画像: 【2023年版】かわいい車の人気ランキング&おすすめを専門家が徹底解説

日本車ならではの「かわいい車」。どんな車がかわいいのか、「かわいい車」は人気があるのか、その中から「どれ」を選べば、毎日はより豊かで楽しいものになるか?「かわいい車」という曖昧で感覚的な言葉を定義するという難題にカルモマガジン編集長が挑み、さまざまな角度から解説します。最新の「かわいい車人気ランキング」「かわいい車おすすめランキング」もついています!

そもそも「かわいい車」とは?

かわいい、は「KAWAII」とローマ字で表記すれば、今や日本以外でも通用するグローバルな単語になりました。車の世界においても「かわいい車」は日本発祥といっても過言ではなく、現在でも軽自動車を中心に「かわいい」とされる車がたくさんラインナップされています。とはいえ「かわいい」はなかなか定義することが難しい感覚的な言葉。まずは「かわいい車」の歴史を紐解くことで、かわいい車とはどんな車なのかをカルモマガジン編集長が解き明かしていきます。

「かわいい車」の歴史、それは日産から始まったが、きっかけはホンダだった?

画像1: 「かわいい車」の歴史、それは日産から始まったが、きっかけはホンダだった?

かわいい車の元祖は、一般的には日産が1985年の東京モーターショーに出展し、その後1987年から販売を開始した「Be-1」だとされています。クラシックMINIをデフォルメしたようなフロントマスクを筆頭に、どことなく50~60年代の車を彷彿とさせるレトロなデザインを採用したBe-1は大変な評判となりました。その後、日産は「パオ」「フィガロ」と立て続けにレトロデザインの車を世に送り出し、パイクカー(特徴的なデザインの車)と呼ばれるジャンルを確立します。

1975年のフォルクスワーゲン「ゴルフ」の登場以降、80年代にかけて車のデザインは合理的な直線基調のものが主流でした。その中にあって遊園地の乗り物のようにデフォルメされた丸っこいBe-1は非常に新鮮に映りました。自動車のデザインは空力やパッケージングなどの機能に基づいたもの、というその当時の概念を覆す、機能的でなく不真面目だけど遊び心があって愛らしい、そんな「かわいいデザイン」を採用したという点でBe-1は画期的でした。

単にレトロということでいえば当時でもポルシェの「レプリカ」や「スーパーセブン」、「モーガン」などのクラシックスポーツカーは存在していました。しかし、それらは発売当時からのオリジナリティを重視した「真面目」でかっこいいクラシック、レトロでありBe-1から始まった「かわいいレトロ」とは異質なものです。

かっこいい、美しい、スマート、迫力のある、などそれまで車を形容した言葉とは異なる、「かわいい」という言葉が似合うBe-1は、車のデザインに新たな地平を拓いたのです。

画像2: 「かわいい車」の歴史、それは日産から始まったが、きっかけはホンダだった?

Be-1が「かわいい車」の元祖、という点はほぼ間違いないと思いますが、そのきっかけを作ったのは1981年に発売されたホンダの初代「シティ」でした。初代のシティは3,400mm以下の短い全長に、当時としては高めの1,440mmという背高デザインで登場しました。

画像: 初代シティに追加されたターボⅡはブルドックの愛称で呼ばれた

初代シティに追加されたターボⅡはブルドックの愛称で呼ばれた

寸詰りにも見えるそのスタイルは当時の乗用車のデザインでかっこいいとされていたロー&ワイド(=低くて幅広)とは真逆のもの。それを逆手に取り「トールボーイ」というキャッチフレーズで売り出したシティは、若者を中心に爆発的なヒットとなりました。シティのデザインはレトロなかわいさとは異なる路線ですが、デフォルメしたかのような寸詰りデザインは実物大のチョロQのようでかわいいと受け止めた人も多くいました。ちなみにタカラ(現在のタカラトミー)からチョロQが発売されたのは奇しくもシティ発売直前の1980年12月のことです。

そんなシティのヒットを見て日産が「マーチ」をベースにしたコンパクトカーを検討する中で生まれたのがBe-1でした。デフォルメしたという点ではシティが先駆けでしたが、その背高デザインには短い全長という設計要件の中で居住性を最大限確保するという真面目な目的がありました。それゆえ機能性とは関係なく「レトロなかわいい」で勝負したBe-1こそ、やはり「かわいい車」の元祖だったといっていいでしょう。

レトロから生き物、雑貨へと分岐した「かわいい車」

画像: パオ

パオ

日産はBe-1に続いて、どことなく「ルノー4」を思わせるパオと、カタツムリのような形の商用車「エスカルゴ」を1989年に、レトロ調のオープンカー・フィガロを1991年に発売し、いずれも好評を博します。パオやフィガロは英国でも人気となり、数多くの中古車が日本から海を渡りました。

