車は金額的に大きな買い物であるうえ、書類の準備や各種の手続きなども必要です。車を初めて買うときは、予算をオーバーしないか、手続きをスムーズに行えるか、不安に感じることも多いでしょう。
また、中古車や新車を問わず、どのような車種を選べばいいのかわからないという方も少なくありません。

そこで、初めてでもスムーズに車を買えるよう、購入の流れや必要な費用、車選びのポイントなど、車を初めて買う前に知っておきたい内容について見ていきましょう。

車を初めて買う前にやっておきたい4つの準備

車を初めて購入する際、決めることはたくさんあります。
販売店に行ってから悩んだり、購入してから後悔したりしないよう、車を初めて買う前に決めておくことを見ていきましょう。

1.予算を決める

車を購入する際、まずは予算を決めましょう。自動車ローンの場合、借り入れられる金額は年収の3分の1程度までといわれていることから、この金額を目安に決めるのがいいでしょう。

ただし、貯金額や家族構成、ライフスタイルなどによって適した金額は異なります。月々の支出やライフイベントなどの予定を基に、無理のない予算を立てることが大切です。

なお、車を購入すると、車両本体価格のほかに、頭金などの初期費用や、さまざまな維持費もかかります。これらの負担も考慮して検討しましょう。

2.ボディタイプや車種、メーカーを決める

多くの車は、活用されるシーンなどを想定して作られています。
通勤や子供の送迎、買い物などに車を使うなら、燃費が良く維持費も安い軽自動車やコンパクトカー、キャンプや旅行が目的なら走行性能や居住性に優れたSUVやミニバン、ステーションワゴンといったように、自分がどのように車を使うかを考えると、車種を決めやすいでしょう。

また、車のメーカーにはそれぞれに強みやシェア率が高い分野があり、一般的に以下のような特徴があります。各メーカーの特徴に注目しながら、自分の希望する車種ならどのメーカーがいいか考えるといいでしょう。

・トヨタ:多様な車種を展開するが、軽自動車は少ない。安全性能が高い
・マツダ:セダンやSUVが多い。輸入車のようなデザインや、クリーンディーゼルが特徴的
・ホンダ:大型車が少ない。スポーティな車種の人気が高い
・日産:電気自動車では他社をリード。スポーツカーの評価も高い
・三菱:社用車に強い。 EV・PHEV技術に優れている
・スバル:走行性能の高さが特徴。海外向けのデザインなど、独自路線で根強い人気を誇る
・ダイハツ:軽自動車のラインナップが豊富。室内の広さや快適性も重視
・スズキ:軽自動車の評価が高い。普通車の人気モデルもある

3.新車か中古車かを決める

メリットデメリット
新車・車の状態が良い
・車種やボディカラー、
オプションを自由に決められる
・車両本体価格が高い
・納車に数ヵ月~半年程度かかる
中古車・車両本体価格が安い傾向がある
・納車が早い
・車の状態が1台ごとに異なる
・在庫車としてある中から選ばなければならない

車を購入する場合、新車を購入するか、中古車を購入するか、迷う方も多いでしょう。新車と中古車それぞれの特徴を把握したうえで、どちらを購入するか決めることが重要です。

新車の特徴とメリット・デメリット

新車は、最新の機能が搭載されていることや、生産されたばかりなので車の状態に心配が少ないこと、新品なので内装・外装に汚れがないことなどが特徴です。車種やボディカラー、オプションの選択が自由に行える点もメリットです。
これらのことから、最新鋭の車やきれいな車、自分の好みにカスタマイズした車に乗りたい場合は新車がおすすめです。
ただし、注文してから製造するため、納車までに数ヵ月かかります。車が必要な時期が決まっている場合は、早めに準備を進めましょう。

中古車の特徴とメリット・デメリット

中古車は新車よりも価格が安価な傾向があることや、すでに生産された車であるため納期が早いなどのメリットがあります。ただしその反面、故障リスクが高い点に注意が必要です。また、オプションが付いた状態で販売されていることから、自分好みにカスタマイズできない可能性もあります。

中古車を買う場合、丁寧な整備が行われていることを確認するととともに、十分な保証が付いた車を購入しましょう。修復歴やメーターなど車の状態について、日本自動車鑑定協会(NPO法人JAAA)の鑑定士による鑑定がなされているかどうかということや、鑑定書の内容を参考にするのもいいでしょう。

4.支払い方法を決める

車の代金の支払い方法によって、金銭的な負担や車の扱い方が異なります。支払い方法には、現金一括購入やカーローンなどがあります。
それぞれの特徴と支払い方法の決め方のポイントをご紹介します。

