2025年夏、日本列島を襲った記録的な猛暑は稲作に深刻な影響を与え、新米価格は過去最高水準へと高騰しました。5キログラムあたりの平均小売価格は4,000円を超え、2020年比でほぼ倍増。消費者の「価格重視」志向が一段と強まる中、食品小売業者の間ではオンライン販売チャネルの拡大が加速しています。その中で注目を集めているのが、東京を拠点とする食品小売企業TOKKA(トッカ)。同社はグローバルマーケットプレイス「Temu」を活用し、国内外の消費者に新たな形で国産米を届けています。
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Temuで国産米を販売する国内初のローカル販売者に
TOKKAは、全国の生産者と消費者をつなぐ自社サイト「全国産直お取寄せTOKKA」で知られる企業。2025年初頭、同社はTemu上での販売をスタートし、国産米を主力商品として出品した初の国内ローカル販売者となりました。
Temuは世界90以上の国・地域で利用されるオンラインマーケットプレイス。出店初月から売上1,000万円(約6万7,000ドル)を突破し、現在ではTOKKAの全販路30チャネル中トップ3に入るまでに成長。売上全体の約15%をTemu経由で占めています。
同社はTemuの効率的な運営環境と柔軟なプロモーション機能を活かし、流通コストを抑えながら高品質なコメをより手頃な価格で提供することに成功。これにより若年層や新規顧客層へのリーチが拡大しました。
「日本の食材が持つ丁寧な生産と職人技の魅力を広く伝えたい」と、TOKKA代表の野田健士氏は語ります。「Temuの広範な販売ネットワークは、私たちの商品価値をそのまま消費者へ届けるための大きな力になっています」。
若年層に広がるTemuの購買トレンド
市場調査会社Ipsosの調べによると、Temuのユーザー層は他の主要ECサイトと比べて若年層が多く、20代が全体の19%を占めています。野田氏は「初期コストが低く、参入障壁が小さいことに加え、若い世代に直接リーチできる点が魅力」と話します。
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TOKKAは現在、主力の国産米に加え、A5ランク黒毛和牛の販売も開始。今後は季節野菜や果物、伝統的な惣菜などへとラインナップを拡大予定です。すべての商品は受注後に加工・発送され、新鮮さを維持しながら食品ロスの削減にもつなげています。
Temuを通じて広がる地方生産者の未来
TOKKAの事例は、地方生産者や食品小売業者が、既存の流通網に加えてデジタルプラットフォームを活用することで、変化する市場環境に適応できることを示しています。同社は今後、Temuでの月間売上を2,000万〜3,000万円規模に拡大し、2026年の売上目標10億円のうち約30%をTemu経由で達成する計画です。こうした取り組みは、日本の食品流通の新たなスタンダードを築く一歩となりそうです。
▼Temu公式サイト
https://www.temu.com/
▼TOKKA公式ストア(Temu内)
全国産直お取寄せ TOKKA - トッカ