画像: フィガロ

フィガロ

画像: エスカルゴ

エスカルゴ

日産が送り出したパイクカー4姉妹はいずれも「かわいい車」なのですが、「かわいい車」の歴史という観点から見ると注目すべきはエスカルゴです。Be-1、パオ、フィガロが「レトロなかわいい」だったのに対して、エスカルゴはレトロではなくカタツムリのような外観でかわいいをアピールした点が他の3モデルとは異なっていました。それまで結果的に生き物に見えるデザインの車はありましたが、「生き物系のかわいい車」のスタイルを狙って成功させたという点でエスカルゴは特筆すべき存在です。

画像1: レトロから生き物、雑貨へと分岐した「かわいい車」

日産はその後も1994年にコンパクトクロスオーバーの「ラシーン」を発売します。当時はRVブームだったのですが、乗用車の「サニー」をベースとしたラシーンは本格的な4WDシステムなどは持っていません。当時は「なんちゃってRV」と陰口も叩かれたこともあるラシーンですが、その後20年くらい経ってこの手の車はクロスオーバーSUVと呼ばれるようになりました。時代に先んじていたわけですね。ラシーンは冒険心あふれる「かわいいスタイル」で人気となり2000年まで販売が続けられました。

画像2: レトロから生き物、雑貨へと分岐した「かわいい車」

ラシーンのかわいいはレトロや生き物系ではなく、デフォルメされた「雑貨のようなかわいい」と分類することができるでしょう。この流れは2002年発売の2代目「キューブ」、2008年発売の「3代目「キューブ」にも受け継がれ、進化を続けました。

画像: 光岡ラ・セード

光岡ラ・セード

マイクロカーやレプリカモデルを得意としていた光岡自動車もパイクカーを語る上で外せない存在です。1990年に日産「シルビア」をベースにしたクラシックスポーツカー風の「ラ・セード」を、1991年にはフォード「マスタング」をクラシックオープンカー風に仕立てた「ドゥーラ」を発売します。この2台はレトロなデザインのパイクカーであることは間違いないのですが、「かわいい」ではなく「かっこいい」を目指した車でした。

画像: 光岡ビュート(3代目)

光岡ビュート(3代目)

しかし1993年に発売された日産マーチベースのクラシカルな英国車風の「ビュート」は、そのサイズもあって「かわいい車」として受け入れられました。ビュートは現在まで続く人気モデルであり2023年2月にはベースモデルをトヨタ「ヤリス」へと変更した4代目が発表されています。

軽自動車で花開き、進化を重ねた「かわいい車」

日産に出遅れた各社も1990年代中頃からレトロ風の車を続々と投入します。そして「かわいい車」は主に軽自動車で花開き、進化を重ねていくことになります。

画像: スバルディアスクラシックのトラック

スバルディアスクラシックのトラック

スバルは1993年10月、軽バンの乗用ワゴンモデルの「サンバー・ディアス」にクラシックな外観を与えた「ディアスクラシック」を、同年11月には軽ハッチバックの「ヴィヴィオビストロ」を発売し、軽自動車におけるレトロ風デザインの先駆けとなりました。ディアスクラシックは今でも中古車市場では高値で取引されています。

三菱も1997年に「ミニカ」と「ミニカトッポ」に丸型ヘッドライトなどでクラシックな演出を施した「タウンビー」を追加し、「かわいい車」戦線に参入します。特にトッポタウンビーと、ミニカに追加投入されたミニカタウンビーⅡは出目金のような愛嬌のあるフロントデザインが特徴的で、「生き物系かわいい」に分類しても良いでしょう。

画像: ミラジーノ(2代目)

ミラジーノ(2代目)

ダイハツは1997年に「ミラ」の派生車として「ミラクラシック」を発売、1999年にはモデルチェンジを行い、「ミラジーノ」となります。1963年に登場したダイハツ「コンパーノ」にモチーフを求めたというフロント周りの意匠は、クラシックMINIにも似た「レトロかわいい」印象を与えます。ミラジーノは人気車となり、2004年のモデルチェンジを経て2009年まで販売されました。

画像: ムーヴラテ

ムーヴラテ

画像: ミラココア

ミラココア

ダイハツはさらに2004年、ハイトワゴンの「ムーヴ」にも派生モデルとして「ラテ」を投入します。丸みを帯びたムーヴラテはレトロではなくデフォルメされた雑貨系なデザインで、ミラジーノと同じく2009年まで販売されました。この2台の後継として2009年に「ミラココア」が登場。ココアの名前が示すようにスタイル的にはムーヴラテの系譜につながる「甘い」雑貨系デザインで2018年まで販売されました。

