少子高齢化などによる孤立や子育ての問題など社会課題に対応するため「包摂的コミュニティプラットフォームの構築」の研究開発が行われています。包摂的コミュニティとは、「寛容性」と「自律性」を備えたコミュニティのことです。この社会課題に対応していくには、性別や年齢、障害の有無などに関わらず、一人一人が社会に参加して活躍できる社会の寛容性を育む必要性があり、個人の自立性を高めることが重要と考えられています。そのような中、内閣府SIP「包摂的コミュニティプラットフォームの構築」シンポジウムが都内で開催され発表や企画展示などが行われました。

これから社会を中心に生きる若者にも関わってもらいたい

今回のシンポジウムではプロジェクトのリーダーでもある筑波大学の久野譜也教授も登壇。下記のように話しました。

「私たちは論文を出すことも大事ですが、女性が働きやすい社会や少子化対策、人口減・高齢化による孤立への対策など生きやすい社会に繋げる活動をしていくことも大切です。そして大人の考えだけでは社会は変わらないと考え、これからこの社会を中心に生きていく、よりよくしていく今の中高生に関わってもらうことにしました。そこで玉川学園(東京都町田市)の中学生、高校生の生徒と連携して、どうやったら社会へのインパクトを出せるかということを『世の中ちょっと良くする部』という部活動として活動してきました」

このように、これから社会をつくっていく学生と連携もしてプロジェクトを進めていると説明。続いて、学生代表から、今、社会課題を解決するために進めているプロジェクトの発表が行われました。

最初は自分たちで社会に投げかけても、社会は何も変わらないのではないか、というのが生徒の本音だったそうですが、この一年で変わってきたという生徒たち。玉川学園の中高生徒代表のプロジェクト発表を聞くと、しっかりとまとまっていて、大人顔負けの発表で心に響きました。そしてその熱量が、大人も変わらないといけないなと思わせるものでした。

中高生発案のプロジェクト「みんなの違和館」

玉川学園の中高生徒はチームに分かれて社会課題の解決に向けてプロジェクトを進めているようで、今回のシンポジウムでは企画展も開催されました。これも、もちろん学生たちが発案したものです。「男の子だから、泣かないで」「太っている女の子は痩せている女の子よりも価値が低い」など無自覚の偏見に気づくきっかけにしてほしいと、見えない偏見を可視化した展示です。

「自分たちが受けた偏見や違和感を話し合ったら、思っている以上に受けていた偏見がありました。そこで、もしかしたらこのような活動をしているけれど、私たち自身も偏見に気づいていなかったのではないかと思い、周りのみんなに無自覚の偏見に気づいてもらおうと、この企画展を考えつきました」

と学生たちは企画展の経緯を説明します。

玉川学園の生徒だけではなく、大人から募集した意見も含めて展示されています。見ていると、「男の子は青、女の子はピンク」「独りって寂しそうって本当かな?」「女の子だから結婚や出産を見据えて進路選択してね」など世の中が植え付けてしまった価値観、無自覚の偏見が散りばめられていてハッとさせられます。こうゆう無自覚に気づくことによって、今までは何気なく言っていた一言などを他の人に言わなくもなりますよね。

そんな素敵な企画展ですが、今後も東京・青山や新潟県などでも開催される計画もあるようで、多くの人に響きそうです。

東京・青山開催予定
会期:4/24(金)〜4/26(日)
開催場所:ITOCHU SDGs STUDIO

https://www.itochu.co.jp/ja/corporatebranding/sdgs/about.html

みんなで未来をつくる

今の世の中に対して、大人への怒りが強いと玉川学園の生徒は話します。そんな学生たちが未来を変える取り組みをして、未来を変える手応えを感じたら、きっとその波紋は多くの人に広がり、世の中は変わっていくことでしょう。

防犯意識の観念などから近隣の人との「おはよう」などの挨拶が減ってしまっているとのことで、コミュニケーションを活性化するプロジェクトも学生たちが発案しています。これはゼルビア・コミュニティ・ビンゴというゲームをつくって町おこしとFC町田ゼルビアの知名度アップ、コミュニケーションの活性化を目指した取り組みです。町田市を巻き込んでの大きなプロジェクトを中高生が行っているのも驚きですよね。学生だから思いつく案もあり、実際に達成することで将来に向けて彼ら、彼女らのさらなる力になっていくことでしょう。

これからの世の中がよくなっていく一歩として、大人だけではなく、学生などの若者も一致団結して取り組み、活動していくことの大切さにも気づかされました。