博物館体験を「食」で再構築
1872年に創立した上野公園内に位置する東京国立博物館
www.tnm.jp本アフタヌーン・エキシビションは、「エントランスから展示室へ」という東京国立博物館での来館体験を、前菜とメインのコースへと落とし込んだ“食のキュレーション”です。
古代から近代までの美術品や工芸品をイメージしたメニューは、器や盛り付けにまでこだわりが込められ、まるで展示室を巡るような感覚を味覚で楽しむことができます。
前菜では、本館前庭をイメージした「レモングラス香るバニラパンナコッタ」と、シンボルツリーであるユリノキを着想源とした「ユリノキモクテル」が登場。高揚と静けさを表現する組み合わせは、展示室へと足を踏み入れる瞬間の期待感を思わせます。
ユリノキモクテル
白ワイングラスで青々と茂ったセルフィーユをユリノキに見立て、リンゴのやさしい甘みにドライジンジャーのスパイスが映えるモクテルに仕上げました。ダージリンとカモミールが余韻を上品にまとめ、パンナコッタのレモングラスとも上品にマッチします。
レモングラス香るバニラパンナコッタ
なめらかなパンナコッタにレモングラスのジュレを重ね、清々しい香りとともにさっぱりといただけます。周囲にはサツマイモとオレンジのジュレをあしらい、味の変化も楽しめます。冬ならではのフレッシュなサツマイモを丁寧に煮含め、自然な甘みを引き立てた一皿です。
キューブスイーツで巡る時代の旅
メインプレートには、古墳から江戸までの時代をイメージした約3.5cmの“キューブスイーツ”8種が並びます。
埴輪をモチーフにした焼きまんじゅう「はにわガトー」、奈良時代の貨幣を想起させる「金貨ガトー」、名刀・三日月宗近を表現した「刀ガトー」など、東京国立博物館の収蔵品や意匠をヒントに再構成されたスイーツは、和のモチーフを洋の技法で洗練させた独創的な逸品ばかり。
それぞれのスイーツは色・形・温度・香り・質感の流れが展示室を巡る動線のように設計され、ひと口ごとに「鑑賞」と「味覚」が重なり合います。
【1】 はにわガトー(焼きまんじゅう)〔=重要文化財 埴輪 盛装女子(はにわ せいそうじょし)〕
群馬県伊勢崎市で出土した埴輪に因み、郷土菓子の焼きまんじゅうをキューブ仕立てで表現。ほんのり味噌の旨みを忍ばせたパン生地に、焼き上がりでザラメをきかせた甘味噌だれを重ね、香ばしく仕上げています。ひと口ごとに広がる甘じょっぱさと小麦のやわらかな風合いが楽しめます。
【2】 金貨ガトー(みかんパルフェ・グラッセ)〔=重要文化財 開基勝宝(かいきしょうほう)〕
冬の国産みかん果汁に、奈良時代に親しまれていた蜂蜜を合わせたパルフェ・グラッセ。
トップには最古の貨幣を想起させるサブレを添え、生地にも蜂蜜を練り込みました。
みかんの瑞々しさと蜂蜜のまろやかな甘みが調和し、後味はすっきりと仕上げています。
【3】 刀ガトー(ブルーキュラソーゼリー)〔=国宝 太刀(たち) (名物 三日月宗近(めいぶつみかづきむねちか )〕
刀の凛とした冷ややかさをキューブに閉じ込め、上層は梅酒のジュレにごく少量のブルーキュラソーで透明感のある色調を加え、中層はホワイトチョコを合わせたミルクゼリー、下層はラズベリーとカシスのムースの三層仕立てです。レモンの三日月を思わせるアクセントが、酸味のキレを印象づけています。※アルコール成分は加熱・使用量を調整。
【4】 クジャク明王像ガトー(レイヤードムースガトー)〔=国宝 孔雀明王像(くじゃくみょうおうぞう)〕
鮮やかな色彩と祈りの象徴性をキューブに表現。最上部は孔雀明王像が中央の手に
ザクロを捧げ持つ姿からざくろ果汁のジュレを、続いて中層には抹茶クリームを重ね、
ベースはサフランを忍ばせたアーモンドミルクのムースで仕上げています。
