物価高騰による節約志向の影響により、近年は“おうちクリスマス需要”が拡大。
流通・外食業界では、早くもクリスマス商戦が始まっており、各社が年末商戦に向けた取り組みを本格化させています。

家庭用冷凍ポテトNo.1の「オレアイダ」を展開するハインツ日本は、9月15日にハインツ日本「オレアイダ」新商品発表会を開催。フライドポテト市場の変化や新たなブームの兆し、クリスマス商戦における最新ポテトトレンドが発表されました。
日本の輸入量は37年で3.5倍に拡大。食生活に深く根付くフライドポテト
ポテト専門店をはじめ、プロ野球の球場や回転寿司チェーンに至るまで、多様なシーンでポテトの存在感が高まっているなか、ハインツ日本 代表取締役社長のアンデルソン・カルネイロ氏は「日本のポテトカテゴリーが新たな成長ステージに入っている」と述べました。

実際、日本におけるフライドポテトの輸入量は、1988年からの比較で実に3.5倍近くまで拡大しています。直近の2025年には年間およそ42万トン、国民1人あたり年間約3.5kgを消費する計算になります。
これらのデータが示すように、フライドポテトはすでに日本の食文化に深く浸透しており、今後もさらなる拡大が見込まれる市場として位置づけられます。
オレアイダは70年以上の歴史を持ち、日本でも40年以上にわたって多くの消費者に親しまれてきたブランドで、現在は冷凍ポテト市場No.1ブランドへと成長しています。
マーケットのリーダーとして、新しい価値を生み出し、新たな需要や食シーンを創造したい。
そんな思いを胸に、カルネイロ氏は抱負を語りました。
「オレアイダは今後もイノベーションへの投資を強化し、これまでにない食感や美味しさ、食体験をお客様に提供していくこと。そして、冷凍ポテトの市場をリードするだけでなく、カテゴリーの未来を切り開くブランドであり続けたい」
フライドポテト市場は「食感」と「ギルティ感」のニーズが高まっている

続いては、ハインツ日本 マーケティング&カテゴリー本部 フローズン カテゴリーリード 花澤 和巳氏が登壇し、フライドポテト市場の変化や多様化するニーズの現在地、オレアイダの新商品を発表しました。
フライドポテトがすでに日常の定番となっている今、市場をここからさらに大きくしていくために必要なのは、単に「食べる量を増やす」だけではなく、「どんな新しい価値によって選ばれるのか」が重要になってくると花澤氏は見解を示しました。

日本のフライドポテト市場における成長の軌跡を振り返ると、時代ごとに「4つのブーム」を経て大きく拡大してきたそうです。
まず第1次ブームは1970年代に、米国のファストフード文化と共に上陸。若者を中心に「海外から来た新しい食文化」としての“憧れ”として、一気に広がりました。
続く第2次ブームは1990〜2000年代で、細身のシューストリングや皮付きのカントリータイプなど、カット形状の多様化が進みました。この時期には、オレアイダの「おはようポテト」や「星のポテト屋さん」といったヒット商品も生まれ、内食における利用シーンの拡大に大きく貢献しました。
2010年代の第3次ブームでは、ポテト専門店のブームを背景に、ディップやトッピングで楽しむスタイルが浸透。単なるサイドメニューから、「ポテトを食べるために店を選ぶ」という消費行動も生まれ、フライドポテトは“主役感”のあるメニューへと進化を遂げたのです。
「日本のフライドポテト市場は『食べる人を増やす』から『食べる場面を増やす』へ、さらに『選ばれる理由を深める』へと進化を続けてきました。そして今、市場は新たな転換期に差し掛かっており、それが『第4次ポテトブームの到来』だと考えています」(花澤氏)
見た目は親しみやすい。でも、食べると新しい「衣系ポテト」
第4次ポテトブームのキーワードは「食感」。
「どんな食感を楽しめるか」という要素が、これまで以上に重要視されるようになっており、この変化を「食感革命」だと捉えているとのこと。
「これからのフライドポテトは『何味か』だけで選ばれるのではなく、『どんな食感を体験できるのか』ということでも選ばれる時代に入ってきたということです。これが、かつてのブームの変遷とは大きく異なる第4次ポテトブームの特徴になっています」
ではなぜ、食感へのニーズが高まっているのでしょうか。

