。今後もいろんなイベントに参加して、”香道”を極めていきたいです。気になる方は、お気軽にまずはショップに足を運んでみてくださいね。