大正ロマンを感じる作品の数々
1884(明治17)年に岡山県で生まれた夢二は、正規の美術教育を受けることなく独学で自身の画風を確立し、「夢二式」と称される叙情的な美人画によって人気を博しました。グラフィックデザイナーの草分けとしても活躍し、本や雑誌の装丁、衣服や雑貨などのデザインを手がけ、暮らしの中の美を追い求めました。夢二の作品は、没後90年を経た今もなお多くの人々を魅了し続けています。
本展は、生誕140年を記念して、最新の研究に基づく新たな視点からその生涯をたどります。
このたび発見された大正中期の名画《アマリリス》、滞米中に描かれた貴重な油彩画《西海岸の裸婦》、そして夢二を看取った友人に遺したスケッチ帖や素描など、初公開資料を含む約180点の作品を夢二郷土美術館コレクションを中心にご紹介します。
全国巡回でのお披露目となる新発見の名画《アマリリス》
長らく所在不明であった油彩画《アマリリス》が、近年の調査により発見されました。夢二の油彩画は現存するだけでも約30点と少なく、本作はその来歴も含めて大変貴重な作例といえます。本展は、発見後、東京で公開・展示する初めての機会となります。また《アマリリス》に加えて、貴重な油彩画を多数展示し、これまであまり紹介されてこなかった油彩画家としての夢二の一面に迫ります。
初公開のスケッチブックで晩年の夢二に迫る
夢二は、晩年の1931(昭和6)年から約2年間、欧米各地を巡る旅に出かけます。1930年代前半は、モダンな芸術と都市文化が急速に発展する一方で、ナチズムが勃興する不穏な時代でもありました。夢二は欧米滞在中の出来事を多数のスケッチとして残し、その一部は友人の手元に残されました。本展では初公開となるスケッチ帖を紹介します。
邸宅空間で、夢二の作品世界を味わう
夢二は生涯を通じて芸術で人々の暮らしを彩ることに関心を向けました。本展の会場となる東京都庭園美術館の本館は、かつて朝香宮家の自邸であった場所であり、実際の生活空間に施された多彩な装飾が見所となっています。本展は、暮らしの中の美を体現する邸宅空間の中で、夢二の作品世界をご覧いただく貴重な機会となります。
100年の時を超えて愛される夢二の魅力
1914(大正3)年、夢二は自らデザインした封筒や千代紙をはじめとする文具・小間物類を販売する「港屋絵草紙店」を開店しました。商品の広告チラシには「可愛い」という言葉が用いられ、当時の女性たちの心をつかみ、憧れの的となりました。夢二の可愛いデザインは約100年を経た今もなお、私たちを魅了し続けています。本展では時代を経ても色褪せない夢二の魅力が堪能できます。
夢二ファンにはたまらない!
新館にあるギフトショップには、今回の展示会を記念したオリジナルグッズが並びます。
【生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界】
(英名:Takehisa Yumeji: Taisho Romanticism and the New World)
●会期:2024年6月1日(土)~ 8月25日(日)
※月曜休館、ただし7月15日(月・祝)、8月12日(月・祝)は開館、7月16日(火)、8月13日(火)は休館
●開館時間:午前10時-午後6時(入館は閉館の30分前まで)
●会場:東京都庭園美術館(東京都港区白金台5-21-9)
●主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都庭園美術館、産経新聞社
●観 覧 料:一般=1,400(1,120)円/大学生(専修・各種専門学校含む)=1,120(890)円/中・高校生=700(560)円/65歳以上=700(560)円
※( )内は20名以上の団体料金 ※小学生以下および都内在住在学の中学生は無料 ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・ 精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその介護者2名は無料 ※教育活動として教師が引率する都内の小・中・高校生および教師は無料(要事前申請) ※第3水曜日(シルバーデー)は65歳以上の方は無料 ※ドレスコード割引(着物・浴衣を着てご来館)の方は100円引き ※観覧料はすべて税込み
●監 修:岡部昌幸(帝京大学名誉教授・群馬県立近代美術館特別館長)
●特別協力:公益財団法人両備文化振興財団 夢二郷土美術館
●協 力:竹久夢二学会
●協 賛:JR東日本
●年間協賛:戸田建設、ブルームバーグ L.P.、ヴァンクリーフ&アーペル
【巡回展情報】
<岡山> 夢二郷土美術館 会期:2024年9月7日(土)~12月8日(日)
<大阪> あべのハルカス美術館 会期:2025年1月18日(土)~3月16日(日)
そのほか富山、大分など全国6館を巡回予定です。
大正時代でタイムスリップ!夢二が描く美人画のモデルの女性たちに同性ながらときめきを感じます。ぜひ足を運んでみてくださいね!