古くから信仰の山として崇められてきた神奈川県伊勢原市のシンボルである”大山” 江戸時代には気軽に行楽と信仰を行える地として人気を博し、「大山詣り」として、江戸の人口が100万人の時代に、年間20万人もの参拝者が訪れたと言われています。この「大山詣り」はその文化的価値を認められ日本遺産に登録されています。豊かな自然と歴史文化にあふれた大山1泊2日の旅へ行ってまいりました。

新宿駅をラグジュアリーバスで出発

向かうは、神奈川県伊勢原市。国定公園にも指定される自然豊かな大山。その大山には、古くから信仰を集める 大山阿夫利(あふり)神社が鎮座しています。大山阿夫利神社 権禰宜の目黒久仁彦氏も同乗し、道中、神社の歴史や、旅のポイントなど解説をいただきました。

画像: 大山歴史講座 www.youtube.com

大山歴史講座

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目黒さんが作成・出演されているわかりやすい動画、ぜひご参照ください。

大山阿夫利神社到着 通訳案内士ガイド合流

画像: 大山阿夫利神社到着 通訳案内士ガイド合流

今回のツアーはインバウンド向けだったこともあり、それぞれの参加者に通訳兼ガイドが一人ずつ着く豪華なものでした。

能楽殿にて能狂言の披露

画像1: 能楽殿にて能狂言の披露

元禄時代から続く大山に伝わる伝統芸能がこちら境内にある立派な能楽殿で楽しめます。徳川幕府の庇護を受けていた大山には多くの神職、僧侶、山伏が暮らしていました。しかし互いに争い事が絶えず、そうした実情を憂いた幕府は、紀州の観世流能楽師「貴志又七郎」を大山に召喚し、三者に能楽を習わせ年に二度の演能を命じました。すると互いに技術を磨き、共に上演を重ねていく中で、平穏な山になりました。これが大山能の始まりです。毎年10月には阿夫利神社社務局境内にある能楽殿で薪能が奉納され、観世流宗家を毎年招聘、大山を背にして、篝火によって幻想的な空間の中で上演される能狂言は必見です。

この日は、狂言「寝音曲」、能「船弁慶」を鑑賞させていただきました。事前に大まかなあらすじをうかがっていたので理解ができ、演者の仕草や表情まで楽しむことができました。

鑑賞後は特別に舞台の上に上がらせていただき、基本的な歩き方の実践、般若のお面をつけさせていただきました。視野がとても狭いのに、こちらをつけて演技するのは熟練の業が必要だと知りました。

画像2: 能楽殿にて能狂言の披露

組立茶室「無常庵」でのお抹茶実演

470余年の歴史と伝統を持ち、家具生産高日本一を誇る木工の産地「九州大川」の家具職人たちによって手造りされた組み立て式お茶室「MUJYOAN(無常庵)」白金台の八芳園の庭園のために作られたお茶室をここ阿夫利神社の境内まで運び、世界で活躍されているお茶の先生による本格的なお抹茶をいただきました。

画像: 八芳園オリジナル組み立て式お茶室「MUJYOAN」 www.youtube.com

八芳園オリジナル組み立て式お茶室「MUJYOAN」

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画像: 組立茶室「無常庵」でのお抹茶実演

江戸の参拝ルート(こま参道~大山ケーブルカー~大山阿夫利神社 下社)

画像1: 江戸の参拝ルート(こま参道~大山ケーブルカー~大山阿夫利神社 下社)

いよいよ、今回の旅の目的地”大山阿夫利神社”を目指します。バス終点からケーブルカー乗り場まで約15分、板まねきや玉垣をはじめ随所に江戸の風情を残す道”こま参道”を歩きます。お土産やさんや豆腐料理店、宿坊が並びます。

大山ケーブルカーで終点の阿夫利神社駅0.8km、標高差278mを6分で結びます。急勾配でライトアップされていてとても美しく、街の夜景も楽しめました。今回のツアーのために貸し切りで運行いただきました。

画像2: 江戸の参拝ルート(こま参道~大山ケーブルカー~大山阿夫利神社 下社)

最後の階段を登ります。いよいよ境内へ!

大きな納太刀での奉納体験&大山阿夫利神社正式参拝

画像1: 大きな納太刀での奉納体験&大山阿夫利神社正式参拝

大山詣りといえば「納め太刀」。これは招福除災を祈願するもので、かつて源頼朝が天下泰平、武運長久を祈願し太刀を奉納したのが始まりとされています。これが庶民に広まり、木製の太刀(木太刀)に願文などを記し、これを阿夫利神社や大山寺で祈願して、その太刀を持ち帰り神棚などに奉斉し、1年間の守護としたのだそう。翌年の参拝時には返納し、新しいものを受けるといった習慣がみられ、帰りに他の人が納めたものを借り受けて持ち帰る習わしもあったとされています。

江戸時代はこんなにも重い「納め太刀」を江戸から歩いて運んだなんて、改めてすごいなあと思いました。ケーブルカーで登りましたが、今でも歩いて登る道もあります。体力に自信がある方はぜひ歩いて登ってみてください。

正式参拝もしていただき、身を清めた後は、直会ディナー!