パッションフルーツの果肉が軽やかな酸味と食感を添え、重層的な香りの余韻が楽しめます。
【5】 秋と冬ガトー(甘酒と栗のパウンド)〔=国宝 秋冬山水図(しゅうとうさんすいず)〕
江戸の町でも親しまれた冬の季節ならではの甘酒と、秋の味覚である栗を合わせた
パウンドケーキ。甘酒を用いた生地をココアでマーブルに仕立て、トップには栗をあしらいました。やさしい甘みとしっとりとした口当たりで、季節の移ろいを感じられます。
【6】 檜図ガトー(抹茶チョコカヌレ)〔=国宝 檜図屏風(ひのきずびょうぶ)〕
檜とカヌレの表情の呼応から着想を得て、当ホテルで通常販売しているホテルメイドの
カヌレを本プログラム用にキューブ型に焼き上げ、上面を抹茶とチョコレートでコーティング。『檜図屏風』の金地に映える檜の力強さを、抹茶の深い緑とショコラの艶やかなコントラストで
表現。外はカリッと、中はもっちりとした食感と香ばしい余韻が楽しめます。
【7】 粒餡ガトー(和風オペラ)[=重要文化財 三代目大谷鬼次の江戸兵衛(さんだいめおおたにおにじのえどべえ)]
粒あんとアーモンドジョコンドを重ねた、三層仕立ての“和風オペラ”。
トップに金箔をあしらい、ガナッシュでちょんまげを象って、
作品『三代目大谷鬼次の江戸兵衛』の印象的な造形をオマージュしました。
粒あんのやさしい甘みとアーモンドの香ばしさに、醤油シロップのほのかな塩味と
ビター感が重なるガトーです。
【8】 八橋タタンガトー(八つ橋入りチョコレートムース)[=国宝 八橋蒔絵螺鈿硯箱(やつはしまきえらでんすずりばこ)]
京都の銘菓、八つ橋とリンゴのタタンを忍ばせたチョコレートムース。
ほのかなニッキの香りがカカオの深みと調和し、なめらかな口当たりの中に
軽やかな食感を添えます。意匠は『八橋蒔絵螺鈿硯箱』に着想を得て、
橋のリズムと螺鈿のきらめきをキューブに表現しています。和と洋の調和を楽しめる逸品。
さらに、ほうじ茶をベースにしたホットモクテルが添えられ、和素材のニュアンスを引き立てながら、8種の個性を優しく包み込みます。
名品と見比べながらいただくことで、味覚と美術が響き合い、感動が倍増します。
五感で日本文化を再発見
このプログラムが目指すのは名品の再現ではなく、“日本文化を味わう”こと。ミニマルな造形に季節と物語性を凝縮し、前菜とメインそれぞれに最適なペアリングモクテルを用意することで、食とアートが交差する独創的な体験を創出しています。
「TOKYO WAVES」をテーマに、アート・音楽・食・デザインが交差する体験を届けてきたメズム東京。今回のコラボレーションでは、国内外のゲストに「五感で日本を再発見する時間」を提供します。東京国立博物館の広大なコレクションのエッセンスを一皿に凝縮し、コンパクトかつ新鮮に編集したアフタヌーン・エキシビションは、まさに東京ならではの特別なひととき。
この冬から春にかけて、時を旅するように味わう“食の展示体験”を、あなた自身の五感で確かめてみてはいかがでしょうか。
アフタヌーン・エキシビション チャプター15 『東博~テイストofアーカイブ』~
提供期間 2025年12月1日(月)~3月31日(火)
※2026年1月1日(元日)、1月12日(月)を除く
提供時間 平日:14:00~/ 14:30~ / 15:00~ / 18:00~
土日・祝日:14:00~/ 14:30~/ 15:00~
提供場所 メズム東京16階 バー&ラウンジ「ウィスク」
料金 おひとり様:7,000円 (消費税・15%のサービス料込み)
キャンセル料 前日50% / 当日100%-
ご予約 https://x.gd/jd3mo
(1日前の21:00までの予約が必要です)