現金一括

現金一括購入は、車の代金を現金や銀行振込みで一度に全額支払う方法です。利息が発生するマイカーローンと違って、利息による負担の増加がないことから、総支払額を抑えたい場合におすすめです。
また、購入時点で車の所有権を得られるため、売却やカスタマイズが自由に行えます。

一方で、十分な資金を保有していないと、車を購入した後の生活が苦しくなる可能性があります。想定外の出費にも備えられる程度の預貯金を残せるか、しっかりシミュレーションをして検討しましょう。

マイカーローン

マイカーローンは、銀行やディーラーなどでローンを組んで、借り入れたお金で車の購入費用を支払う方法です。毎月少しずつ返済していくので、購入代金を一度に支払うことが難しい場合に便利です。

一方で、借入金額に利息が加わることから、現金一括購入に比べて総支払額が増えてしまいます。また、利用に審査がある点や、完済まで車の所有権がディーラーや信販会社にあるケースでは、自由に売却や譲渡ができない点に注意が必要です。

残価設定ローン

残価設定ローンはマイカーローンの1種であり、車の売却を前提に、借入額のうち売却時の下取り金額に相当する「残価」の返済をローン最終回まで据え置く方法です。
据え置いた残価を除いた残りの金額を返済回数で分割して返していくことから、通常のローンと比較して月々の返済額が安くなります。3~5年程度での乗り換えを検討していて、月々の負担を抑えて車を利用したい方に向いています。

ただし、据え置いた残価に対しても利息が発生するため、利息負担が増大する可能性があります。また、走行距離や車の扱いに制限が設けられており、走行距離の上限を超過したり、車を損傷したりして車の価値が下がった場合、費用が発生する点に注意しましょう。

車は現金一括で買わないほうがいいって本当?

現金一括購入は支払総額が最も抑えられるにもかかわらず、「車は現金一括で購入しないほうがいい」という声を聞くことがあります。

そのおもな理由は2つあり、一つは多額の貯金が一度に減ってしまうことが挙げられます。車を買うと、ローンの返済以外にもさまざまな費用がかかります。また、故障や事故などで突発的に大きな出費を伴う可能性もあるため、一括で車を買える資金があっても、支払ってカツカツになるようなら貯金しておいたほうがいいという考え方です。

もう一つは、ディーラーで車を購入する場合、現金一括では値引きや特典が受けられない可能性があるためです。ディーラーが提供するディーラーローンを利用すると、ディーラーにもマージンが入ることから、値引きやオプションの無料取付けといった交渉に応じてもらいやすいといわれています。

ただし、ディーラーローンの金利は高めの傾向なので、値引きを受けても、現金一括や銀行系マイカーローンを利用した場合より総額が高くなる可能性もあります。最終的な支払総額や、数年間の支出などを見据えて、自身に適した支払い方法を選択しましょう。

初めての車購入、必要な費用はどれくらい?

車は購入時に車両本体価格や諸費用がかかるだけでなく、購入後も維持費が必要で、見立てが甘いと資金繰りに苦労する可能性があります。

どのような費用がいくら必要か把握するために、「購入時にかかる費用」と「維持費用の目安」をそれぞれ見ていきましょう。

車の購入時にかかる費用

軽自動車C1コンパクトカー
ホンダ「N BOX」トヨタ「ヤリス」
Xグレード
1.0L、2WD
日産「セレナ」
Xグレード
車両本体価格164万8,900円150万1,000円276万8,700円
自動車税(種別割)/
軽自動車税(種別割)*²
10,800円25,000円36,000円
自動車重量税
(3年)*³
9,900円24,600円49,200円
自賠責保険料
(37ヵ月)
24,010円24,190円24,190円
環境性能割*³13,400円36,800円67,900 円
リサイクル預託金
相当額*³
11,390円9,740円13,270円
登録諸費用*⁴
(車両登録費用・
車庫証明費用など)
47,300円67,960円50,414円
納車費用10,000円程度
(遠方の場合10,000〜50,000円程度)
購入費用合計177万5,700円168万8,790円301万9,674円
*² 自動車税(種別割)/軽自動車税(種別割)のグリーン化特例については考慮せず、2019年10月日以降に初回登録した場合の年額
*³ 自動車重量税のエコカー減税については考慮していない
*⁴ それぞれ公式サイトのウェブ見積もりより引用

