東京駅から新幹線で60分。自然と文化、ものづくりが共存する魅力的な街
静岡市は東京と名古屋のほぼ中間に位置し、県の行政や経済の中心地である政令指定都市で人口は約70万人。東京からは新幹線で60分という近いにもかかわらず、静岡市は、温暖な気候と豊かな自然、歴史、文化、産業が融合した街で、訪れる人々に多彩な魅力を提供しています。
静岡市の歴史は古く、徳川家康が駿府城を築き、江戸時代初期には実質的な首都として機能していました。市内には歴史を感じられるスポットが点在しています。
プラモデルの聖地「ホビーの街」静岡市
静岡市は、東西に広がる穏やかな平地と、周囲を取り囲む山々の豊かな自然に恵まれています。森林資源が豊富で、昔から木材加工業が盛んでした。この技術が発展し、木型や木製模型の生産技術が確立されたことがプラモデル製造の基盤となっています。特に1950年代には、木材加工技術を生かした木製模型が人気を集め、材料がプラスチックに移行してからも、木製模型時代から受け継がれた技術によって現在のプラモデル産業が発展していきました。
静岡の伝統工芸で培われた「質の高いものを作る」という精神が、模型業界の品質管理にも影響を与えました。その結果、静岡市のプラモデルは高品質で信頼性が高いとして世界的な評価を得ています。
静岡が育んだ匠の技【駿河竹千筋細工】
静岡市では、江戸時代から続く駿河竹千筋細工や駿河漆器といった伝統工芸が今も受け継がれています。職人技が光るこれらの工芸品は、贈り物やインテリアとしても人気です。
細い竹ひごを組み合わせて作られる駿河竹千筋細工は、繊細な美しさが特徴。明かりや花器など、現代のインテリアにも調和するデザインが魅力です。この工芸品は、職人の熟練した技術と丁寧な手仕事によって生み出されています。
プラモデルの聖地
静岡市は、日本国内でも有数のプラモデル生産地。バンダイやタミヤといった企業が集まり、「模型の世界首都」として模型ファンを中心に親しまれています。毎年開催される「静岡ホビーショー」では、最新の模型が発表され、多くの来場者で賑わいます。
現在、静岡市のプラモデル製造出荷額は全国No.1のシェアで、86%を占めています。静岡市は「プラモデル」を核とした「ホビー」とその根底にある「ものづくり」をまちのブランドイメージとして構築する「ホビーのまち静岡推進事業」を展開しています。事業の中で「静岡市プラモデル化計画」を打ち出し、街の中にあるものを「組み立て前」のパーツに分解してプラモデルの特徴であるランナーにはめ込んだ「プラモニュメント」(2024年10月現在 12箇所13基)を、まち中に設置していく取組をはじめ、まち全体が一体となって取り組むプラモデルの魅力を活用したまちづくりを推進しています。
人気コミック『ちびまる子ちゃん』の原作者・さくらももこさん(静岡県静岡市清水区出身)のカラーマンホールをはじめ、ガンダムやエスパルスにちなんだデザインが市内あちこちにあり、見つける楽しみもあります。
ガンプラの聖地「バンダイホビーセンター」
BANDAI SPIRITSの自社工場「バンダイホビーセンター」は静岡市でプラモデルの開発・生産を行っています。1980年の「1/144ガンダム」から、およそ7億8,745万個(2024年3月末時点)以上もの「ガンプラ®」をここ静岡県静岡市より送り出してきました。「ガンプラ®」と呼ばれ、親しまれているプラモデルのほとんどはバンダイホビーセンターでつくられています。
ガンプラのマテリアルリサイクル(エコプラ)
ガンプラのマテリアルリサイクルは、回収に余分な負担をかけず、回収したランナーをそのまま粉砕して再利用することで、世界で一番安価にリサイクルを実現することを目指しています。
SDGsも同時に学べる!プラモデル授業「ガンプラアカデミア」
学校の授業として、教室でオンデマンドで配信される動画を視聴しながら、プラモデルをつくる工場の仕事を学び、ものをつくる仕事の楽しさや奥深さをを学べる無料の授業パッケージを提供しています。 テーマに合わせた授業が可能で、プラモデル工場のスタッフにオンラインで質疑応答できる「ライブ通話コース」オプションも!ランナー(枠)部分のプラスチック使用量の削減やプラスチック廃材の回収やリサイクルに取り組みからSDGsも同時に学べます。
令和5年度(2023年度)は、3,300校で28万人を超える児童が参加しました。こちらは全国の文科省認定の小学校(5年生推奨)で申し込みできます。詳しくは公式ホームページをご覧ください。
2025年夏には「バンダイホビーセンター」新工場が稼働開始予定だそう!