画像2: 大きな納太刀での奉納体験&大山阿夫利神社正式参拝

普段は撮影禁止ですが特別に。特別といえば、もうひとつ。巫女舞もお披露目いただきました。身も心も清めたあとは、お待ちかねのディナータイムです。神前にお供えした神饌を頂く儀式で、神人共食を意味する”直会(なおらい)”ディナーでした。

ミシュラン2つ星を獲得した夜景を前に夕食

画像: 目黒氏が撮影したもの。

目黒氏が撮影したもの。

下社に隣接する茶寮「茶寮石尊」。その名は、大山阿夫利神社の御神体である大きな自然石が、人々に「石尊さま」と呼ばれ、親しまれてきたことに由来します。人々の願いに寄り添い続けてきた大山阿夫利神社と同じく、人々に親しまれる空間になるように。「茶寮石尊」には、そんな願いが込められています。

相模湾や房総半島、伊豆大島まで見渡せるテラス席からの眺望は、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで2つ星として紹介されています。

地元食材を中心としたコース料理、東京から駆けつけた八芳園のシェフが腕を振るいます。伊勢原のワインと併せて、絶景を眺めながらいただくフルコース!絶品でした!

伊勢原の夜は長い!ナイトイベント「江戸あそびストリート」

食後は八芳園プロデュースの「江戸あそびストリートへ」!華やかな番傘や道に置かれた行灯はよく見ると八芳園の紙袋に灯りをいれたもの。私達ツアー参加者のためにライトアップの演出!感動!

丁半・芸妓あそび・日本酒バー体験などにぎやかな江戸の夜を体験しました。

水が美味しい地域だからこそできる美味しい和菓子。こちら【まんまるや】の特製どらやきは地元でも大人気。大山こまにちなみ、コマ回し鑑賞。実際、コマ回しも体験でき、童心に帰りました。

地酒やおつまみなどつまみ。

東京から駆けつけてくださった芸子さんたちの舞とお酌サービス♪

丁半博打!偶数奇数を当てる遊びです。私はボロ負けでした。

宿坊にて宿泊(1組1棟貸切)

江戸遊びのあとは、それぞれの宿坊へ。通訳さんも一緒に宿泊してくださるので安心です。私達がお世話になったのは、豆腐料理に定評がある【古宮】女将さん手作りの羊羹でもてなしてくださいました。何より感動したのは、湯たんぽでお布団を温めてくれていたこと。随所におもてなしの心を感じられる宿坊でした。

旅館と大きく違うのは、こちらには神殿や手水舎があるところ。翌朝は、美味しいハーブティをごちそうになり、再びケーブルカーへ乗り大山神社で護摩焚き体験へ向かいます。

大山寺にて特別早朝護摩焚き体験

護摩祈祷とは弘法大師により伝えられた、真言密教秘伝の修法です。お不動様の前で、煩悩の象徴である護摩木を米、お香、漢方薬、油などといっしょに燃やし、厄や災いを払い願望を清めて、大願が成就するようにお願い致します。
室内で驚くほどの炎が立ち上がり、火事になるのではと心配になるほどの大迫力でした。

宿坊にて朝食

護摩焚きのあとは、宿に戻り、朝食をいただきました。お雑煮や湯葉など、地元の食材をふんだんに使った海の幸、山の幸、、、朝から豪華な内容でした。

誓正山 茶湯殿涅槃寺へ

宿からすぐのところに【誓正山 茶湯殿涅槃寺】があります。横たわった涅槃像(伊勢原市指定 重要文化財)があり、死者の霊を百一日の茶湯で供養する「百一日参り」の寺として知られています。

良弁滝(ろうべんだき)

葛飾北斎が描いた江戸時代に人々が大山詣りをする際に身を清めた様子を描いた浮世絵。水量は少ないものの龍の口から水がでています。ガイドさんも幼いころはこちらで水遊びをされていたとのこと。

大山詣りの目的地のひとつである大山寺を開山した良弁僧正が、最初に水行をした滝と言い伝えられています。大山の麓にあり、高さ4mほどの滝が流れる周辺は清涼スポットとしても人気です。

画像1: 良弁滝(ろうべんだき)

江戸時代の人々にとっては、ここ大山はテーマパークのようなものだったそう。独特の世界観があり歴史、食事、自然も楽しむことができました。

画像2: 良弁滝(ろうべんだき)

最寄りの駅は、小田急線伊勢原駅です。江戸時代へのタイムスリップ、ぜひ体験してみてくださいね。

【大山阿夫利神社】
神奈川県伊勢原市大山355
TEL 0463-95-2006(受付時間 9:00~17:00)

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