2023年5月G7広島サミットが開催されたばかりの話題の広島県。2つの世界遺産やたくさんの歴史、有名な伝統工芸品がある広島ですが、実はまだ知られていない魅力が溢れています。”広島の芸術とモノづくりに触れる旅”に行ってきました。
世界初!動く展示室!瀬戸内の自然と現代建築が溶け合う【下瀬美術館】で美術鑑賞
下瀬美術館は2018年、丸井産業株式会社の創業60周年を機に構想され、2023年3月に広島県大竹市にオープン。代表取締役である下瀬ゆみ子氏が先代の創業者 下瀬福衛と下瀬静子から受け継ぎながら形成してきたコレクションを保存、公開する施設です。
紫綬褒章受賞の建築家・坂茂氏による設計。海岸線と平行に並び建つ”エントランス棟、企画展示棟、管理棟”の3棟は、渡り廊下を含めたすべての外壁が長さ190m、高さ8.5mの「ミラーガラス・スクリーン」で一体化されています。このミラーガラス・スクリーンによってランドスケープが映り込み、瀬戸内海の風景が増幅されつつ大きな建築の存在感が消され、自然と一体化された美術館そのものが芸術を感じる建築です。
この美術館の最大の特徴はなんといっても可動式の“動く展示室”
建物の海側に水盤を設け、その上に色とりどりのカラーガラスに覆われた8つの可動展示室を配置。
建築家の坂 茂が瀬戸内海の島々に着想し、広島の造船技術を活用して水の浮力で動かせる仕組みとした世界でも類を見ない建築作品です。
四季折々の草花が見られるエミール・ガレの庭もあります。アール・ヌーヴォーを代表する工芸家エミール・ガレは、自然をモチーフとした作品を手掛けるだけでなく、植物学者としても活動しました。そんなガレの作品に登場する草花を中心に、瀬戸内の気候に合わせて植栽された庭園です。
なだらかな坂をのぼるとそこは一面の海景。望洋テラスからは宮島、阿多田島、江田島といった瀬戸内の多島美が眼前に広がり、水盤に並ぶ8色に彩られた可動展示室など、SIMOSEの建築と自然が調和した景色が楽しめます。
「エミール・ガレ ―アール・ヌーヴォーの花器と家具」
会期:2023年5月14日(日)~9月24日(日)
会場:下瀬美術館
住所:広島県大竹市晴海2丁目10-50
開館時間:9:30~17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)
観覧料:一般 1,800円(1,500円)、高校生・大学生 900円(800円)、中学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体・大竹市民
その他カフェやフレンチレストラン、ヴィラ(宿泊施設)もあります。
【下瀬美術館 SIMOSE ART GARDEN VILLA 】
広島県大竹市晴海2丁目10-50
TEL:0827-94-4000
<無料シャトルバス>
JR 大竹駅 西口⇔下瀬美術館
5月14日(日) ~ 9月24日(日) 土日祝のみ運行
400年以上受け継がれてきた伝統の技!【おおたけ手すき和紙の里】で手作り和紙体験
広島県で唯一、手すき和紙の伝統が息づくまち"大竹”。ここ防鹿地区の「おおたけ手すき和紙の里」では400年以上続く伝統の技を今も絶やさぬよう和紙づくりを続けています。地元の紙は地元の原料で。和紙の原料”コウゾ”は自家栽培し、原料づくりから紙すきまで行い、地元の小学生や観光客向けの体験会も実施しています。
1名から体験可能だという”紙すき体験” 手作りの木枠を使ってはがき作りに挑戦しました。
同じ原料を使って同じようにくぐらせているのに厚みなど仕上がりに個性がでます。
2枚目は紅葉を入れて作成。こちらも個性がでて他の方が作った作品をみるのも楽しかったです。
2023年5月に開催された先進7か国首脳会議(G7サミット)の晩餐会のメニュー表はこちらの和紙が使われたのだそう。原爆ドームに捧げられた平和の願いが込められた折り鶴を丁寧に手作業で刻み、一緒に入れて仕上げてあります。
【おおたけ手すき和紙の里】
広島県大竹市防鹿3365
TEL 0827-93-3576
指定管理者/おおたけ手すき和紙保存会(おおたけ手すき和紙の里内)
広島で受賞料理人を続々輩出する創業70年の和食店【日本料理 魚池】
創業昭和27年、現在は三代目 池田将訓氏と若女将 池田有子が中心となって伝統の味を受け継ぎ、さまざまなメディアにもとりあげられ、宴会はもちろん、仕出しやテイクアウト、法要など地元でも人気の日本料理やさんです。
頂いたのは1万円(税サ別)のコース
[前菜] 大竹和紙包み(栄螺柔らか煮、鱧湯引き、しらす小袖巻き)
[造り] おこぜ薄造り(肝、子、皮、胃袋、フィンガーライム、あしらい一式)
[焼き物] 天然鮎塩焼き(丸十蜜煮、蓼酢)
[煮物] メバル煮付け(豆腐、小芋、牛蒡)
[揚物] 車海老レモン揚げ
[小鍋] 鱧しゃぶ(特製梅たれ)
[強肴] 牛ホホ肉和風赤ワイン煮込み(とろとろ玉葱、焼トマト)
[酢物] 穴子と胡瓜(三杯酢ジュレ)
[食事] 大竹の郷土料理「もぶり」
[止椀] 大野あさり赤だし
[食事] 大竹の郷土料理「もぶり」
[甘味] 広島レモン浮島(レモンの花見立て、大竹産米粉を使って)
かなりのボリュームですが、これでも量を減らした内容になっているのだそう!
