豊かな自然とアートが融合した内房総エリア(市原市・木更津市)で、アートとグルメを楽しむ!

〈前編〉に続き、〈後編〉をお届けいたします。

▼〈前編〉はこちら

⑤月出工舎

廃校となった旧月出小学校を舞台に「遊・学・匠・食」の4つのプロジェクトを展開し、みんなでつくる新しいがっこうです。

単なるアートスペースにとどまらず、地域住民が主体的に活動できる場として、そして、子供から大人まで誰もが楽しめる学びの場として、地域に根ざした活動を続けています。

●「月が生まれた時」/岡田 杏里

月出の暮らし、動植物、伝説、住民から聞いた昔の風景の話をもとにして、土地の記憶をテーマに巨大壁画を制作。3階建ての月出工舎の約11×15mの外壁を中心に、階段内部まで物語性のある壁画がダイナミックに描かれている。〈月出工舎公式サイトより〉

●「つながる波紋」/鈴村 敦夫

5年の歳月をかけて、モザイクと陶レリーフによる野外作品を一帯に制作。訪れた人々が出会い、ここから生まれる感動やエネルギーが波紋となり折り重なる様子を表現した。さらなる広がりが生まれることを願い、今後も作品を展開させていく。色彩豊かな大理石や陶片が月出の自然美に溶け込み、その時々で異なる表情を見せる。〈月出工舎公式サイトより〉

●「やうやう」/岩間 賢

月出工舎の全体ディレクションを手掛ける作家が、月出の暮らしの中にある先人からの知と技を継承し、月出の森から集めているという「雫」を貯蔵する土づくりの作品をプールに設置する。〈月出工舎公式サイトより〉

●「ほとり」/岩間 賢

2021年の「いちはらアート×ミックス」で発表した養蜂機能を兼ね備えた高さ10m の野外彫刻《ほとり》を中心に、月出工舎に隣接する森に回遊式の築山林泉庭園づくりに着手している。里山整備をしながら築山や枯庭、露地、茶室づくりなど、地域住民らと中長期で取り組んでいる。〈月出工舎公式サイトより〉

●「絵の宿/出る月の絵たち」/中根 唯

「家とも自然とも言えない空き家という環境に、宿木のようなあり方で絵を介在させることはできないか」と作家は語る。少しずつ周囲の自然に侵食されていく家屋に残る人の暮らしの気配を繊細に感じ取り、外からやってきた種が少しずつ周囲と調和しながら根を張るように、時間の経過と共に育っていく作品を目指す。〈月出工舎公式サイトより〉

●「彼方の家」/田中 奈緒子

築約100年の古民家とその周辺域を詩的なサイトスペシフィック・インスタレーションとして蘇生させた作品。

この家でかつて使用されていた家具や小物が、床に溶け入るように設置され、土間にはアリ地獄のように深く大きな穴が口を開ける。前庭には巨大な椅子のオブジェが出現し、不可思議な夢想の領域へと観客を招き入れる。古民家周辺の四季の移ろいと呼応しながら、個人の記憶と時を超えた集団の記憶とが静かに溶け合う。〈月出工舎公式サイトより〉

〈アート視察について〉
⭐︎2月末まで冬季休業中。開館日は公式ホームページをご参照ください。
休業中、屋外の常設展示は見学可能。(屋内展示など一部見学不可のもの有り。)

⑥ヤマドリ珈琲

月出工舎内にある焙煎工房。

カフェスペース「TSUKIDEYA」を間借りし、ハンドドリップでじっくり淹れた珈琲や地域の特産を使用したおやつやドリンクを提供されています。

ドリップバッグの販売をはじめ、気に入ったコーヒー豆があった際には量り売りしていただくこともできるのだそう。

こちらは元々職員室として使用されていた場所で、テーブルや椅子も当時実際に使用されていたものなのだそう。見覚えのある道具や棚などもあったり…で、懐かしい雰囲気を味わうことができるんですよ。

壁は「ストローベイル」と呼ばれる工法で藁のブロックを積み重ね、土と漆喰を塗り仕上げられています。

鳥の声を聴き、森の風景を眺めながら、淹れたての珈琲を楽しむ。そんな贅沢な時間をここでは過ごすことができます。

イベント期間にはランチやスープなどの会食メニューの提供も。

オープン日、マルシェ・イベント出店、焙煎日など、月の予定はInstagram、Facebookで発信されています。悪天候などにより急遽内容を変更・中止することがあるとのこと。各SNSの最新投稿をご確認の上、お出かけくださいね。

⑦KURKKU FIELDS(クルック フィールズ)

「人と農、食とアート」をテーマにした、木更津市の広大な自然の中に佇む、サステナブルなファーム&パークです。

https://kurkkufields.jp/

園内には、オーガニック農園で育まれた新鮮な野菜を使用したレストランやベーカリー、動物ふれあい広場などの施設の他、自然と調和しながら想像力を育むためのアート作品が点在しています。

