朝から熱気に包まれた「ビューティーワールドジャパン 大阪」の会場。化粧品や美容機器が並ぶ華やかなブースの中で、ひときわ柔らかな空気を纏っていたのが、TENGAが手がける女性向けフェムケアブランド「iroha(イロハ)」のブースでした。

12年目の進化―関西初上陸となった「iroha Healthcare」

2013年の誕生から12周年を迎えたiroha。今回、女性たちの"こころとからだの健康"を支える新ライン「iroha Healthcare」が関西で初めてお披露目されました。

ブース前には開場直後から多くの女性たちが立ち止まり、商品を手に取り、スタッフと笑顔で言葉を交わす姿が。この自然にフェムケアに触れ、話せる雰囲気こそが、irohaが大切にしたい世界観なのだと感じました。

医師が語る「フェムケアは、メリットしかない」

同日開催されたトークショーには、TENGA代表取締役社長・松本光一さんと、医療法人心鹿会理事長で泌尿器科専門医の二宮典子先生が登壇。iroha誕生までの秘話や、女性のフェムケアがタブー視される中で、「女性が自分のからだに素直でいられる世界をつくりたい」という創業時の想いなどが語られ、改めてirohaがどれだけ大切に作られているブランドなのかを感じました。

また、後半には、日々医療現場で女性の悩みと向き合う二宮先生が、女性たちのリアルな声を代弁してくれました。

「生理痛、膣の乾燥、尿漏れ、性交時の痛み。これらは多くの女性が抱える悩みですが、フェムケアの一環として捉えられていないのが現状です」

二宮先生のクリニックには年間400〜500人の女性が性機能に関する相談に訪れ、月に40〜50人から「濡れない」「イけない」といった深刻な悩みが寄せられるそうです。そんなとき、先生が推奨されているのがirohaのアイテムたち。

「初めて触った方は必ず驚かれます。"こんなにふわふわなんですか?"と。ひんやりしない、やわらかな素材は、体が拒否反応を示さないんです」

商品そのものが"優しさ"でできていること。その触感が、女性の心と体をゆるめるきっかけになるのだと実感しました。

自分で自分を知ることの大切さ

さらに、二宮先生はセルフタッチング(自分で触れて反応を知ること)の重要性を強調されました。

「触れる場所によって感じ方は全く違います。自分で自分を知ることは、恥ずかしいことではなく、健やかに生きるための第一歩なんです」

海外ではすでに研究が進んでおり、フェムケアによる睡眠の質の改善、血流促進、免疫力向上などのエビデンスが報告されています。

「医学的に見ても、フェムケアはメリットしかありません」

二宮先生の笑顔と確信に満ちた言葉に、会場の女性たちは大きくうなずいていました。

「置いてあるだけでかわいい」が変えるフェムケアへの意識

トークショー後、ブースを訪れると思わず「かわいい!」と声が漏れました。

どの商品もデザイン性が高く、ふわふわ・つるつるとした心地よい手ざわり。

水色、ピンク、ラベンダーといった柔らかなカラーバリエーションも、女性らしい優しさを感じさせます。

机の上にさりげなく置いてあっても違和感がない商品たちは、まるでリップスティックやコスメのよう。ぱっと見ただけではフェムケア商品とわからない、そんな"さりげなさ"も大きな魅力です。

これまで"隠すべきもの"、"性的なもの"として扱われてきた領域を、irohaは"生活の中に取り入れるケアアイテム"として再定義しています。

「置いてあってもかわいい」「触っていて気持ちいい」

そのデザインや質感の一つひとつから、「女性が自分のからだを自然にケアできる文化を取り入れたい」という思いが伝わってくるようでした。

実際に商品を手に取る場所がないからこそ

スタッフの方にお話を伺うと、先日大阪で実施したポップアップイベントには1,000名を超える来場があったとのこと。現在、フェムケアサロンや脱毛サロンでの取り扱いも広がり、生協カタログにも掲載されるなど、販路は着実に拡大しているそうです。

「女性は実際に商品を手に取りたい、と思っても、なかなか日常の中でそういった場所に出向くこともない。だからこそ、安心して商品に触れたり、選ぶことができる場所をもっと増やしていきたいんです」

スタッフさんの言葉からは、一人でも多くの女性に、irohaの商品を当たり前に手に取ってもらえる世の中にしていきたい。そんな未来への思いが伝わってきました。

また、会場では、実際に商品を手に取りながら「この商品、肌触りが気持ちいいね」「今度カップルで一緒に使ってみたいね」「自分も奥さんとはこれを使ってるよ」なんていうお客様同士の会話が自然と聞こえてくるのが印象的でした。

今回のイベントを通して感じたのは、フェムケアについて“普通に話せる場所”が日本にももっと増えてほしいということ。

日本ではまだ、性に関する話題は"オープンに語ってはいけないもの"という意識が根強く残っています。

でも、考えてみれば、自分のからだを自分が知り、触れて、ケアすることは、本来、恥ずかしいものではなく、当たり前の行動のはずだということ。その中に、当然、「フェムケア」があって、それは決して隠されるべきものでも、してはいけないことでもありません。

海外のように、セルフケアが日常の一部として自然に受け入れられ、誰もが自分のからだと心を大切にできる社会になったらどんなに素敵だろう。

フェムケアは、特別なことでも恥ずかしいことでもなく、自分を思いやるためのやさしい習慣。そんな考え方が少しずつ広がっていく未来の一端を、今回のirohaの出展を通して垣間見たように思います。

Event: ビューティーワールドジャパン 大阪 2025
Venue: インテックス大阪
Date: 2025年10月20日