新車の購入費用は車種やグレードによって異なりますが、車両本体価格のほかに、税金や保険料といった登録諸費用や納車費用など、車両本体価格の10~20%程度の初期費用が必要です。初期費用は一般的に、車両重量や排気量の大きい車ほど高くなります。

また、必要書類の取得や届出などの手続きを委任する場合には代行費用も発生します。これらの費用はローンに組み込めないケースも多く、購入時にまとめて支払うのが一般的なので、資金計画をしっかり立てておきましょう。

このほか、ローンによっては頭金が必須のところもあります。頭金は一般的に車両本体価格の20~30%といわれており、こちらも購入時に一括で支払う必要があります。

なお、中古車の場合は購入時期などによって税金の一部が抑えられることがありますが、上記のほかに、車両のクリーニングや保証サービスなどの費用がかかることがあります。

車の維持にかかる費用

軽自動車コンパクトカーミニバン
ホンダ「N BOX」トヨタ「ヤリス」
Xグレード
1.0L、2WD
日産「セレナ」
Xグレード
自動車税(種別割)
/軽自動車税(種別割)
10,800円25,000円36,000円
車検法定費用
(新車購入から3年目
以降2年ごと)
自動車重量税6,600円16,400円32,800円
自賠責保険料18,040円18,160円18,160円
印紙代1,800円1,800円1,800円
車検点検費用38,500円61,600円52,690円
任意保険料*⁵約50,000円約56,000円約73,000円
燃料代*⁶48,528円51,891円78,224円
メンテナンス費用*⁷約6,000円約8,000円約10,000円
年間維持費*⁸約14万7,798円約18万9,871円約24万9,949円
*⁵ 損害保険料率算出機構「2022年度(2021年度統計) 自動車保険の概況」における「任意自動車保険 用途・車種別統計表〈2021年度〉」より
*⁶ 資源エネルギー庁「給油所小売価格調査」における2024年5月時点のレギュラーガソリンの全国平均価格である174.7円/Lを基に、WLTCモードでのカタログ燃費で年間6,000km走行する場合
*⁷ オイル交換とオイルフィルター交換を年2回実施する場合
*⁸ 車検法定費用は1年分の費用で算出

車の維持費としては、自動車税(種類割)・軽自動車税(種別割)は毎年、車検費用は新車新規登録から3年目と以降は2年に1度のペースで支払いが生じます。そのほかに、任意保険料やガソリン代、メンテナンス費用なども必要で、試算では軽自動車で年間約15万円、ミニバンでは約25万円でした。

また、長距離を走行することが多い場合は燃料代や消耗部品の交換費用がかさみやすい、自宅に駐車スペースがない場合は駐車場代が必要になるなど、乗り方や環境によって負担が大きくなる可能性があります。維持費を試算する際は、車の使用場面や状況も考慮しましょう。

車を購入するときの流れと必要な準備

車を買うにはいくつかのステップを経る必要があり、準備が間に合わなかったり、手順を飛ばしたりすると、納車の遅れや後悔につながってしまいます。初めて車を買うときは、スムーズに進められるよう、各ステップについて詳しく知っておきましょう。

1.試乗

新車・中古車を問わず、車を購入するときは、試乗をおすすめします。乗りやすさに定評のある車でも、自分が運転しやすいとは限らないためです。
試乗できる車種は店舗によって異なるため、事前に確認したうえで電話やインターネットで予約をしておきましょう。

試乗の際は、運転のしやすさのほか、車庫入れなどがスムーズに行えるかを確認することも大切です。

また、中古車の場合は、乗り心地に加えて不具合がないかも確認しなければなりません。エンジンが一発でかかるか、エンジン音は軽快か、走行中に異音や揺れがないか、アクセル・ブレーキが軽すぎたり重すぎたりしないかなど、細かい点にも注意しましょう。

2.見積もりをとる

購入する車が決まったら、見積もりを基に、総額が予算内に収まっているかどうかを確認します。
初めて車を買う場合、わからない項目がある可能性もあるため、疑問や不安な点、不要に感じた項目などについては確認しましょう。きちんと説明をしてくれる販売店で購入することがポイントです。

なお、同じ車種でもディーラーや中古車販売店によって金額が異なることから、複数の店舗で見積もりをとることをおすすめします。

3.商談

車の購入先が決まったら、商談に進みます。商談ではオプションや保証の内容を確認しましょう。出費を減らしたい場合、オプションや保証の内容を必要最低限のものにするなどの方法があります。