●「ツチオとツチコ:55年後のBED PEACE」/島袋 道浩

遠く離れた二つの場所の石と土で、それぞれ人の形をつくってみた。石と石、土と土の出会い。
石のハネムーン。土のハネムーン。
その様子を眺めながら、ふと『人は死んで土に還る』という言葉を思い出した。この土の二人は本当に人だったのかもしれない。この作品はこれまで生まれ死んだ人たち、私たちの祖先のモニュメント。
同時に人と人がベッドの上で出会うことで、新しく人は生まれ人類は未来に続いていくだろう。この作品は未来のためのモニュメントでもある。
また、この二人をいつかどこかで見たことがあることにも気づく。1969年、アムステルダム、ヒルトンホテルのジョン・レノンとオノ・ヨーコ。ちょうど僕が生まれたあの年はベトナム戦争の最中だったけれど、50数年たった今もウクライナやガザ、そして世界のあちらこちらで戦闘が続いている。
55年後のBED PEACE。これから50年後、そして100年後、まだ戦いは続いているのだろうか?
〈KURKKU FIELDS 公式サイトより〉

●「無限の鏡の間ー心の中の幻」/草間 彌生

5面を鏡に覆われているこちらの四角い作品は、外から見るとその鏡に周りの自然を映し出し、まさに『自然との調和』の中に存在する作品となります。中に入ると壁や天井には複数の穴が開いていて、そこから太陽の光が取り込まれています。
実はこのミラールームシリーズは世界各所に点在していて、サイズもさまざま。外側から穴や小窓を覗いて鑑賞する作品もありますが、クルックフィールズにあるミラールームは、作品の中に入ってご鑑賞いただけるインスタレーション作品で、屋外に設置されているのは世界でここだけ。
中に入って扉を閉めると世界が一転します。
〈KURKKU FIELDS 公式サイトより〉

※ 平日は11:00-開催のツアー内と14:00-15:00、土日祝日は11:00-12:00・14:00-15:00の時間内で鑑賞可能です。受付・整理券の配布はインフォメーションへ。

●「新たなる空間への道標」/草間 彌生

「赤い炎の色から、全世界と宇宙の中で私たちの未来を暗示するこの作品は、我々に無限大の未来を与え続けているいま。我々は道標の強い生命の輝きを永遠に讃歌し続け、深い感動をもって世界中に多くのメッセージを送り続けていくその素晴らしさ。そのことを全人類の人々は心の中で永遠に持ち続けてやまないことを私は信じきっている。この素晴らしい彫刻に対する大いなる感動を、毎日語り続けていく我々の人生観を忘れない。すべて万歳。彫刻よ万歳。赤い彫刻よ万歳」(草間)
〈KURKKU FIELDS 公式サイトより〉

●「ぽっかりあいた穴の秘密」/増田セバスチャン

「穴」。それは凸凹のぼこ。圧倒的なネガティブな存在である「穴」が、空に向かってどこまでも突き出ていくとき、それはポジティブになりえるだろうか? ミヒャエル・エンデ作「モモ」の主人公は、円形劇場の廃墟に住みついた女の子のはなし。モモに話を聞いてもらうと、悩みをたちどころに解決してしまうので、モモは、いつの間にか町になくてはならない存在になりました。「穴」に降りていくと、そこは誰かの劇場。空を眺めたり、佇んだり、考えごとをしたり。穴の中で誰かの物語を空想しながら、私たちは“ぽっかり空いた穴”をキラキラで満たしていきます。— 増田セバスチャン
〈KURKKU FIELDS 公式サイトより〉

●「地中図書館」

木や草花が生い茂る土の下に、ひっそりと隠されたように存在し、洞窟のように横たわる地中図書館。土の中の微生物と共生して植物や野菜が成長するように、地中に潜り込んで本と出会い、知を蓄え、想像する力を養う。再び大地を踏みしめ、未来へと進むために。
「地中図書館」は、自然の叡智を学びながら、想像力豊かに未来へと向かう、そんな人々の支えになるような場所を目指します。
〈KURKKU FIELDS 公式サイトより〉

《 地中図書館の入館にはメンバー登録とご予約が必要です 。》
(メンバー登録、暗証番号カードの受け渡し、当日枠での予約手続きはインフォメーションまで)

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⑧perus(ペルース)

