出産や育児をきっかけに、「これまでと同じようには働けないかもしれない」と不安を感じる女性は少なくありません。しかし、その不安を、事前の準備や周囲との協力によって小さくできるとしたらー。
2児の母である原香奈さんは、3年半の育休を経て仕事に復帰。ゴウリカ株式会社で新規事業の立ち上げを担い、現在はHR事業部長として企業の採用課題の解決に取り組んでいます。
今回はそんな原さんに、育休後のキャリアを見据えて産前から取り組んできたことや、子育てと仕事を両立するための考え方、限られた時間で成果を出す工夫について伺いました。
ー妊娠する前から考えていた「仕事と育児の両立」
現在は2人のお子さんを育てながら事業部長として活躍されている原さんですが、出産前はご自身のキャリアについてどのような考えをもっていたのですか?
私はもともと、本気で保育士になることも考えていたくらい子供が好きだったので、子供は絶対欲しいと思っていました。一方で、働くことや、評価されることの面白さも感じていたので、就活をする時点で”仕事と子育ての両立ができるところ”を基準に会社を探しました。
就職してからも、何年以内に子供を産みたいというような人生設計もあったんですが、それと同時に、産後は残業はできないし子供の発熱もあるだろうから、“自分がいなくても仕事が回る仕組みをつくる”というのを最初から意識していました。
かなりはやい段階から色々考えていたんですね。まだ結婚も出産もしていないときに具体的に考えるのは難しそうな気もしますが、原さんがそんな風に準備できたのにはなにか理由があるんでしょうか?
就活をしていた時から、働く先輩たちと積極的にコミュニケーションをとるようにしていたんです。ママ役員さんとか、企業で活躍しているママさん社員とか、ロールモデルになるような人の話を聞ける機会があったらどんどん聞くようにしていました。
就職してからも、採用関連の仕事で就活生向けのセミナーのゲストのブッキングをしていたので、そういった方たちとの接点が多かったんですよね。ママさんだけではなく、男性側の意見を聞いたりすることもありました。
ー不安を減らすカギは「理解のある職場」
事前に準備をしっかりされていたことで、やはり出産後に感じたギャップは少なかったのでしょうか?復職を前にしたとき、不安だったことはありますか?
私は第1子と2子の育休が続いたので、3年半ほど仕事を休んでいたんです。かなり長かったので、準備していたとは言え、それでも不安はありました。
ただ、不安であることや、自分の優先順位、できることできないことを相談するということができる職場環境だったので、それがすごく助かりました。家庭でも、私だけが頑張るのではなく、仕事が始まるから、「家族で頑張ろうね」というのを伝えていましたね。
育休後の復帰は、会社の理解があるかがやっぱりすごく大切なので、もともとそれができる会社選びをするというのが重要だと思っています。
私はそれを見極めるために、入社前に経営層だったり、子育てに遠そうな人たちと話して、育児への理解があるかどうか確認するということをしました。子育てと遠い人たちが理解してくれているというのは、会社の仕組み自体が整っているということだと思うんですよね。
育休後職場に復帰してから、管理職にはどのような経緯でなられたのですか?子育てをしながら管理職、事業責任者という立場を引き受けることに迷いはありませんでしたか?
