近年、都市部での住宅価格の高騰を背景に、オーダーリノベーションの需要が増えています。中古物件を自分好みにリノベーションする市場は2023年に12.3兆円規模に達し、将来的には20兆円まで拡大する見込みです。特に東京都23区内では、新築マンションの平均価格が1億1,181万円(2024年時点)と高額であり、マイホーム購入はますます高嶺の花となっています。
こうした状況で注目されるのが、高い世帯年収を持つ“パワーカップル”です。経済的な余裕があるため、住まい選びの選択肢が広く、自由度の高い意思決定が可能です。一方で、選択肢が多いからこそ、資産価値やライフスタイルとの適合、エリア特性など慎重な判断が求められます。また、住宅購入は夫婦間で価値観や優先順位の違いが後悔の原因になりやすく、互いの意見のすり合わせが重要です。
パワーカップルの住宅購入で重視するポイント
東京都23区内に住むマイホーム所有者(世帯年収1,400万円以上)を対象に行った調査では、パワーカップルの約60%が「立地(周辺環境)」を最重視することがわかりました。男性は女性より約10%多く「価格」を重視する一方、女性は男性より約10%多く「日当たり」を重視しています。これは、男性が費用対効果を重視するのに対し、女性は快適さや暮らしの質を優先する傾向を反映しています。
また、住宅購入の意思決定は「夫・どちらかといえば夫」が52.5%で過半数を占め、次いで「妻・どちらかといえば妻」が27.8%、「一緒に話し合って決めた」が19.7%という結果でした。さらに、購入過程でパートナーについて初めて知ったこととして、男性は「お金に対する不安や備えの意識」、女性は「相手の貯金額」が挙がりました。
マイホーム購入後の後悔
購入後に後悔を感じた項目では、最も多かったのは「駅からの距離(15.8%)」でした。男女別では、女性の方が男性より約20%多く後悔しており、特に「駅からの距離」と「日当たり」が女性の上位項目となっています。一方で「間取り」や「デザイン・内装」はリノベーションで改善可能な要素であり、事前に計画することで理想の住まいを実現できます。
駅近立地を重視したい場合でも、中古マンションを購入しオーダーリノベーションを活用すれば、自分好みの間取りや内装と利便性を両立させることが可能です。選択肢の多いパワーカップルだからこそ、価値観の違いや判断の難しさに直面しますが、互いの意見を尊重しながら理想の住まいを作り上げることが重要です。
パワーカップルの住まい事例
1 自分仕様に必要なものを厳選した住まい
新築では理想の住まいが見つからず、リノベーションを選択。回遊動線の良さと収納の最適化を実現。
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2 SIMPLE×北欧でCOZYな空間
光を活かしたシンプルで落ち着いた空間。調光可能な照明と北欧家具を組み合わせ、快適さを追求。
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3 グレーと木が調和する北欧モダンな住まい
事前に十分な話し合いを行い、折り上げ天井など柔らかい雰囲気を取り入れた北欧モダン空間を実現。
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住まい選びは、単に住宅を購入するだけでなく、夫婦の価値観や生活スタイルを確認し合う機会でもあります。変えられない条件と変えられる条件を正しく見極め、専門家のサポートを受けながら納得のいくマイホームを手に入れることが、理想の暮らしを実現するポイントです。
調査期間:2025年6月26日
調査方法:ウェブアンケートを実施し、回答を分析
調査対象者:20~50代 男女 世帯年収600~1,000万円/1,400万円以上 マイホーム所有者
地域:東京23区内
有効回答数:600名(パワーカップル259名/ミドル層341名)
※「ニッセイ基礎研究所」におけるパワーカップルの定義が、「夫婦共に年収700万円以上の世帯」とされているため、世帯年収1,400万円以上の夫婦をパワーカップルとしております。