フィンランド語で「素」を意味するとおり、素材の味を活かしたレストラン。

食体験を通して「人と自然の繋がり」を体感し、農場の野菜やジビエをはじめ、地元の漁港で水揚げされた魚など、その時々の旬の食材を用いた料理を楽しむことができます。

イタリア、スペインを国内外の星付きレストランで研修を重ねた山中新貴シェフが、自然と共生し、生産者の想いと素材に寄り添った食体験をお届けしています。

【山名シェフのコメント】
食材の背景や豊かさを五感で味わうことができ、いたるところで循環を感じることができる持続可能なレストランを目指しています。

食体験を通して“人と自然の繋がり”を体感し、農場のオーガニック野菜やジビエをはじめ、平飼い卵や搾りたてのフレッシュチーズ、地元で水揚げされた魚など、その時々の旬の食材を活かしたイノベーティブなイタリア料理がお楽しみいただけます。

名前も顔も知らない生産者のお酒を使用するのではなく、実際に面識があったり、繋がりをテーマにセレクトしています。また、ノンアルコールドリンクは農場のハーブ、花、フルーツなどを発酵させて自家製シロップを作り、提供しています。

カウンター8席のみの空間で、今回は特別コース(9皿)をご用意いただきました!

野菜の端材(この日は大根、人参、かぶなど全10種)を使用した「ベジブロス」。野菜の甘みや風味が凝縮され、まろやかな味わいで食前に身体をあたためる効果もあります。農場の土やグリーンも添えられ、食材の背景をも感じられる一皿となっています。

perusのシグネチャーメニューのひとつ、その日の朝搾ったミルクで作った「水牛のモッツァレッラチーズのカプレーゼ」。口の中に溢れ出す濃厚なミルクともっちりとしたモッツァレッラチーズの食感、トマトとバジルの爽快感がたまりません♡

朝産みたての平飼い卵を使用した、大型のラビオリ「ラビオローネ」。濃厚なバターソースと鶏骨のソースが、もっちりとした生地の中のとろ〜りとろける半熟の卵とよく絡みます。

「全粒粉のパン2種」は、先程の「ラビオローネ」のソースをたっぷり付けていただきます。

全粒粉を用いたもっちりとしたパスタを使用した「自家製からすみ(鱸の卵)の手打ちパスタ」。噛むごとに小麦の旨みと香ばしさを感じることができます。麺がスープとからすみと絡み、添えられた海苔が一役買って、絶品なんです…!!

獣害とされ、やむなく捕獲された野生の動物を自然の恵としてきちんといただくため、KURKKU FIELDSの持つ食肉処理場で丁寧に捌き加工された猪肉を焼き上げる「猪肉の薪焼き」。旨味が凝縮され、とても柔らかで美味しい!!ジビエの9割以上が廃棄されているという現状の中で、骨からも出汁を取るなどperusでは最後まで無駄なく使用されているのだそうです。(薪火料理をした後の灰は畑に蒔き、器を作る時の釉などに使用。)

お米からご飯に変わる瞬間の水分をたっぷり含み、瑞々しくて甘く、アルデンテを感じる食感のことを“煮えばな”と言うのだそうです。その日本料理の技法を取り入れて作られた「七草リゾット〜煮えばな風〜」。添えられた白色/桃色のかぶや柚子胡椒を添えて。

薪火の香りを纏った脂たっぷりのサワラ、旨みたっぷりのはまぐりと共にいただきます。

水牛のリコッタチーズ、人参のシャーベット、サフランなどで構成された「人参のデザート」。野菜がスイーツに?!と驚くべき変身を遂げたスタイル。サフランの香りがアクセントになっていました。

濃厚でとても美味しいと言われているブラウンスイスの牛乳を使用した「ブラウンスイスのキャラメルジェラート」。ジェラートも水牛のモッツァレッラチーズに続き、perusのシグネチャーメニューのひとつ。濃厚なミルクと香ばしいキャラメルの相性はもちろん抜群。口いっぱいに広がるキャラメルのほろ苦さと鼻に抜けるキャラメルの香りもとても良かったです。

コースメニューには、アルコールペアリング/ノンアルコールペアリングをオプションで追加することも可能です。

アルコールペアリングは国産ナチュラルワインや焼酎、千葉県の日本酒などお料理にマリアージュするものを。ノンアルコールペアリングではオリジナルの発酵ドリンクや農場の季節の野菜や山野草を使用したノンアルコールカクテルなどを。その日によってラインナップが異なるとのこと。いつお伺いしても、新たな出会いがありそうでワクワクしますよね。

生命力に満ち溢れた食材のポテンシャルと、生産者のみなさんの想いを乗せたコース料理で、「人と自然との繋がり」を強く感じることのできるディナーとなりました。

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〈前編〉〈後編〉と2回に分けてお届けした、内房総エリア(市原市・木更津市)の現代アートと里山グルメを堪能!五感で楽しむアートトリップ、いかがでしたでしょうか?豊かな自然と現代アートが融合したこの魅力的なエリア、是非のんびりゆっくり足を運ばれてみてくださいね!

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