漢方などを販売する株式会社ツムラが、10代~40代女性を対象にPMS(月経前症候群)に関する調査を実施。台風シーズンにはPMSの症状が悪化し、「最悪な状態」に感じると回答する女性が多数いることがわかりました。

今回は、なかなか人に相談しづらいPMSの実態と、その対処法などをご紹介します。

生理前に不調を感じる女性は全体の約半数

画像1: 生理前に不調を感じる女性は全体の約半数

アンケートのなかで、女性が不調を感じるシーンとしてあげられたのは、「寝不足」「ストレス」に加え「生理前」(48.3%)や「天候変化」(40.7%)。

女性の約半数は生理前に「PMS(月経前症候群)」といわれる不調を自覚しており、症状は「焦燥感・イライラ感」「眠気」「不機嫌」「腹痛」「便秘・下痢」「倦怠(けんたい) 感」「肌荒れ・にきび」など。カラダにもココロにも、全身に不調症状が表れています。

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年代別の結果をみると、10代・20代は「肌荒れ」、30代・40代は「焦燥感・イライラ感」に悩む人が多い結果となりました。

PMSは天候変化で症状が悪化する?気圧の変化とPMSが重なると「最悪な状態」に

画像: PMSは天候変化で症状が悪化する?気圧の変化とPMSが重なると「最悪な状態」に

生理前に不調を感じる女性800人のうち、3人に1人は台風の低気圧などの「天候変化」(35.1%)で症状がひどくなると回答。PMSが重い女性では44.5%と高く、PMSは「天候変化」で症状が悪化しやすいことがわかります。

PMS(月経前症候群)には、台風などの天候変化で悪化する天気痛もあり、PMSが重い女性では台風などの低気圧は「PMSに影響がある」69.5%、天候や気圧の変化とPMSが重なると「最悪な状態」77.9%になるという結果に。

多くの女性が感じる不調、PMS。その対処法は?

画像1: 多くの女性が感じる不調、PMS。その対処法は?

PMSに悩む女性たちにその対処法を聞くと、「寝る」「家で静かに」「ひたすら我慢」といった対処が上位に。

様々な不調がでているにもかかわらず、PMSの症状のある女性の63.9%が「PMSの対処法を知らない」という結果となりました。

画像2: 多くの女性が感じる不調、PMS。その対処法は?

さらにPMSで婦人科を受診した女性は1割以下(9.6%)で、受診しない理由は「病院へ行くほどではない」「我慢できる」が多数となりました。

一方、受診したことのある人の中では「症状が楽になる」「悩みが軽くなった」という声も多く、88.3%が「今後も受診したい」と回答。

画像3: 多くの女性が感じる不調、PMS。その対処法は?
画像4: 多くの女性が感じる不調、PMS。その対処法は?

PMS症状での婦人科受診は現在1割以下にとどまりますが、受診した女性たちは「定期的」な受診を希望する傾向がありました。

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また、PMS時の体調は、多くの人が「心身ともに疲れ果てた状態」(64.3%)と回答したにもかかわらず、PMSで仕事や学校を「休んだ」経験のある人はわずか17.6%、半数が「本当は休みたかった」(52.1%)のに休めていないと回答。

7割が「PMSでも休むことはできない」(69.6%)、8割が「PMSについて学校や職場の理解がない」(77.9%)と感じています。心身ともに疲れ果ててしまうPMS、なのに休みたくても「休めない」、職場の「理解もない」 。

心身ともに疲れ果ててしまうPMS、なのに休みたくても「休めない」、職場の「理解もない」 ・・。女性たちのこの不幸な現実をどう解決したら良いのでしょうか。

産婦人科医・内山心美先生に聞く、PMSと対処法

年代別での不調の違いについて

診療現場でも10代~20代では腹痛や頭痛などの症状に加えて尋常性痤瘡(にきび)の訴えが多い印象です。思春期以降は性ホルモン(特にアンドロゲン)の増加によりニキビの訴えは多くなります。

