アートやクリエイティブを通して、心も体も満たされるウェルビーイングな生き方を探る注目の国際イベント「誰もが文化でつながる国際会議2026」が、10月28日(水)〜11月1日(日)の5日間、東京国際フォーラムにて開催されています。

今年で5年目を迎える本会議のテーマは、「Moving Together ともに生きる文化」。一人ひとりがよりよく生きるために芸術文化がどんな力を発揮できるのかを多角的に見つめ直す、とっても刺激的なプログラムが揃っています! 今回は、東京国際フォーラム内の3つの会場(カンファレンス、スタジオ、ロビーギャラリー)をめぐりながら体験できる、注目の見どころをたっぷりとご紹介します。

ロビーギャラリーで見つける、土地の記憶や心に響くアート

まず足を運びたいのが、ロビーギャラリーの展示スペース。単なる鑑賞にとどまらず、社会課題や歴史、そして他者とのつながりを温かく、かつ鋭く問いかける作品群に出逢えます。

瀬尾夏美氏「蛇と地層」:民話に残された水害の記憶

瀬尾夏美氏は、被災地でフィールドワークを行い、土地の人々の語りを記録して表現する活動を続けてきました。陸前高田からマーシャル諸島まで、世界各地を歩いています。本シリーズでは、水害の地域に伝わる民話に「蛇」がよく登場するという発見から出発しています。民話をたどると、実は水害の記憶が語り継がれてきたものだったことが分かったといいます。作品は絵画として描かれ、テキストと合わせて鑑賞できるようになっています。

宮城県丸森町は、2019年の台風第19号により大きな被害を受けた地域です。瀬尾氏は台風後に現地を訪れ、住民との対話を重ねました。対話の中で、この水害は2019年が初めてではなく、昔にも同様の出来事があったことが分かってきたといいます。その成果として生まれたのが、瀬尾氏による創作民話「やまのおおじゃくぬけ」です。さらに、地域での交流を経て人形劇の物語・人形も制作されました。現在では、アーティストが不在でも、住民自身が地域の語りを聞き取り映像化する活動が続いているとのことです。アーティストが土地に入って生まれた関わりが、地域の文化として根づいていく様子が示されています。

小山田 徹氏:「崇仁100年の森・緑の回廊プロジェクト」

JR京都駅の東側、崇仁地区に100年の森・緑の回廊をつくるプロジェクトは京都市内の駅前に「100年の森」をつくる構想で、現時点では「妄想」と位置づけられていますが、実現性を帯びつつあるとされています。地元の人々や京都市と話し合いを進めながら、いまの人間中心主義、経済優先の世の中に、「美しい引き算」の新たな価値観を示すプロポーザルです。

宮島 達男氏:「柿の木プロジェクト」と「時の海」「Mutual Counterpoint」

宮島氏の「柿の木プロジェクト」は、被爆した柿の木の2世を苗木として人々に送り、育ててもらう活動です。約30年にわたって続き、国内での里親募集は終了していますが、海外では展開が続いているとされています。戦争で被爆しながらも生き残った命を、みんなで分けて育てるという「行動」や「表現」そのものがアート作品となっています。

また「時の海」は、数字が点滅するLED作品で、東日本大震災をきっかけに、現代美術家・宮島達男が犠牲者の鎮魂と震災の記憶の継承、そして、これからの東北の未来を共につくることを願い、東北に生きる人々、東北に想いを寄せる人々と協働しつくりあげるアートプロジェクトです。

「Mutual Counterpoint」は世界中のライブニュース映像(CNN、BBCなど各国を代表する放送局の映像)がランダムに映し出され、そこに数字が落ちてくる構成になっています。タイトルの「Counterpoint」は音楽用語の「対位法」を指し、異なる考えや対立する考えが常に並存する世界を表現しています。言語や習慣の違いを突きつけられながら、その世界に私たちが生きていることを感じさせる作品です。

フランソワ・デイ/Silly Type Foundry:「Clementite」

スイスの精神科病院の患者たちとともに、野生のクレマチスのつるを編み、折り曲げながらつくった造形。

本イベントのキービジュアルの書体にも使用されています。この作品はアーティストと街の方、あるいは異なる背景を持つ人々が共に活動する姿を示しており、今後の作品にも通じる考え方として紹介されています。

クリスティン・ウォン・ヤップ:「Life Lessons」

人生の思わぬ困難に直面した際、自分自身の経験を専門家として語り、「同じような状況になった友人にどうアドバイスするか」というテキストを募り、それをクリスティン氏が作品化するプロジェクトです。

誰もが直面しうる普遍的な困難を個人的なエピソードとして告白し、その対処法を表現すること。「表に出す」という行為やアート作品として表現することによって自分自身の心が回復し、他者との間に経験の輪が広がっていくことを示しています。