料理に合わせておすすめの日本酒もマリアージュでいただきました。
その土地のものを地酒と合わせていただく最高の贅沢なコース内容。
若女将である奥様が手掛けた甘味もとっても美味しく、夫婦二人三脚、
いいお店だなあと最後にじんわりしました。
【日本料理 魚池】
広島県大竹市西栄3丁目2-17
TEL 0827-52-2511
営業時間:
仕出し・テイクアウト 10:30〜18:30(前日までにご予約)
昼の部11:30~14:00(ラストオーダー13:30)
夜の部17:30~21:00(3日前までの要予約)
定休日: 水曜日
(土)(日)(祝)はお座敷・仕出しのみ営業、お食事処は休み
夜はまるで宇宙基地!【大竹コンビナートの工場夜景】を鑑賞
昭和37年に日本で最初に建設された石油化学コンビナートがあるなどたくさんの企業が世界をリードする製品をつくっている大竹市。大竹港、JR山陽本線、山陽自動車道(広島岩国道路)のインターチェンジなど、交通の便が良く、また小瀬川のきれいで豊かな水に恵まれています。パルプ、化学繊維、石油化学等の大企業を誘致し、瀬戸内地域で有数の臨海工業地区に発展しています。
大竹市の工場地帯には、一般の方でも通行できる道路があり、夜景を間近で鑑賞できるスポットがあり、海岸沿いや亀居公園などの山の上からも鑑賞できます。
広島城主福島正則が1608年に築いた支城「亀居城」の跡を公園として整備した桜の名所として知られている【亀居公園】懐中電灯片手になだらかな坂と階段を登り10分ほどで本丸跡地へ。
夜の瀬戸内海、圧巻の美しさでした。
旧千葉家住宅で広島県重要文化財の書院や広島県名勝の泉庭を鑑賞
旧千葉家住宅は、近世山陽道(西国街道)の宿場町として栄えた海田にあって、宿駅の要職を勤めた千葉家の旧宅です。御茶屋(本陣)や脇本陣に準ずる施設として、要人の休泊などにも使われた本住宅は、街道沿いに面して建ち、主屋・角屋・座敷棟及び泉庭により構成されています。中でも、安永三年(1774年)に建築された座敷棟は、同時期に建てられた附属建物や泉庭とともに、建築当初の統一感ある接客空間の面影を今によく伝えており、平成3年(1991年)に書院が広島県重要文化財、泉庭が広島県名勝に指定されました。 また、平成23年(2011年)には、郷土の歴史文化の継承や学習に役立ててほしいと、千葉家から海田町へ本住宅が寄贈されました。
千葉家は、屋号を「神保屋」と言い、家業として酒造業を営んでいました。
江戸時代に入り、西国街道が整備されると、海田市はその宿駅の一つとして発展しました。
千葉家では、代々広島藩の「天下送り役(幕府の書状や荷物を扱うこと)」「宿送り役(広島藩の書状や荷物を扱うこと)」といった宿駅業務を務め、千葉家には、これらの職務にまつわる数々の資料が伝わっています。
大きな壺はなんとこの時代には棺桶として使われていたものだそう。
位が高い武士や幕府関係者などが宿泊していたことからお手洗いにも日本刀が設置されています。
いつ襲われるかわからない緊迫感が伝わってきます。
井戸に見立てた屋敷の外に抜ける地下通路の入り口。現在は塞がれています。
黒電話やテレビ、ラジオ、振り子時計など、ノスタルジックな展示もありました。
旧千葉家住宅
広島県安芸郡海田町中店8−31
一般公開日:毎月第2・4土曜日の前日から連続する4日間
※1 ただし,臨時で公開日が変更となる場合があります
※2 団体見学の際は、上記以外の日程でも見学可能ですが申請が必要
公開時間:10時~16時
見学料:無料
駐車場:織田幹雄スクエアの駐車場をご利用ください。
古くから全国屈指の「ものづくり地域」として知られている広島県。ほかにはない製品や技術を持つオンリーワン企業、世界でもトップシェアを誇るナンバーワン企業が数多く存在しています。 今回訪れたのはほんの数ヵ所。王道の観光スポットに加え、こういった日本の伝統技術などに触れる場所も旅のプランにいれてみてください。自然と地元の方ともお話しできる場が増え、旅がより充実したものになること間違いなしです。