また不規則な生活、偏った食生活にも陥りやす いことから過食が上位になっている可能性があります。

一方、30代~40代は、10代~20代に比べ子育て中の方も多く、仕事、家事、育児に追われてストレスが増え焦燥感、不機嫌(イライラ)が高まる傾向かと思います。 コロナ禍が⾧期化していることで、自粛でのコミュニケーションの減少によるストレス、自宅にひきこもりがちとなり、家族との摩擦等が増えたりと、さまざまな要因もあり、 PMSで受診される方は増えている印象です。

気候の変化でPMSの症状が悪化するのは、体内の水が停滞する「水毒(すいどく)」の状態かも

女性は排卵に伴う月経周期によるホルモンの変動という内的要因に加え、生活環境や精神的・身体的ストレスといった外的要因があり、男性に比べて日常的に不調を感じやすいと考えられます。

女性特有の不調の一つであるPMSは、月経周期と密接に関連することから、女性ホルモンの関与があることは異論がないとされていますが、今回の調査では、天候の変化でPMSの症状がひどくなる女性が3人に1人もいることがわかりました。

気圧の変化により片頭痛が誘発されたり、雨続きにより水毒の状況となり、PMSの症状が悪化する可能性が考えられます。水毒とは漢方医学的考えで、体内の水分代謝が悪くなり、体のいろいろな部位にとどまったり偏在することで、むくみ、倦怠感、拍動性頭痛、頭重 感、立ちくらみ、悪心嘔吐(おうと)などさまざまな症状を引き起こします。

PMSは仕方がないことではない。我慢しないで

日本には、「月経に関するトラブルは我慢するもの」と考えてしまう風潮が少なくありません。そのせいか、PMSの症状がある女性 の6割が「対処法を知らない」と答え、婦人科を受診する女性は1割以下しかいません。恥ずかしいという気持ちがあるのかもしれ ませんが、PMSによるイライラや焦燥感が強くなると、家族や職場の人間関係にも摩擦が生じ、場合によっては、退職や離別につながる恐れもあります。そうなる前に、早めに婦人科などのお医者さんを受診することもお勧めします。

プレコンセプションケア(Preconception Care)という言葉があります。プレコンセプションケアとは、将来の妊娠を考えながら、 本人・パートナーが自分たちの生活や健康に向き合うということで、WHOなど世界レベルでその重要性が叫ばれています。プレコンセプションケアでは、いかに自身のコンディションをベストな状態にするかが重要となります。そのためにも、PMSの正しい理解と対 処法を知ることが重要です。 受診するタイミングは、PMSの症状が出ている間に限らずいつでも大丈夫です。月経とそのときの症状を記録した「症状日記」 をつけて持参するとよりスムーズです。診察内容は問診が基本で、必要に応じ経腟超音波断層法などの内診をする場合もあるので、月経中は避けたほうが無難かもしれません。

内診に抵抗がある場合など、不安があれば医師やスタッフに相談を。

問診では、「症状日記」から月経周期との関係性を確認し、疾患への理解を深める「生活指導」や、漢方薬やピルなどを処方する「薬物療法」が行われます。

また、自分だけで悩まず、PMSについてパートナーを含めた家族に対し理解を求めサポートしてもらうよう、アドバイスも受けられますので、まずは、医師に相談してみるという選択肢をとってみることをお勧めします。

内山心美さん

画像: 内山心美さん

「のぞみ女性クリニック」院⾧ 産婦人科医 昭和大学産婦人科学教室、各関連病院勤務、北里大学東洋医学研究所漢方研修生、昭和大学江東豊洲病院助教など を経て現職。「予防医学」「未病」の考えのもと、女性に関するさまざまな病気、トラブルを最小限にして笑顔で過ごしていただくことを願い、2020年9月に産婦人科、漢方内科の「のぞみ女性クリニック」を開業。日本産科婦人科学会 専門医 指導医、日本東洋医学会 漢方専門医、日本女性医学学会 女性ヘルスケア専門医、女性ヘルスケアアドバイザー

のぞみ女性クリニック

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