オリジナルブランド「マナラ」「アールオム」「アクナル」を開発・販売する化粧品メーカーの株式会社ランクアップが運営するスクール型民間学童「クレイバーキッズ」が、福岡市立西高宮小学校、社会人向けのリーダーシッププログラムを提供する株式会社ラーナーズラーナーと3者連携協定を締結し、9月より同小学校で新たなリーダーシップ授業プロジェクトを開始しています。

このプロジェクトでは、クレイバーキッズが開校1年間で培った実践知見を基に、公立小学校向けに再設計した"思考習慣"型カリキュラムを提供します。

3者の連携のきっかけ

西高宮小学校では、太田校長のもと「自律型の学び」や「自由の相互承認に基づく民主的な教育」を掲げてきました。教職員自身が“適応型リーダー”としての在り方を実践し続ける中、「子どもたちにも正解のない時代を生き抜く力を育てたい」との強い想いが生まれるなか、山口教諭と太田校長がラーナーズラーナー代表・黒川氏の著書『ミネルバ式最先端リーダーシップ』を読んだことをきっかけに、思考習慣を用いた適応型リーダーシップの小学校導入について黒川氏に相談。社会人教育を専門とする黒川氏から「小学校に導入するのであれば、クレイバーキッズの意見も聞いてはどうか」との提案を受け、太田校長がクレイバーキッズを訪問することになりました。

クレイバーキッズは、太田校長の「『自律型の学び』『自由の相互承認に基づく民主的な教育』を思考習慣と適応型リーダーシップで形にしたい」という強い意志・熱意に深く心を動かされ、また西高宮小学校の教育理念がクレイバーキッズの目指す方向性と合致することも確認。ここにラーナーズラーナーが加わり、3者で新しい授業の設計に取り組むことが決まりました。

プロジェクト概要(2025年8月現在)

契約締結 : 2025年7月
授業設計期間 : 2025年8月〜9月
実施時期 : 2025年9月末〜(小学4年生6クラスを対象)
展開期間 : 約3年間(児童が卒業するまで)
目的 :「世界を探究する力」「他者との関係を築く力」「課題を解決する力」を育む

“たった1人”の悩みから生まれた“考える力”を鍛える民間型学童

クレイバーキッズを運営する化粧品会社ランクアップの企業理念は、「たった1人の悩みを解決することで世界中の人たちの幸せに貢献する」。これは肌や美容の悩みに特化したものではなく、誰か1人でも、悩んでいる人がいればその悩みを解決したいという意味が込められているそう。クレイバーキッズは、ランクアップの副社長の娘さんが、元々は活発な性格だったのに、小学校に上がってからうまく人前で話せなくなってしまい、これを解決できるような場所はないかという悩みから生まれたものだといいます。

ここで、現クレイバーキッズ学長であり、当時ランクアップの新規事業部に所属していた遠藤さんが目をつけたのが米国ミネルバの「思考習慣」。“頭を使うことが大好きになる”ための独自の思考カリキュラムを開発し、本当に役に立つ実践的な思考力と、対人コミュニケーション力の中から、小学校低学年のうちに身につけておくと効果的と考えられるスキルを体系化。様々な題材で遊びながら思考習慣を身につけ、分野を問わず、汎用的に使えるように設計しました。

クレイバーキッズでは、決められた回答を探すのではなく、自ら考え解決策を導き出し、正解に囚われず、理想を達成するためのアイディアを自由に発想。集団の中での振る舞いや社会性も意識し、チームの力を最大限に発揮するための思考を鍛えます。

普通の学童とも塾とも異なる、「思考習慣」を身につけるための場所

開業1年で12名が在籍するクレイバーキッズ。一般的な学童とは異なり、週2~3回が基本で、学校から近いところに通うようなイメージではなく、遠方から1時間かけて通ってくる子もいると言います。

施設内には机と椅子が並び、1日1時間は講師による授業が行われるのも一般的な学童との違い。テストもあると言います。とは言え、塾とも異なり、ずっと勉強をするというわけではありません。

