近年、台風やゲリラ豪雨などの異常気象が激しさを増し、各地で床下浸水の被害が相次いでいます。水が引いた後、「表面は乾いたから大丈夫」と思って放置してしまうと、住宅の見えない部分で深刻なリスクが進行しているかもしれません。
特に床下は湿気がこもりやすく、木材が水分を含んだ状態が続くことで、カビや腐朽が発生しやすくなります。さらに、この環境はシロアリにとって格好の住処。わずかな湿気を頼りに移動するシロアリにとって、浸水後の床下はまさに「理想のすみか」です。
浸水被害は9〜10月に急増、問い合わせは10倍以上に
株式会社アサンテが過去5年間のデータを分析したところ、「大雨」や「浸水」に関する問い合わせは8月から増え始め、9〜10月にピークを迎えます。特に9月は台風シーズン本番となり、他の月と比べて10倍以上の問い合わせが寄せられています。総務省消防庁のデータでも、水害の被害状況で最も多いのは「床下浸水」。目に見えない場所だからこそ、早めの点検と対策が欠かせません。
大雨で被害を受けた床下の写真
耐震性の高い住宅でも油断は禁物
阪神・淡路大震災の調査では、シロアリや腐朽被害のある建物の全壊率は93.2%と、被害のない建物の約4倍にのぼりました。構造部分が弱っていると、耐震性能を十分に発揮できない恐れがあります。
シロアリは一年中活動しているため、「羽アリの季節が終わったから安心」という考えは危険です。
床下浸水後の「6ステップ対処法」
アサンテでは、床下浸水後の基本的なメンテナンスとして以下を推奨しています。
1 排水:できるだけ早く水を排出
2 洗浄:泥やゴミを取り除き清潔に保つ
3 乾燥:換気扇や除湿機で徹底的に乾かす
4 点検:構造や配管の損傷を確認
5 修繕:早期補修で耐久性と資産価値を維持
6 シロアリ対策:予防・駆除を専門業者に依頼
特に「洗浄」と「乾燥」は被害拡大を防ぐ最重要工程です。
自宅チェックリストで早期発見
浸水後に「床材の変色」「カビの発生」「ドアや床の異常」「カビ臭」などが見られる場合は要注意。専門業者による点検を検討しましょう。
【床下浸水後のシロアリ危険度チェックシート】
ご自身でチェックできること
□ 浸水後、床下の状況を確認していない
□ 以前よりもゴキブリやムカデなどの不快害虫を見かけるようになった
□ 床下換気口に泥やゴミが詰まっている
□ 羽アリを見かけた
□ 床材が変色してきた(黑ずみ、シミなど)
□ ドアが開きにくい/閉まりにくいなど、建具に違和感がある
□ 床がギシギシ音を立てる/一部沈み込む・たわむ
□ カビが発生した(床下に限らず、室内・押入・天井など)
□ 室内にカビ臭さを感じるようになった
1 つでも当てはまる方は、早めの床下点検をおすすめします。
専門業者だからこそ分かること
□ 床下に汚泥やゴミが堆積している
□ 配管からの水漏れが起きている
□ 断熱材が濡れていたり、外れている
□ 基礎にヒビや劣化が見られる
□ 床下に水たまりが残っている
□ シロアリや腐朽の被害が進行している
まとめ
一度浸水した床下は、放置するとシロアリや腐朽によって住宅寿命を縮め、地震時の倒壊リスクも高まります。被害は「起きてから直す」より、「起きる前に防ぐ」ことが何よりの近道です。この秋、台風やゲリラ豪雨のシーズンを迎える前に、床下の状態を一度チェックしてみませんか。早めの点検と正しい対策が、これからの暮らしと大切な住まいを守ります。