目指すは『顧客体験品質世界一』!タミヤ本社へ
静岡市に本社を置くタミヤは、世界最大の規模を誇る総合模型メーカー。模型製品は一見敷居の高いイメージですが、「初心者にもわかりやすく、作りやすい」をコンセプトに模型ホビーの広がりに貢献してきました。
タミヤのスケールモデルはその精密な再現度から海外で「ミュージアムアイテム(博物館収蔵品)」とも評され、模型の一流ブランドとして評価されています。
大ブームを巻き起こしたラジオコントロールカーやミニ四駆は世界中に多くのファンが存在します。ホビーの楽しさは万国共通。「ツインスター」と呼ばれる赤と青のロゴマークは世界中の模型ファンに認知され、日本のみならず世界の数多くのファンに親しまれています。
タミヤは世界中の模型ファンに心豊かな時間を届けるため、「顧客体験品質世界一」を目指しています。その実現のために、開発から生産、顧客サービスまでを一貫して社内で行う体制を整備してきました。企画、設計、金型製作、グラフィックデザインやイラストレーション、更にはカスタマーサービスやイベント企画運営、海外営業など、様々な技術や能力を持ったスタッフが一丸となって、総合的な品質の向上に取り組んでいます。
タミヤの妥協を一切ゆるさない”ものづくり”にかける情熱が感じられる歴史館・ショールームは、一度足を運ぶ価値ありです。
歴史館・ショールームの見学 (一般の方 5人以下の少人数まで)
タミヤ本社内の歴史館とショールームを公開しております(事前予約制)。
・開館日時:月曜~金曜 9:00~16:30 (土日祝休業)
・入館料:無料
・対象:一般の方(5名以下の少人数まで)
・見学希望日の2営業日前までお申し込みいただけます。
・お申し込み完了後、お申込内容のご案内メールが届きます
(お申し込みの変更やキャンセルは、ご案内メールに記載されたリンクより承ります)。
・1ヶ月先までのご予約を承ります。
・団体、観光会社からのお申込みはお受けできません。
人間国宝”芹沢銈介”氏の1300点の作品が並ぶ【芹沢銈介美術館】
芹沢銈介美術館は、郷里の静岡市に作品約600点と世界のコレクション約4,500点が寄贈されたのを機に、弥生時代の遺跡として名高い登呂公園の一画に建設され、1981年6月に開館。以来、芹沢銈介の調査研究、年4回の企画展、美術資料の貸出等を通じて芹沢銈介の顕彰につとめています。現在、1300点の芹沢銈介作品が収蔵されています。
静岡市葵区本通に生まれた染色家・芹沢銈介(1895~1984)氏は、1930年ごろから最晩年まで半世紀以上にわたって型染を手がけ、1956年には「型絵染」で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。
芹沢氏が手掛けた模様には、文字、植物、人物、風景、幾何学模様など、実にさまざまなものがあり、初期から晩年まで、明解で親しみやすい作風で一貫しています。その種類も、着物、帯、のれん、屏風、額絵、絵本など、多岐にわたります。 また染色にとどまらず、本の装幀、ガラス絵、板絵、赤絵(陶器の絵付け)、看板や照明のデザイン、美術館の設計(大原美術館工芸館)等、実に幅広い分野で活躍し、豊かな仕事を残しています。
特筆すべきは作品もさることながら、この美術館そのものが芸術作品。建物建築家白井晟一氏が手掛けており、生涯設計した美術館は2館だけ。一つがここ静岡市芹沢銈介美術館で、もう一つは渋谷区立松濤美術館です。この芹沢銈介美術館と松濤美術館は、設計竣工時期もほぼ同時期だったため、たくさんの共通点があります。
石と水が印象的な美術館で石水館と白井氏自ら名付けました。弥生時代の登呂遺跡のある土呂公園の一角にある美術館のため、親和性を重視し、1階建ての平家建築としたそうです。
人気のグッズは、昭和20年より人気の型染カレンダーの復刻版。初期に等しい材料と技法で製作しています。日本古来の型染めと琉球の紅型染めを研究し、模様を生み出す天分と色調への優れた感覚によって生み出された芹沢芸術が楽しめる作品です。生誕130年の節目となる来年(2025年)を最後に復刻版「型染カレンダー」の制作は終了、すでに予約完売しているとのこと。
