「最近、うちの子がよく寝ている気がする」
そんな変化は、実はペットの老化サインかもしれません。7歳以上の犬・猫を対象に行われた調査から、シニアペットの健康状態や老化の実態、そして飼い主の行動傾向が明らかになりました。今回の調査は、7歳以上の犬・猫を飼育している飼い主1,000名を対象に実施されたもの。ペットの高齢化が進む中で、どのような変化が起きているのか、犬と猫の違いにも注目が集まっています。
約7割は「元気」でも、3割には不調の兆し
現在飼育しているシニアペットの健康状態について聞いたところ、67.9％が「気になる症状はなく元気」と回答しました。一方で、「気になる症状がある」「治療中」「経過観察中」「日常生活に配慮が必要」と答えた人も約3割にのぼります。多くのシニアペットは健康に見えるものの、個体差が大きく、水面下で変化が起きているケースも少なくないことがうかがえます。
老化を感じた飼い主は約4割。犬と猫で違いも
ペットに老化のサインを感じた飼い主は、犬・猫ともに約4割。犬の飼い主のほうが、猫より4.2ポイント高い結果となりました。老化サインとして最も多かったのは、犬・猫ともに「寝ている時間が増えた」。次いで「遊んだり動き回ることが減った」など、体力の衰えを感じる変化が挙げられています。
犬では、「散歩を嫌がる、歩くのが遅くなった」（29.2％）や、視力・聴力の低下を感じる声も目立ちました。一方、猫では「食欲がなくなった」（20.9％）、「排泄の失敗が増えた」（18.8％）など、生活行動に関する変化が多く見られています。
老化に気づいても「様子見」が多数派
気になるのは、老化のサインを感じた後の行動です。調査によると、老化を感じても実際に行動に移した飼い主は少数派で、犬・猫ともに過半数が「特に何もしていない」と回答しました。行動した人のうち、最も多かったのは「動物病院で検診を受けた」（70.3％）。次いで「動物病院に相談した」（42.6％）と、専門家に頼る傾向が強いことが分かります。その一方で、「インターネットで調べた」（27.7％）という回答も多く、情報収集にとどまっているケースも見受けられました。
健康管理の意識は犬と猫で差が出る結果に
シニアペットの健康管理で重視していることを聞くと、犬では「無理のない運動」（37.2％）や「定期健診」（33.8％）が上位に挙がりました。日常的なケアを意識している飼い主が多い印象です。一方、猫では「該当するものはない」が34.0％で最多となり、犬に比べて健康管理の行動が限定的である傾向が見られました。食事面での工夫は行われているものの、運動や健診への意識はやや低めと言えそうです。
頼りにしているのは「家族」と「動物病院」
シニアペットとの暮らしで頼りにしている存在として多かったのは、「家族」（59.0％）と「動物病院の獣医師・看護師」（53.0％）。身近な存在と専門家の両方が、飼い主にとって大きな支えとなっています。その一方で、「頼りにしている存在はない」と答えた人も14.2％おり、孤立した不安を抱える飼い主が一定数いることも浮き彫りになりました。
小さな変化が、これからの暮らしを左右する
犬・猫の平均寿命は年々延び、ペットも本格的な高齢化時代に入っています。今回の調査からは、多くのシニアペットが元気に過ごす一方で、老化や健康変化への意識が十分とは言えない現状も見えてきました。「寝ている時間が増えた」「動きが少し鈍くなった」。そんな小さな変化こそ、これからのケアを考える大切なサインかもしれません。この調査結果が、「うちの子」のこれからの暮らしや健康管理を見直すきっかけになりそうです。