取材時、クレイバーキッズで行われていたのは、「アジャイル思考」を身につけるためのゲーム。教室を迷路に見立てて遊び感覚で”失敗に対するハードルをさげる”体験ができるような工夫がされており、子どもたちは楽しそうながらも時には真剣な表情を見せ、まさに遊びながら学んでいる様子でした。

”放課後”の過ごし方が未来を変える?ー開校1年で見えた子どもたちの変化

クレイバーキッズの開校から1年、実際に子どもたちにどんな変化があったか学長の遠藤さんに聞きました。

<教室全体として>
子どもたちの“初動”が、この1年で大きく変わりました。これまでは「無理」と諦めてしまっていたことも、「どうすればできる?」と考えられるようになっています。できなそうなことを無理と決めつけるのではなく、「頭を使えばできそうな気がする!」と感じられるようになり、新しい課題にもまず手を動かす・小さく試す・ふり返る、という流れが自然に始まるようになりました。

<ある女の子>
入会当初はあまり自分の意見を主張しない子でしたが、クレイバーキッズでの1年間を通して、自分の考えや意志を堂々と伝えられるようになりました。今では「自分は思考の武器を持っている」という自信にあふれ、授業を重ねるうちに興味は人類全体へと広がり、「ノーベル賞を取りたい」という夢まで語ってくれるようになりました。夏休みには、自ら決断してイギリスへの短期留学に挑戦し、グローバルな視点を身につけて、さらに頼もしく成長して帰ってきてくれました。

学校の後の余暇時間は、積み重ねてみると膨大な時間になります。色々なことが吸収できる年齢である小学生のこの期間にどんな過ごし方をするのかは、子どものその後の人生にも大きく影響してきそうです。日本ではこれまで見落とされてきたとも思える放課後の時間。塾でもなく、体操や音楽などの習い事とも違う“思考習慣”を鍛える新たな場所は、これからを生きていく子どもたちの未来を大きく変える可能性を秘めています。

これからの子どもたちに必要な“考える力”

また、公立小学校に導入されるにあたり遠藤さんは、「最終的には、日本全国の小学生がクレイバーキッズのカリキュラムである【40の思考習慣】®を当たり前のように学べる環境をつくりたい」と話します。

「自分の興味から問いを立て、小さく試し、仲間とともに現状を変えていく力を身につければ、子どもたちはこれまで以上に自分たちの未来に希望と手応えを持てるようになるはずです。小学校の学習指導要領にある教科内容をより深く学ぶためにも、小学生のうちから思考のステップを身につけることが当たり前になれば、予測困難な時代といわれる今、日本の次世代が世界に先んじて力を発揮できると信じています。まずは福岡での取り組みを成功させ、その成果をもとに、他の地域の公立・私立小学校や学習塾へも展開していきたいと考えています。また先生も、「教える人」から「子どもと共に思考習慣を使うファシリテーター」へと変化し、授業内で授業改善が自然に回る状態を目指します。思考習慣が日常に根づく学びの文化をつくっていきたいと考えています。」

思考習慣を養うクレイバーキッズのカリキュラムが、選択的な放課後の時間だけでなく公立小学校の授業にも広がれば、多くの子どもたちにさらなる成長の機会が与えられることになるでしょう。西高宮小学校での展開をきっかけに、今後どう広がっていくのか。日本の未来のために、皆で注目していきましょう。

民間学童 クレイバーキッズ

「未知の世界を楽しむ思考習慣を育む」を理念とするスクール型民間学童(2024年開校)。【40の思考習慣】®を体系化し、思考・対話・実行力を伸ばす独自のカリキュラムを考案し、実践している。

施設名 :クレイバーキッズ 外苑前校
住所 :〒107-0061 東京都港区北青山2-7-28 青山NAビル7階
曜日 :平日 月曜日〜金曜日
時間 :8時30分〜20時00分(12時以前と、19時以降は延長)
定員 :25名
対象年齢 :小学生1年生〜3年生まで