東京・銀座のSEIKO HOUSE 6階のSEIKO HOUSE Hallにて、セイコーの企画展「Exhibition 時 2026 わたしのリズム、みんなの時間」が、6月10日の「時の記念日」を含む6月4日(木)~6月14日(日)の会期で開催されます。

本展では、「時の文化」と「現代の時間感覚」について歴史や統計を振り返りながら紐解き、いくつかの体験を通じて「みんなの時間」や「時計が示す時間」との違いを発見でき、来場者一人ひとりが「自分の時間」を見つめ直すきっかけとなる内容となっています。

会場は時計の構造を想起させる円形のレイアウトで展示が配置され、技術の進化と共に日本人の時間感覚がどう変化したか、その歴史を辿りながら時間の捉え方の違いに自然と気づく作りとなっています。本展は、日本独自の「時の流れ」「季節の移ろい」「自然」などに着目し、SEIKO HOUSEを舞台に「時」の価値を再発見する「時と日本文化プロジェクト」の一環として実施されます。
6月10日の「時の記念日」は、第一次世界大戦後の不安定な社会情勢にあった日本で、人々の生活を立て直し、時間を尊重する意識の普及を目的に、当時の文部省の外郭団体である生活改善同盟会の提唱によって1920年に始まりました。
展示の序盤には、西暦671年、天智天皇の時代に「漏刻(ろうこく)」と呼ばれる水時計を使用して日本で初めて時間が知らされたことが紹介されています。「時の記念日」の6月10日というのは、この漏刻を使い、日本で初めて時間が知らされた4月25日(旧暦)を太陽暦に換算した日にちです。
それから1300年以上が経った今と天智天皇の時代では、日本人の時間感覚には大きな違いがありそうです。漏刻の次には、平安朝の宮中で役人が夜中に時刻を声で告げる「時奏(じそう)」の習慣が掲示。清少納言の「枕草子」にもこの時奏について触れられています。
さらに明治時代、不定時法から定時法へ移り変わる際に、福澤諭吉が「1秒」を「脈拍の1回」と例えて分かりやすく説いたエピソードなども紹介され、日本人がいかに「時」を身体感覚に落とし込んできたかが分かります。

会場に用意されている「ハンドプロジェクション体験」では、時計型のリストバンドを手に着け、手をかざして映し出された映像から江戸時代の時間を感じられます。江戸時代は現在の定時法とは異なり、日の出・日の入りの長さで一刻の長さが変わる「不定時法」でした。日本人は自然の移ろいとともに時間を感じ、美しい言葉をたくさん作り出してきました。その言葉が映像で紹介されています。

西洋から機械式時計が伝来し、現代に至るまでの時間感覚を眺めた後には、現代の時間感覚を見つけ直すエリアへと入っていきます。「時間感覚タイプ診断」では、いくつかの質問に答えていくことで、時間はみんなで揃えたい「シンクロ型」、自分の裁量で時間を組み替えたい「マイペース型」など、自分のタイプを知ることで、時間に対する考え方を見つめ直すことができます。

展示終盤には、セイコーグループが生活者の時間についての意識や実態を探る調査「セイコー時間白書」の2026年版が掲示。2017年から毎年発表しているこちらの調査ですが、今年は「時間は『タイパ&メンパ』の二刀流時代へ」というテーマが掲げられました。「AI利用が浸透する一方、”あえて効率を求めない時間”への価値も上昇し、”心の充足”や”納得感”を求める『メンパ時間』を重視する人が増えている」と、調査結果がまとめられています。
タイパは「タイムパフォーマンス」で聞きなれている方も多いと思いますが、メンパは初めて目にしたという方も多いかもしれないですね。メンパ(メンタルパフォーマンス)とは、タイパに次ぐ物事のパフォーマンスを測る定義で、心理的負荷を下げ感情の安定や人とのつながりなどの心の充実度、人生の充実度を優先する消費スタイルや考え方のことを指します。
タイパ意識も行動も定着した一方で、タイパとは逆の行動も重視され、時間の使い分けも行われているようです。タイパが定着しAI利用が広がる中で、何もしない時間について、74.3%が「必要だと思う」と答え、時間の使い方を聞くと「時には立ち止まってひとつのことを考えたい」が73.9%、「じっくりと考え事をするのが好きだ」が74.9%と7割以上が賛同していて、効率一辺倒ではないメンパ的な時間の使い分けがされていることがわかります。
以上のように、本展は日本人の歴史的&文化的な時間の測り方や感じ方を学び、自身とほかの人の時間感覚を比べ、「セイコー時間白書」によって現代人の時間への意識を知り、多角的に時間を見つめ直す内容となっています。仕事や勉強時などのタイパモードではなく、「自分自身を見つめ直す」メンパモードになった時こそ、会場を訪れてみると時間についての面白い発見があるかもしれないですね。