画像: アルトラパン(初代)

アルトラパン(初代)

スズキは1998年に「アルト」にクラシックなグリルを持つグレード「アルトC」を追加しますが、付け焼き刃的な見た目だったために販売は振るわず2年後のマイナーチェンジ時に消滅してしまいます。その後、2002年に「アルトラパン」を発売し、ようやく「かわいい車」市場で存在感を示すようになりました。

画像: ラパンLC

ラパンLC

ラパンという生き物系のネーミングとは裏腹にレトロと雑貨系をうまく調和させた「かわいい」スタイルで女性から高い支持を獲得、2015年には3代目にモデルチェンジ、2022年には新デザインの「LC」を追加して、現在も販売が継続されています。

画像: フォルクスワーゲン ビートル

フォルクスワーゲン ビートル

画像: ニュービートル

ニュービートル

画像: ザ・ビートル

ザ・ビートル

画像: MINI

MINI

画像: MINI3ドア(現行)

MINI3ドア(現行)

画像: フィアット500(2代目)

フィアット500(2代目)

画像: フィアット500(現行)

フィアット500(現行)

ちなみにBe-1のヒットは日本メーカーのみならず海外メーカーにも大きな影響を与えました。1990年代以降、フォルクスワーゲン「ビートル」、「ミニ」、フィアット「500」のリバイバルデザインをまとったモデルが、続々と本家本元の欧州メーカーから登場したのはBe-1のおかげ、とまではいわないまでも、Be-1がその登場を早めたのは間違いないでしょう。

ただ、ニュービートルにしてもBMWミニにしても、「かわいい」よりは「かっこいい系」なテイストな気がするのは筆者だけでしょうか。真面目なドイツ人と「かわいい」の相性はあまり良いものではないのかもしれません。その点、フィアット500は日本人からも見てもかわいいなと思えます。まあ元のモデルからしてビートルやミニよりは「かわいい成分」が多かったからなのかもしれません。

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「かわいい車の種類」レトロ?雑貨?それとも…

日産Be-1から始まった「かわいい車」は、現在ではさまざまな「かわいい」に進化を遂げて各社から販売されています。ここでは正統派の「レトロ系かわいい」と、ラシーンから始まりアルトラパンへと続く「雑貨系かわいい」、エスカルゴの精神を受け継ぐ「生き物系かわいい」の3つにカテゴリー分けをして紹介をしていきます。なお上記3分類は筆者が勝手に決めたものですので、異論がある方もいらっしゃるかと思いますが、お付き合いください。

レトロ系かわいい その1
ダイハツ「ムーヴキャンバス」

画像: レトロ系かわいい その1 ダイハツ「ムーヴキャンバス」

2016年に発売されたムーヴキャンバスは「ワーゲンバス」を連想させるスタイルとツートーンカラーでヒットモデルとなり、2022年には2代目となる現行型へ進化しました。軽自動車の1BOXバンをワーゲンバス(VWタイプ2)のような見た目にカスタムすることは、以前から流行っており、特に同じリアエンジンのスバルサンバーはよくそのベースとなっていました。ムーヴキャンバスの成功はもちろんそのレトロな見た目によるところが大きいのですが、スーパーハイトワゴンより少し背の低いトールワゴンのスライドドア車だったことも理由でしょう。さらに置きラクBOXと名付けられた格納式の収納スペースを用意するなど、デザインと実用性のどちらもよく考えられている車です。

好評だった初代と非常に似ている2代目は、しかし外装部品の流用はなく新規のデザインです。最近の女性の好みの変化に合わせて少し大人っぽいテイストに変更され、ベースのシャシーや安全装備も最新世代となりました。見た目同様にゆるさを適度に盛り込んだ走りは穏やかという言葉がよく似合います。2代目はターボモデルも設定され、またモノトーンの「セオリー」も内装を独自色とするなど選択肢が広がりましたが、やはりノンターボでツートーンの「ストライプス」にのんびり乗るのがキャンバスらしいのではないでしょうか。

レトロ系かわいい その2
ホンダ「N-ONE」

画像: レトロ系かわいい その2 ホンダ「N-ONE」

2012年に発売した「N-ONE」のデザインはホンダ初の市販軽乗用車「N360」がモチーフとなっています。前と同じことはしたがらない社風のためか、あまりレトロ路線に積極的ではなかったホンダも、かわいいデザインのスズキ「アルトラパン」の販売好調を無視できなかったのでしょう。2020年にフルモデルチェンジを行いましたが、初代モデルの外装パーツを大部分流用していることもあって、ぱっと見は見分けがつかないほど似たスタイルで登場しました。もちろん中身は2代目「N-BOX」などと同じ系統の新しいシャシーとなり、インテリアはセパレートシートの採用をはじめデザインを一新、安全装備も抜かりなくアップデートされています。