その背景の一つに、ASMR(聴覚や視覚への刺激によって感じる、心地よい感覚や反応のこと)の広がりがあります。特にSNSを中心に、食べ物を食べるときの音や咀嚼音を楽しむ動画が広く浸透したことで、消費者が「食感」を以前よりも強く意識するようになってきました。
ハインツ日本が実施した調査によると、食感に特徴のある商品は約8割の消費者に選ばれており、その理由として美味しさ以外にも「食べごたえ」や「満足感」が多く挙げられていました。
「さまざまな食感を楽しめるグミキャンディ市場は、10年前と比べて約3倍にまで拡大しました。つまり、食べる行為そのものがもたらす体験価値が、商品を選ぶうえで重要な軸になってきているのです。
また、最近の調査でフライドポテトに求める要素を聞いたところ、『カリカリ』『サクサク』といった食感が最も高い結果となりました。特にフライドポテトのように、素材や味付けが比較的シンプルなカテゴリーでは、食感の違いが商品の大きな価値になり得ると捉えています」
さらに、もう一つ重要なキーワードが「ギルティグルメ」です。
外食市場を見ると、ドーナツ、ハンバーガー、チキンステーキなど、いわゆる「ギルティ(背徳感)」とされるメニューを扱う業態が非常に好調です。こうした流れを受け、内食市場でも、昨年あたりから「ギルティ」をコンセプトにした商品が着実に増えており、食の大きなトレンドとして広がっているそうです。
今の生活者にとって、ギルティ消費は単なる背徳感を楽しむものではなく、「たまには息抜きも必要」といった前向きな気分転換の手段になっているわけです。
限られた食事の機会だからこそ、「せっかく食べるなら、心まで満たしてくれるものを選びたい」。そうした生活者の心理が、ギルティグルメの伸長につながっているのではないでしょうか。

この図は、フライドポテトをタイプ別に分析したもの。
代表的なカテゴリーとして、ファストフード店などで親しまれている細切りの「シューストリング」、皮付きで三日月型にカットされた「カントリー」。波型で外はカリッと、中はホクッとした食感が特徴の「クリンクル」、細かく刻んだじゃがいもを成形した「ハッシュタイプ」があります。
こうしたなか、特に注目しているのが衣をまとわせた「その他シュースト」だと花澤氏は説明しました。
「『その他シュースト』はギルティ感を楽しめる商品が多く、まさに今の生活者ニーズを捉えています。しかし、このカテゴリーはまだ『従来のポテトとどう違うのか』という価値が、世の中に上手く言葉として伝わっていません。つまり、私たちが新しい価値を提案し、意味付けをしておくことで、市場を大きく開拓できる機会があると考えています」
まだ明確な名前やカテゴリーとして認識されていない市場が、徐々に顕在化しつつある。

この流れを一過性のトレンドで終わらせず、市場全体に広げていくために、「衣系ポテト」と定義し、食感とギルティのトレンドを、より分かりやすい形で市場に広げていきたいと花澤氏は語りました。
「見た目は親しみやすい。でも、食べると新しい」という新感覚の「衣系ポテト」を市場に浸透させていくには、「分かりやすさ」と「新しさ」をいかに両立させるかが最大の鍵となります。

このカテゴリーにおける新商品「オレアイダ サクサククランチ」は、以下の3つの特徴があります。
①厚めの衣によるサクサクとした食感
②少し太めのカットによる、しっかりとした食べ応え
③少ない油でもサクッと仕上げやすい、調理のしやすさ
「今後は『衣系ポテト』というカテゴリー名の定着を図るとともに、売り場での見せ方や生活者への伝え方を工夫しながら、食感の違いを楽しめる商品を届けていきたいと考えています」
さらに「衣系ポテト」は季節需要とも相性がよく、特に冷凍ポテトの需要が1年で最も高まる12月のクリスマスシーズンとの親和性は極めて高いとのこと。
花澤氏は、「近年の物価高などの影響で、外食を控えつつも、家庭で手軽に特別感や満足感を味わいたいという消費志向に対し『衣系ポテト』は手軽さとごちそう感の両方を提案できる」と話しました。


発表会の後半では、クリスマスシーズンを見据え、ハインツ日本の専属シェフが考案したアレンジレシピを試食。スーパークリスピーの食感を活かしたピザや、サクサククランチを使ったズワイガニのグラタン、アンチョビと組み合わせたアヒージョなど、どれも食べやすく美味しい一品ばかりでした。
「衣系ポテト」が新しいカテゴリーとして、生活者に根付いていく可能性を感じる会となりました。