ジュマナ・エミル・アブード:「Drawings」

会場に展示されている9点のドローイング作品は、すべて「水」をテーマ・モチーフとして取り入れています(滝、水に浸かる人々、泉に映る姿など)。パレスチナにおいて「水」はまさに生命線そのものであり、彼女固有の背景に深く根ざしたモチーフです。しかし同時に、水は「生きるために不可欠なもの」「時に争いの原因となるもの」「万物の源」として、国や地域を超えて世界中の誰もが共感・共有できるユニバーサルな存在でもあります。ジュマナ氏は、非常にプライベートで個人的な経験や思想を「水」という表現を通して描くことで、世界や社会と対話し共感の輪を広げています。

青木 彬氏& 碓井ゆい氏:「共に在るところから/With People, Not For People」

100年以上の歴史をもち、セツルメント運動の拠点でもあった福祉施設「興望館」。アーティストがこの建物と出会い、古い手紙や写真などの資料を読み直し、それを刺繍作品として表現しました。

コロナ禍のワークショップとして始まったもので、参加者がそれぞれ同じサイズの布に刺繍を施し、それらをつなぎ合わせたパッチワークとして完成した作品です。

是恒 さくら氏:「ありふれたくじら」

クジラと先住民族の文化をテーマにした刺しゅう作品。アーティスト自身がアラスカへの留学を通じて、現地の人々と生活を共にした経験をもとに制作されました。現代ではさまざまな制限や議論の対象になりがちな捕鯨ですが、本来は人間とクジラが互いに助け合いながら生きてきた歴史があります。

会場では、そうした現地の暮らしや民話、人々の深い思いが、刺しゅうとテキストを通じて多角的に表現されています。人間と自然の絆や共生のあり方を静かに問いかける内容となっています。

森下 有氏:「メム オープンリサーチキャンパス」

海道大樹町「メム」を舞台に、人や植物、動物など、地域にある多種多様な存在を「可能性の束」として捉え直しながら、関係性の再構成をしているプロジェクトです。もともと建築家である彼は、既存の正解を一旦疑い問い直す「再読」をテーマに掲げています。

単に完成したアートを見るだけでなく、テキストや豊かな自然をとらえた作品を通じて、作家の思考の軌跡や深いメッセージを体感できる構成となっています。

体験型&参加型プログラムも充実

展示を見るだけでなく、実際に身体を動かしたり、新しいコミュニケーションに触れたりできる参加型プログラムも見逃せません!

VRで体験するディスレクシアの世界

小学校の教室を舞台に、読み書きに困難のある「ディスレクシア」の状況や戸惑いをVRで追体験できます。誰もが学びやすい環境について自然と考えさせられるプログラムです。

VR体験
10月29日(木曜日)~31日(土曜日)13時00分から18時00分
11月1日(日曜日)13時00分から15時00分

ろう者が“聴者”を演じるレクチャーパフォーマンス

ろうの役者・數見陽子氏とアスリート・山田真樹氏が「聴者」を演じるユニークなレクチャーパフォーマンスです。観客とのやり取りを通して、普段意識しない身体感覚の違いやコミュニケーションのあり方をユニークに解きほぐします。

日時
10月31日(土曜日)18時00分から19時00分(開場時間:17時30分)
11月1日(日曜日)14時00分から15時00分(開場時間:13時30分)(2回公演)

会場: ホールD5(定員 各回60名)

多角的な視点で未来を紐解く!各界の登壇者と考える「ウェルビーイング」

トップランナーとして活躍するアーティストや研究者、文化実践者たちが集結するカンファレンスも注目のプログラムです。提示される5つのテーマを通し、これまでの常識にとらわれないウェルビーイングの姿を参加者とともに探求します。

堀内奈穂子氏

ロジャー・マクドナルド氏

3日間のセッションには2名のモデレーターが全日程に伴走。識者たちが交わす刺激的な対話のバトンを、次の登壇者や参加者へと丁寧につないでいくライブ感溢れる展開も見どころです。

3つの会場を横断して、自分らしい「ウェルビーイング」に出逢おう

「聴く・考える」カンファレンス、「参加する・語り合う」スタジオ、そして「観る・感じる」ギャラリーの3会場をめぐりながら、アートとウェルビーイングのつながりを立体的に体感できる今回の国際会議。芸術文化が日常や未来のビジョンをどう「共創」できるのか――。自分らしい関わり方で、新しい発見と感動に出逢える5日間を、ぜひチェックしてみてくださいね!

【開催概要】
クリエイティブ・ウェルビーイング・トーキョー だれもが⽂化でつながる国際会議2026

開催期間: 2026年10月28日(水)〜11月1日(日)
会場: 東京国際フォーラム (東京都千代⽥区丸の内3丁⽬5-1)
10⽉28⽇(⽔)〜 11⽉1⽇(⽇) ︓ロビーギャラリー
10⽉30⽇(⾦)〜 11⽉1⽇(⽇) ︓ホールB5、ホールD5
参加費:無料(要申込、展⽰観覧は申込不要)
使⽤⾔語:⽇本語、英語、⽇本⼿話、国際⼿話 ※同時通訳、字幕あり(国際⼿話はホールB5のみ)
公式サイト:https://creativewell.rekibun.or.jp/creativewell-conference/2026.html

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