2025年4月に復帰して、最初は新規事業企画を1人で担当していました。法令調査をしたり、実際に審査をだしたりとか、事業立ち上げに必要な準備を半年間やりました。そして10月にその事業をリリースすることになったのですが、そのまま流れで自然と私が事業責任者になったんです。
そこからメンバーが月に1人ずつ増えていくかたちで、現在は7人の部署になったのですが、突然ひとつの部署をまとめるようになったわけではなく徐々に増えていったので、そこはスムーズでした。
管理職の仕事はメンバーに気持ちよく働いてもらえる環境づくりをすることで、極論ですが、上司がいなくてもメンバー全員がベストパフォーマンスを出せる状態が理想と考えています。日々のタスクというより中長期で大事なことを進めていくのがマネジメントなので、子供の体調不良など短期的なイレギュラーでの影響は比較的カバーできるものも多いですし、私は子育て中の女性にもぜひ管理職を目指していただきたいと思っています。
ただ一方で、誰もできるほど簡単ではないとも感じています。調整できるとはいえ、体調不良での休みがあまりに頻繁だったり、長期間になったりしたら、やっぱり大変ですよね。もちろん、マネジメントという仕事そのものもやりがいはありますが難しいとも思います。私の家族は体が強くて、体調を崩すことが本当に少なかったので、ある程度仕事に集中できる環境があるという点で運がよかったと感じる部分もあります。
ー限られた時間で何をするか
出産前と比べて、ご自身が成長したと感じることはありますか?子育てと仕事を両立するなかで、大切にしている考え方などがあれば教えてください。
産前に思い描いていた"自分が急にいなくなっても回る仕組み"を実行に移すのは、やっぱり最初はなかなか難しかったです。こんな風に話していますが、産前は夜遅くまで残業するようなことも普通にあったので、それが急にできなくなるっていうのは結構違いますよね。でももうとにかく限られた時間で最大の成果を出さなければいけないので、前もって準備をしたり、人にお願いしたり、場合によっては断るものもあったり、今はそういう精査を一つ一つ丁寧にするようにしています。
それから「周りを適切に頼ること」を専業主婦の3年間で学びました。例えば、子供と遊ぶ時間を大事にしたいからその分自分が掃除をする頻度は少し減らすとか、必要ならシッターさんを呼んでみるとか。家でずっと子供と向き合っていて疲れたら、児童館に行ってみたり。全部自分一人でやろうとするとしんどくなるんですよね。
相手の話をよく聞くとか、本当のニーズを理解するとか、ビジネス書を読んでいても子供の言葉が浮かんでくるんですよ(笑)。仕事も育児も、共通する部分が多いと思います。
忙しい毎日の中で、自分自身のコンディションを保つために意識していることはありますか?
「大事にしたいことに時間を使う」ことですね。自分を高い優先順位におくことです。やりたいこと、やらなければいけないことがたくさんあっても、そこで自分の幸せは削らないこと。母親をしていると、自分の幸せが疎かになってしまいがちだと思うので、これは意識するようにしています。
完璧を目指さず、誰かにやってもらったり、掃除の数を減らす話もそうですよね。今のところ一番優先しているのは睡眠かな。しっかり寝ていれば風邪をひかないし、体力も安定するし、私は嫌なことも寝たら忘れるので、しっかり寝ています(笑)
ー準備することで不安は小さくできる
最後に、将来のキャリアや出産後の働き方に不安を感じている女性にメッセージをお願いします。また、これからのキャリアで挑戦したいことを教えてください。
不安だと悩み続けるのではなく、やっぱり何かしてみたほうがいいのではないでしょうか。色んな人に話を聞いたりして、出産前にも出産後の不安を減らすためにできることがあると思います。
私はもし双子が生まれたら・・とか、いろんなシーンを想定して準備するようにしていました。おすすめはとにかくそれをリアルに体験している人に話を聞くことです。今も子供たちはまだ小さいですが、「小1の壁」という言葉をよく聞くので、それについて調べて準備をしています。
この先は、営業の仕事をしているか人事をしているかもわからないくらい、この仕事がしたい、というのはないんです。でも、働くって楽しいと思っていますし、私は一人で何かするよりもチーム・組織で働くことが好きなので、会社に所属してこれからも人と関わりながら定年まで働いていきたいですね。子育ても楽しみながらやっていきたいですし、子供はできればあと1人か2人ぐらい欲しい気持ちもあります。
それから、私は今いる組織が本当に働きやすくて、これもやっぱりラッキーな部分があると思うのですが、これがラッキーじゃない世の中になったら一番いいなとも思います。今ちょうどこれを叶えるような、働きやすさにつながる採用関連のサービスを運営しているので、これをもっともっと大きくしていきたいですね。
原 香奈(はら・かな)さん
ゴウリカ株式会社 HR事業部長/シニアコンサルタント
明治大学情報コミュニケーション学部卒業後、大手メーカーに新卒入社。人事として年間約100名規模の新卒採用に従事。
2019年、ゴウリカマーケティングに参画し、DX事業の事業開発およびコンサルティングに従事。あわせて中途・新卒採用の立ち上げを担う。
2025年、GOALY HRの事業立ち上げを主導。現在はHR事業部長として、大手企業の採用組織の課題解決を支援。
2児の母、趣味はクラシック音楽(オーボエ演奏)