美術館の前には芹沢氏の自宅もあり、中も見ることができます。見どころ満載なので時間をたっぷりとって訪問してみてください。
歴史と未来を結ぶ!国内最大級の伝統工芸体験施設【駿府の工房 匠宿】
国内最大級の伝統工芸体験施設【駿府の工房 匠宿】
今川・徳川時代から静岡に受け継がれ、今も大切に伝わる駿河竹千筋細工・和染・木工・漆・陶芸などのさまざまな工芸体験ができます。
重厚につくられた日本建築の中には静岡の伝統工芸に触れられる3つの工房と、全国の工芸品民芸品を取り扱うギャラリー、丸子泉ヶ谷地区の名産「ハチミツ」をメニューにふんだんに取り入れたカフェを併設しています。時間を忘れて「ものづくり」の楽しさが体験できます。
工房 木と漆(木に関わる技術を体験できる工房)
駿河指物は、釘を使わず接着剤やホゾ等の溝を用いて組む木工製品。この技術をルーツとして静岡は家具の産地と言われています。体験では組み立てや削りながら木に触れていただくことができます。
漆の技術は、浅間神社造営の際に全国から職人が集められ、そのまま定住し技術を伝えたことが始まりです。体験では職人さんがあらかじめ本漆を使って塗ったものを研いで仕上げる過程を行います。
工房 火と土Studio(土を感じて、形にする工房)
手ひねりと電動ろくろによる陶器作りや、湯のみや皿などへの絵付け体験ができる陶芸工房です。
一種類の土から始まるオリジナリティを楽しんでいただけるように、まずは土と遊んでいただくことからはじめています。
上手に形になることはもちろん、形に気持ちが移るように手解きをさせていただいています。
工房 星と森(全国シェア No.1、静岡の模型を体験)
静岡を代表する地場産業「模型」の体験工房が、株式会社タミヤ監修のもと、匠宿に。タミヤ純正の工具で、プラバンでのお花づくりや、恐竜の色塗り、ミニ四駆の製作体験などが楽しめます。 工房長のレクチャーのもと、はじめての模型づくり体験はぜひ匠宿で。特別体験やカルチャー教室なども開催いたします。
工房 竹と染(駿河竹千筋細工と染色を体験できる工房)
駿河竹千筋細工とは、国の伝統的工芸品にも指定されている静岡の竹細工。 丸ひごによる優美なデザインと独特な曲げや継手の技法を用い、花器、虫篭、行灯などさまざまな製品作りを体験することができます。
駿河和染は、今川、江戸時代から受継がれた「型染」や「筒描」、「絞り染」の技法を、人間国宝 芹沢銈介氏が新しい和染として復活させました。体験では主に絞染(しぼりぞめ)、型染(かたぞめ)による染め物作りを行います。
ペン立て こはる ¥ 2,200
所要時間 30分 難易度 ★★
少しくびれた曲線が美しいペン立てです。小学校の体験学習でも人気です。竹ヒゴがさしやすく、上下をしっかりとさすことで強度が増します。下の方に丸みがあるので倒れにくく、中にLEDライトを入れてランタン、グラスを入れて花器としても使用できます。
駿府の伝統と、その革新を考える”匠宿伝統工芸館”
静岡市に伝わっている工芸品とその技術を伝えていくことで、その革新を来場者とともに考えていく施設です。匠宿では静岡市を中心とした静岡の素晴らしい工芸品を保管しており、その作品や職人をご紹介する常設展と、スポットを当てた企画展を開催しています。(入場無料)
静岡市がプラモデルの聖地となった背景には、自然や伝統工芸を基盤にした「ものづくり文化」があります。豊かな自然環境、伝統技術、そして戦後の産業発展が融合し、今や静岡市は世界中の模型ファンに愛される街となっています。これらの要素が、静岡市のプラモデル産業の成功と独自性を支えているのです。静岡市の”ものづくり”は、伝統と革新が見事に融合し、新しい価値を生み出し続けています。観光で訪れる際には、静岡のものづくりの魅力に触れてみてはいかがでしょうか?きっと、心に残る特別な体験ができるはずです。