世界遺産に登録された3つの理由
16~17世紀、石見銀山では大量の銀が採掘され、産出された世界の銀の約3分の1を日本が占め、その多くが石見銀山のものといわれています。国内はもとより、海外にも多く輸出され、アジア諸国や、ポルトガル・スペインなどのヨーロッパ諸国を交易で結んでいました。
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youtu.be石見銀山遺跡は2007年7月にユネスコの世界遺産に登録されましたが、評価された大きなポイントは、自然を破壊することなく、自然と共存する鉱山だった点。銀を製錬する過程で大量の木材が使われますが、消費の一方で計画的に植林も進め、現在も豊かな森林が残っています。
✔世界の経済・文化に影響を与えた銀の産出地
石見銀山の銀は、ヨーロッパやアジアに広く流通し、
世界的な経済・文化交流に貢献しました。
✔当時の坑道や精錬所跡が良好な状態で残されている
龍源寺間歩をはじめとする多くの鉱山遺跡が、
当時の様子をリアルに伝えています。
✔自然と共生する持続可能な開発
石見銀山では、森林伐採を最小限に抑え、
環境に配慮した銀山運営が行われてきました。
石見銀山おすすめの移動方法
石見銀山には、ロマンあふれる坑道跡が残る「銀山地区」と、江戸時代の歴史や文化に触れたり、買い物やグルメが楽しめたりするレトロな「町並み地区」があります。
目的地までの距離に応じて「徒歩」、「レンタサイクル」、「ぎんざんカート」での移動もおすすめです。今回、行きは「ぎんざんカート」帰りは徒歩、ガイドさんとカート乗り場で待ち合わせをして一緒に散策しました。
書籍も出版したベテランガイド長尾英明さん。
大田市在住。商社、製造会社勤務を経て、現在石見銀山ガイドの会会員、五十猛まちづくりセンター長。
【ガイドがつづった石見銀山物語―ちょっとおさらい編】
鉱山町の暮らし、主な間歩や井戸平左衛門らについて、解明されている史実をおさらいしながらいまだ謎に包まれている点を想像を交えながらつづった。
長尾さんのガイドのおかげで移動中も楽しく、時間が経つのがあっという間でした。ガイド付きで回られることをオススメします。
探検気分が味わえる「龍源寺間歩」
石見銀山の見どころのひとつが、かつて銀を採掘していた坑道跡である龍源寺間歩(りゅうげんじまぶ)。入口のあたりはマイナスイオンたっぷり、空気もおいしい緑が多いエリアです。
ノミのあと
ひんやりとした空気と静寂に包まれた狭い坑道内に残るノミの跡や岩壁空間は、まさに“歴史が息づく”特別な場所です。左側のほうが天井が低くなっていて、これは江戸時代のもの。明治時代に右側に広げられたとのこと。
こういった坑道が左右にあります。鉱脈がないのがわかり途中でやめてしまった坑道もあり生々しい。
コウモリに遭遇
当時の作業は、螺(さざえ)の殻に、エゴマ油や菜種油を入れ、綿布や紙などを縒って芯にし、
燃す”栄螺灯(さざえとう)”を使ったそうで、とても薄暗いものだったそう。
鉱夫たちが住む村がすぐ近くにあり、石垣として残っています。損壊した墓石が転がっているところもあり、自然のなかで歴史が止まっているような場所もありました。
魅力あふれる「大森の町並み」
石見銀山の観光拠点となる大森町は、江戸時代からの街並みが残る趣あるエリア。江戸時代の武家屋敷や代官所跡、石見銀山で栄えた豪商・熊谷家住宅など、歴史的な建造物や文化財が当時の面影を今も残しています。歩くだけでタイムスリップしたかのような感覚が味わえます。
Cafe 住留 (カフェ ジュール)
中田商店 (ごまどうふ)
有馬光栄堂(げたのは)
ひときわおしゃれなカフェ&セレクトショップ【群言堂本店】
石見銀山の自然と暮らしを楽しむ「根のある暮らし」を提案するライフスタイルブランド【群言堂】。日本全国に姉妹店があり、本店の雰囲気を醸し出しています。
約300坪もの敷地を持つ古民家を改装したカフェ&ショップで、「復古創新」をテーマに、衣食住に関するこだわりのアイテムやメニューを提供しています。
ドイツパンとお菓子のお店
ベッカライ コンディトライ ヒダカ Bäckerei Konditorei Hidaka
2015年にIターンしたオーナーがドイツで修行し、国家資格「ドイツ製パンマイスター」を取得。その確かな技術とこだわりが詰まったパンは、地元の方はもちろん、観光で訪れた人々の心をつかんでいます。
ドイツ製パンマイスターが生み出すパンは、素朴ながらも深い味わいが魅力。ライ麦パンやプレッツェルなど、本格的なドイツスタイルのパンが並びます。 地元の野菜や果物を使った季節のパンやスイーツも人気です。とってもおいしくてもっと買って帰ればよかったと後悔したほど。
2021年には、隣接するスペースに「アイスカフェヒダカ」もオープン!地元の食材を使ったイタリアンジェラートやソルベを楽しむことができます。
世界遺産の景色を一望できるお寺【観世音寺】
岩盤を刻んだ石段を上ると「世界遺産石見銀山遺跡とその文化的景観」を代表する景色が一望できます。石州瓦の家並みも見え、町並み随一のビューポイントです。
江戸時代は石見銀山の大盛を祈願する寺で、本堂、山門、鐘楼が残されています。石段の上り口には一畑薬師が置かれ、鉱山で目を傷めた人の祈願所だったそう。
石見銀山散策の楽しみ方
いも代官ミュージアム(石見銀山資料館)
- 歩きやすい靴と動きやすい服装で、のんびりと町並みや坑道を巡るのがベスト。
- 観光案内所で配布されている散策マップや、スマホで見られるデジタルマップがあると便利。
- お腹が空いたら、大森の町並みに点在するカフェや地元グルメでひと休み。
温泉津温泉と合わせて楽しむ石見銀山
石見銀山を訪れた後は、車で約20分の温泉津温泉(ゆのつ)で心と体を癒すのがおすすめ。歴史と温泉、グルメが揃った贅沢な旅を楽しんでみてください。
歴史に触れ、自然に癒され、グルメで満たされる—そんな特別な時間が石見銀山で待っています。