豊島株式会社はサステナビリティとテクノロジーで消費者に持続可能なライフスタイルを提案したいと「MY WILL~SUSTAINABLE & TECHNOLOGY~」のステートメントのもと、DX推進・AIの活用やサステナブル素材の提供・プロジェクトに取り組んでいます。今回、BtoB向け展示会「GENERAL EXHIBITION 2025 Autumn/Winter」を訪れ、実際にアイテムを見てきたのでご紹介します。
洋服製作における環境の負荷が大きい
世界中で毎年たくさんの衣料が作られていますが、その85%がごみとなり埋め立て処分されているのが現状です。また、大量の端材排出の問題やCO2排出に加え、全世界の産業排水汚染のうち、約20%がファッション産業によるものです(出典:UNECE、UNEP)。このように洋服を製造する過程でさまざまな環境負荷がかかっています。その中で豊島株式会社はサステナビリティとテクノロジーの観点で多様なアイテムを生み出し、展示会ではその様子も拝見できました。
未利用の食材を染料に
「FOOD TEXTILE」という、食品会社・飲食店・農園の製造過程でうまれる、未活用の野菜や食材から色を抽出して綿や糸、生地を染めて商品にするプロジェクトがあります。異業種のコラボレーションも多く、これまで株式会社ロッテのチョコレート製造過程で出た廃棄部分となるカカオハスク(カカオ豆の皮)から色を抽出して靴を染めて株式会社アシックスから販売した事例があります。
カシオ計算機株式会社が販売する「G-SHOCK GMD-S5600CT」シリーズのクロスバンドのカラーにも「FOOD TEXTILE」が採用され、未活用の赤かぶやさくらを染料として使用しています。
アパレル企業や消費者から廃棄されるTシャツを回収し、コメダ珈琲店で発生するコメダブレンド抽出後のコーヒー粉から抽出したカラーで回収したTシャツを染めるプロジェクトを提案するブースもありました。
「FOOD TEXTILE」では1つの食材から約10のカラーを作ることができます。現在、50食材、500色の食べ物のカラーを取り揃えています。食材ならではのやさしい色合いに染まるのが特徴です。
食材から抽出した成分をコスメに活かすプロジェクトも展示。コーヒーから成分を抽出したクリームやコロン、スプレーなどが並んでいました。
サステナブルや機能に優れた生地
様々な生地を取り扱っており、その中の一つにサトウキビのポリウレタンを使った生地や原料に和紙を使用した「WAGAMI」があります。「WAGAMI」は消臭効果や吸水速乾性、軽量、UVカット、接触冷感などの特徴もあり下着や靴下など使用する企業も多いそうです。
「FELCERA」という素材は身体から放出された遠赤外線の熱エネルギーを吸収し輻射することで、温もりを保つ機能素材。冬になるとインナーなどを着込むものの、暖房がきいた電車や室内で体温が上がりすぎて暑いこともありますが、この「FELCERA」は自分の対応以上に温かくならないので快適に過ごせるのも特徴の一つです。
コスメメーカーの研究開発過程などでの役目を終え、やむを得ず廃棄となっていた化粧品バルクを色材へと再生させ、衣料プリントに活用する取り組みを、TOPPAN株式会社と株式会社モーンガータと開始。アイシャドウやチークなどが色材の原料となっています。近づいてみると、元々化粧品に含まれていたラメやパールのキラキラがアパレルになっても少し残っている面白さも見られます。
「LandLoop」はプラスチックの新しい未来を創るプロジェクト。日本国内の各地方で発生する廃棄素材を原料の一部として活用し、プラスチック素材の使用量を減らすことで、環境負荷の低いバイオマスプラスチックのアイテムを作り出しています。例えばこれまで、青森県のりんごの木とABS樹脂を融合させてプラモデルにしたり、廃棄されるホタテの貝殻をハンガーやお皿にしたりしています。
また、海岸に漂着したペッ トボトルをビーチクリーン活動で回収し、そのペット ボトルを糸にして洋服や雑貨にする「UpDRIFT®」と いうプロジェクトも行っています。このように、至る所で生まれる残渣や廃棄物を繊維やアイテムに変えてファッションブランドとともに販売する取り組みを豊島は進めています。
サステナブルファッションの観点では、劣悪な環境で作られた洋服ではないか、ということを確認するためにトレーサビリティ(製造過程を追跡できること)も重要です。
今回の展示会では、ウール製品についている専用QRコードを読み込むと、ウールに埋め込んだ顔料から繊維の出所や加工過程を追跡できるシステムを紹介していました。
AI×ファッション
他にもAI×ファッションの活用にも取り組んでいます。元となる柄を選び、「シンプル」で「フェミニン」など求めるデザインのワードを入れると、それに合うデザインを提案してくれるシステムを開発。商談で活用されており、時短やコスト削減に繋がっています。
1枚のサンプルのサイズを測るのに手作業だと、とても時間がかかってしまいますが、測りたいサンプルを置いて、ボタンを押すだけで、自動計測ができて採寸できる機器も開発しました。
展示会ではサステナブルやテクノロジーの観点で地球にやさしい素材の開発だけでなく、人にとっても便利で効率的にモノづくりができるシステムが展示されていました。
このような素材やシステムを通してファッション業界の地球と人にやさしいモノづくりはこれからも進化していくことでしょう。