
前編では島根県 石見のグルメや、開運スポット「太皷谷稲成神社」をご紹介いたしました。後編では、世界に誇る石見の「伝統工芸」や、一生に一度は見るべき日本神楽のひとつ「石見神楽」をご紹介します。
神々や鬼たちが躍動する姿は圧巻!神話の世界を間近で楽しむ「石見神楽」
石見神楽とは

石見地方に伝承される石見神楽は、日本神話を題材にしたいにしえより伝わる伝統芸能。神楽囃子(かぐらばやし)にのせて、豪華絢爛な衣装を纏い、独特の面をつけてダイナミックに舞う姿は迫力満点。昔は秋の収穫期に自然や神への感謝をあらわす神事として、神社で夜を徹して奉納されていた石見神楽ですが、現在では定期公演や宿泊施設や民間施設でのイベントでも観られる身近に触れることができる伝統芸能となっています。現在も3歳ほどの幼い子どもから80代までの幅広い年齢層に脈々と受け継がれていて、最も地域に根付いた神楽ともいわれています。
凄い迫力…!人気演目「大蛇」を鑑賞してきました!
今回宿泊させていただいた湯屋温泉リフレパークきんたの里にて、特別に石見神楽を鑑賞させていただきました。

今回鑑賞したのは、石見神楽の中でも人気の高い演目「大蛇」。須佐之男命(すさのおのみこと)が八岐(やまた)の大蛇を退治する爽快なストーリーなのですが、間近で観ると迫力満点!

4頭の大きな大蛇が胴をうごめかせ暴れまわる姿は恐ろしくも美しい。

ちょっと悲鳴をあげてしまうくらいの圧倒的な躍動感でした。これは海外にも誇れる伝統芸能といわれるのにも納得。

舞にあわせて心地よく流れる神楽囃子も、物語に彩りを添えてくれます。
湯屋温泉 リフレパークきんたの里
〒697-0123 島根県浜田市金城町七条イ980-1
0855-42-3555
一般社団法人 浜田市観光協会
〒697-0022 島根県浜田市浅井町777-35 JR浜田駅2F
0855-24-1085
国内外で注目される島根の「伝統工芸」は繊細で、美しい。
国内のみならず海外でも高い評価を受けている島根の伝統工芸。唯一無二の美しさを作り上げる、ものづくりの現場にお邪魔してきました。
釘を使わずに生み出す、組子細工の繊細な魅力
くぎや金具などを一切使わず、繊細な桟が幾重にも重なり合うことで、さまざまな紋様を描き出す日本の伝統技術「組子」。組子細工は、古くから障子や欄間などの建具の装飾として用いられてきましたが、近年では、その美しいデザインが再評価されており、インテリアやアート作品など、様々な分野で活用されています。そんな組子をつくっている「吉原木工」でものづくりの現場をのぞき見させていただきました。

木工所で作成中の組子細工は息をのむほどの繊細さ。

光と影が織りなす幻想的な美しさ組子細工ならではの魅力。
組子コースター作りを体験してみました!

今回作ったのは「重ねりんどう」という柄。ひとつひとつ絶妙に違うパーツをうまく組んでいくのは本当に難しい!吉原木工の方に教えていただきながら、なんとか完成♪
今回の木工所訪問を通して、匠の技が織りなすものづくりの世界を垣間見ることができました。
吉原木工所
〒699-3303 島根県浜田市三隅町室谷912−1
0855-34-0227
味わい深い器がずらり 毎日使いできるのもうれしい「石見焼」

江津市で昭和10年に開窯された「石州嶋田窯」。現在でも登り窯を使用している唯一の「石見焼」の窯元です。もともとは、丈夫な陶土を生かした水がめ作りが多かったそうですが、現在では茶碗や皿など、日々の暮らしに寄り添う食器をメインにつくっているそうです。

1200~1300度という高温で2日間通して焼き続けるという「登り窯」を使った製法は現在では「石州嶋田窯」のみ。石見焼の深い味わいを作り出します。


丈夫な質感と独特な色味に虜になり、筆者も大量に購入してしまいました(笑)。
嶋田窯
〒699-2841 島根県江津市後地町1315
0855-55-1337
自然の移ろいを感じる美しい風合い「勝地半紙」
勝地半紙桜江町では室町時代から和紙が漉かれており、「勝地半紙」は千年以上もの歴史を持つ伝統工芸品として今も高い人気を誇っています。江戸時代には津和野藩の特産品として保護され、盛んに生産されましたが、職人がどんどん廃業してしまい現在は「石州勝地半紙工房」一軒のみに。

「石州勝地半紙工房」の佐々木さんご夫婦は、勝地半紙の特長でもある“丈夫さ”や“美しい風合い”を現代の生活空間にも取り入れてもらえるよう印刷紙や葉書以外にも、勝地和紙を使った照明やペットグッズなどさまざまな商品を製作し、魅力を発信し続けています。

丈夫なつくりのねこ用ベッド
今回、工房にて草花のミニランプ&花の葉書作りも体験させていただきました。
まずははがき作り。和紙に漉き入れていく草花を園内で摘んでいきます。広い園内には色とりどりの花が咲いていて選ぶのを迷ってしまいます…!

草花を選び終えたら紙漉きへ。なかなか薄く均一に漉くのが難しい…。

草花を選び終えたら紙漉きへ。なかなか薄く均一に漉くのが難しい…。
漉き終えたら先に積んでおいた草花をちりばめて、さらに漉いた紙を重ねていきます。

なんとも味わいのある葉書とランプが完成!

石州勝地半紙工房に訪れる際はぜひ紙漉き体験もセットで楽しんでみて。
石州勝地半紙工房
〒699-4431 島根県江津市桜江町長谷2696
0855-92-8118
島根のアートに触れることができる クラフトホテル「MASCOS HOTEL 」

JR益田駅近くに2019年春にオープンした「MASCOS HOTEL 益田温泉」。

地域の新しいカルチャー発信地として誕生し、空間デザインや食事の器、家具、ファブリックなどあらゆるものを地場産業・地元クリエイターと共同開発しているという、島根のアートに触れることができる新しいスタイルのホテルです。

温泉フロアにはおしゃれなブックコーナーが。ホテルにいながら本との出会いも楽しむことができます。


MASCOS BAR&DININGでは、「贅沢をカジュアルに」をコンセプトに、近海で獲れた魚介や野菜、肉など地元で採れた新鮮な食材を使った絶品料理に舌鼓。
MASCOS HOTEL
〒698-0024 島根県益田市駅前町30−20
0856-25-7331
伝統と革新が交差する「島根県 石見」の知られざる魅力に触れてみて
古き良き伝統を守りながらも、新しい魅力を生み出し続ける神の国「島根県 」の石見地方。一度訪れただけでは、とても語り尽くせない石見の魅力を今回たっぷりと感じることができました。島根の秘境ともいうべき穴場スポット「石見」は、食に、伝統工芸に、神楽に…何度も訪れたくなる魅力がいっぱいの地でした。