できるだけお得に購入したい場合、値下げ交渉を行うのも方法のひとつです。その際、総額を確認してから交渉を行うことをおすすめします。
なお、交渉の方法として、総額を下げる以外に、オプションパーツや保証サービスをつけてもらう方法もあります

4.契約

金額に合意すると、契約に進みます。支払方法には、現金一括や通常のローン、残価設定ローンが挙げられます。なお、通常のローンと残価設定ローンには審査があるため、契約は審査通過後となります。

車の契約には、さまざまな書類が必要です。スムーズに手続きを進めるために、あらかじめ準備しておきましょう。おもに必要となる書類として、以下があります。

なお、委任状を用意すれば、車検証や自賠責保険証、車の登録や名義変更などの手続きを販売店に代行してもらえます。

・実印

実印とは、市区町村の役所で実印登録した印鑑のことです。

・印鑑証明書

印鑑証明書は、市区町村の役所で実印登録後に発行できます。なお、軽自動車の場合は実印と印鑑証明は不要ですが、3ヵ月以内に発行した住民票と認印を提出します。

・車庫証明書

車庫証明書は、駐車場の所在地を管轄している警察署で申請します。申請には、手数料と印紙代を合わせて2,500円程度かかります。
なお、地域によっては、軽自動車の車庫証明書が不要とされています。

5.納車

車種の人気の度合いやオプションにもよるものの、納車期間は新車で数ヵ月~半年程度、中古車で1~2週間程度となっています。

納車は、販売店が指定の場所に車を届けてくれることもあれば、自分で販売店に受け取りに行くこともあります。
なお、自分で引取りを行うと納車代行費用が削減できるため、出費を抑えたい方におすすめです。

初めての車購入でも失敗しない!選び方のポイント

初めて車を買うときは、思っていたよりも費用がかさんだり、選び方がよくわからずに使い勝手が悪かったりすることがあります。ただし、費用や実際に利用する際のことを踏まえて検討することで、購入してから後悔するリスクを減らせます。

快適なカーライフを実現するための、車選びのポイントを見ておきましょう。

維持費も含めて予算内に収まるようにする

車に乗っているあいだは維持費もかかります。初めて車を買う場合、購入費用ばかりに注目しがちですが、購入費用だけを見て車を決めると、維持費を含めたときに予算オーバーとなってしまい、家計を圧迫するリスクがあります。
維持費も含めて予算内に収まるように検討することが重要です。

なお、車は古くなるとメンテナンス費用がかさみやすくなります。車両本体価格が同じなら、中古車よりも新車を選ぶほうが、長い目で見たときに維持費を抑えやすいでしょう。

用途や目的に合った車を選ぶ

使用目的に合わせて車種を選ぶことは、快適なカーライフを送るうえで重要です。

単身世帯の方が通勤に利用するなら軽自動車、走りの楽しさを重視するならスポーツカー、家族での旅行やレジャーに利用するなら積載量の多いミニバンやSUVなど、車の特徴と使用する場面を照らし合わせて購入する車を決めましょう。

荷物や子供を抱えての乗り降りが多いならスマートキーを付けるなど、車種だけでなくオプションも同様の視点で選ぶことをおすすめします。

運転しやすい車を選ぶ

車の運転に慣れていない方にとって、運転のしやすさは重要なポイントです。
軽自動車やコンパクトカーのような小回りが利く車やフロントピラーが細く視界が広い車などであれば、狭い路地でぶつけるリスクを抑えられるでしょう。

また、運転席の位置や高さが自分の体に合っているかも重要です。実際に座ってみて窮屈に感じないか、ブレーキやアクセルに無理なく足が届くかということなどをチェックしましょう。
小さい車だと窮屈に感じる場合、視点が高く、車体の感覚もつかみやすいミニバンやトールワゴンなどがおすすめです。

駐車場のサイズも考慮する

駐車場と車のサイズの兼ね合いも考慮しましょう。スペースが狭い場合、駐車や乗り降りがしやすいコンパクトな車がおすすめです。
スーパーハイト系の軽自動車だと古いタイプの機械式駐車場で高さがオーバーしたり、車体が大きい車では道路の幅によっては切り返しが難しかったりするなど、環境によって車種が限られるケースもあります。

運転に慣れるまでは、車庫入れをアシストする駐車支援機能もあると安心です。ただし、コストがかかるため、予算とも相談して選びましょう。

初めて車を買うときは計画的に準備しよう

車を初めて買うときは、あらかじめ予算や自分のライフスタイルに最適な車をしっかり検討しておくと、満足度の高いカーライフにつながるでしょう。

※この記事は2024年7月1日時点の情報で制作しています