「味の素KKコンソメ」は、日本の家庭料理に欠かせない、まさに国民的調味料。普段何気なく「ポン」と入れているあの小さなキューブにどれほどの技術とこだわりが詰まっているか、ご存知でしょうか?
今回、洋風スープの素カテゴリーで圧倒的No.1シェアを誇るヒット商品、味の素(株)の「コンソメ」工場に初潜入!1962年の発売から64年目を迎えるロングセラー商品が、時代に合わせてどのように進化し、いかにして私たちの食卓に届いているのでしょうか。その知られざる製造の秘密と、17年ぶりに実施された大改訂の背景に迫ります。
知らない人はいない!日本の食卓を支える「味の素KKコンソメ」って?
コンソメ(Consommé)とはフランス語で「完成された・完遂した」を意味し、元は宮廷料理でシェフたちが手間暇かけて作っていたスープが語源とされています。
「味の素KKコンソメ」は、一流シェフでも10年の修行を要すると言われる本格的なコンソメを「誰でも簡単に作れるように」と開発され、1962年に発売されました 。ブイヨンがだしであるのに対し、「コンソメ」はこれだけで味が決まるスープであり 、スープだけでなくパスタや煮込み料理など幅広い調理のベースとして長年愛されている国民的調味料なのです。
「コンソメ」にもこんなに種類があるって知ってた?
その美味しさの秘密は、厳選された素材にあり!「味の素KKコンソメ」は、2種のお肉(鶏肉・牛肉)と4種の野菜(ニンニク、ショウガ、白菜、玉ねぎ)を贅沢に使用しているのだそう。
原料は、国産の成鶏丸鶏を使用
野菜だけでなく、焼成ニンニクやショウガもたっぷり入っているんです
特に、牛肉は肉の味が強い1stグレードのニュージーランド産(一部オーストラリア産)を煮込んだエキスを使用し 、本格的な肉だし感を再現しています。
17年ぶりに品質改訂!あの「コンソメ」はどう変わったの?
今回の改良で特に着目したのは、牛肉の「赤身」のうま味と、「脂」のコク。塩分は従来の2.5gから2.4gに減塩されているのにもかかわらず、従来のコンソメよりも、より濃く感じられるような設計になっているんだとか。
左が旧タイプ/右が改訂版
実際に従来の「コンソメ」と改訂版を飲み比べしてみたのですが、たしかに改訂版の方がコク深さがプラスされてる!味の広がりも長く感じました。
この商品改訂には、実に3年間で約400回の試作が重ねられたとのこと 。慣れ親しまれた味を変えることへのこだわりと情熱が伝わってきますね。
実際に工場でコンソメが作られる裏側をみてきました!
今回は、普段公開していない、「コンソメ」が作られる舞台に初潜入。「コンソメ」や鍋キューブの製造やキュービング、包装などおこなっている北海道の訓子府工場に伺いました。
まず第一工程として、ここでは1バッチ分(約700キロ=コニカルビン)のコンソメマスとなるように各原料を計量します。ここはあえて、担当者の皆さんが手作業で丁寧に計量を行っていました!「機械化が進んだ今でも、間違いがないように、確実性を重視して人の手で」。国民的調味料を支える、工場の皆さんの真剣な眼差しと繊細なこだわりを感じる瞬間でした。
そこから十勝工場で作った液体原料(肉野菜エキス)、油脂原料、粉体原料を混ぜ合わせ、丁寧に混合されます。
この混合されたマス(粉)は、同じ機械内で温風による「乾燥」と、冷風による「冷却」を経て、水分と温度を調整。乾燥した塊は「解砕」され、最終的に約700kg入りのコニカルビンに「充填」されます。
いよいよ、コンソメマスがおなじみのキューブへと姿を変え、私たちの食卓に届くまでの最終工程です。
こちらが、コンソメマスをキューブ状に固める「打錠」工程です。このエキスや油脂を含む粉体原料を固形化する技術は非常に難しく、味の素が特許を取得済みの特別な技術とのこと。工場では、1分間に1打錠機あたり300個という驚異的なスピードでキューブが生産されていました。打錠された製品は、まず金属検出機ですべてに異物がないか厳しくチェックされます。
キューブはその後、一つひとつ丁寧に銀紙で包装されていきます。コンソメは湿気に弱いデリケートな製品のため、銀紙のシールが命綱。
ここでは、包装後の「傷、汚れ、ずれ、シール不良」を人の目で厳しくチェックする工程が設けられていました。また、重量の定期的な検査も行われます。
銀紙包装されたキューブは、7個入りの「ピロー」と呼ばれるアルミ袋に包装されます。このアルミ包装後も、再度外観の目視確認が行われるほか、包装に穴が開いていないかを確かめる「水没試験」を定期的に実施。そして、全ての製品で重量チェックが行われます。
いよいよ最後の仕上げ!7個入りのアルミ包装が3本、ひとつの小箱に詰められると、ここでも異物、賞味期限の印字、重量という厳しいトリプルチェックが行われます。その後、10箱がまとめてラッピングされ、最終的には人の手で丁寧に段ボールへと収められていきます。
自動化された工程の合間合間に、人の目と機械のチェックが幾重にも組み合わされているのが印象的でした。私たちが毎日安心して使えるキューブは、この妥協なき見守りの中で大切に作られていたのですね。
国民的調味料「味の素KKコンソメ」を支える妥協なき品質
くまのプーさんデザインパッケージ© Disney. Basedon the "Winnie the Pooh" works,by A.A. Milne and E.H. Shepard.
今回の工場潜入レポートを通じて、いかにこの小さなキューブ1個に手間暇かけた製法と最新の技術、そして妥協のない品質管理が凝縮されているかを肌で感じることができました。
味の素KKコンソメの濃厚なうま味とコクは、きっとあなたの料理をグッとワンランクアップさせてくれるはず!ぜひ、17年ぶりに改訂された新しいコンソメを試して、その「濃く、長く感じる、うま味とコク」を体験してみてくださいね。また9月以降には、くまのプーさんデザインパッケージも登場予定!可愛さも加わった国民的調味料に、これからも注目です。