N-ONEの魅力は軽自動車随一の走りの良さ。定評のあるN-BOXのシャシーをベースに軽量なボディを組み込んだことで安定感と軽快感を両立した高い走行性能を獲得し、その走りを存分に楽しみたい人向けに6速MT(マニュアルトランスミッション)車も用意されています。内装などの作り込みも軽自動車レベルを超える上質な仕上げとなっていて、やや高い車両価格にも納得です。

レトロ系かわいい その3
フィアット「500」

画像: レトロ系かわいい その3 フィアット「500」

2007年に登場したフィアット500、もちろん日本でルパンの車として有名な2代目フィアット500(ヌーボ・チンクェチェント)がデザインのモチーフです。1957年にデビューしたオリジナルの2代目500は全長2,970mm、全幅1,320mm、全高1,320mmと当時の欧州の小型車の中でもコンパクトなモデルでした。それに比べると2007年に登場した現在の500は全長3,545mm、全幅1,625mm、全高1,515mmとだいぶ大きくなっています(ただし乗車定員は変わらず4名)。それでも今日的な基準では十分コンパクトで、かわいい見た目の イメージと合わせて、世界的なヒット作となりました。

フィアット500には標準の500とオープンモデルの500Cの2種類のボディタイプがあります。カタログモデル以外にもさまざまな限定車が毎年のように発売されており、さらにアバルトがチューニングしたアバルト「595」や「695」などのハイスペックモデルも存在します。現在のパワーユニットはベーシックな1.2L4気筒とターボ付きの875ccの2気筒ツインエアーの2本だて(500Cはツインエアーのみ)、トランスミッションは2ペダルMTの5速デュアロジックが組み合わされています。

すでに発売から15年以上が経過したフィアット500は相変わらず「かわいい車」なのは間違いありません。やはり本家は強いです。とはいえApple CarPlayとAndroid Autoに対応したタッチパネル式のオーディオディスプレイこそ備えるものの、自動ブレーキなどの先進安全装備がないのはちょっとツライところです。

レトロ系かわいい その4
スズキ「ジムニー」

画像: レトロ系かわいい その4 スズキ「ジムニー」

トヨタ「ランドクルーザー」やメルセデス・ベンツ「Gクラス」、ジープ「ラングラー」、そしてスズキ「ジムニー」など本格的なクロカン四駆がここ数年ですべて新型に切り替わり、異常なほどの人気を集めています。ランクルはデザインを刷新しましたが、Gクラスとラングラーはキープコンセプトでレトロというかクラシックな外観のデザインを新型も維持しています。2018年に20年ぶりのモデルチェンジを行った4代目ジムニーも、質実剛健だった2代目基調のデザインに回帰して、レトロな雰囲気と道具感を取り戻しました。

Gクラスもラングラーもレトロなデザインですが筆者にはかわいいとは思えません。世間的にもそうでしょう。しかしジムニーはそのサイズもあって「かわいい車」の要素は十分にあります。内装も操作性を重視してレバー式に戻った副変速機や、メーター、スイッチ類のデザインなどに本物感を味わいつつ、しかし同時にすごく精巧なホビー感も感じます。

ちなみにジムニーにはATも用意されますが、やはりMTがおすすめです。今では少なくなった、非力な車をマニュアルで運転することの楽しさを教えてくれます。もちろん笑っちゃうほどすごい悪路走破性も魅力です。

雑貨系かわいい その1
スズキ「アルトラパン」

画像1: 雑貨系かわいい その1 スズキ「アルトラパン」

2002年に登場したアルトラパンは女性から絶大な支持を受けました。弁当箱をモチーフにした外観デザイン、雑貨的な意匠が散りばめられた内装など、レトロをモチーフにしたデザインの多かった軽自動車のかわいい車に、雑貨デザインを持ち込んだことがその成功の理由でしょう。奇しくも同じ2002年には日産から2代目キューブが発売され、こちらも大ヒットとなりました。キューブの宣伝コピー「Cube. My room」が象徴的ですが、この頃から車に自分のプライベート空間であることを望む層が女性を中心に増えていたのだと思います。

ラパンは2008年に2代目、2015年に3代目モデルが登場し、2022年にモデルチェンジこそ行わなかったものの「リフレッシュ」として、トラッドなデザインのLCが追加されています。

画像2: 雑貨系かわいい その1 スズキ「アルトラパン」

現行型のラパンも独特な外観デザインが継承され、ひと目でラパンとわかります。インテリアもシートはもちろん、メーターなどのデザインにラパンらしい「雑貨みたいなかわいい」が盛りだくさん。普通は共通品とすることの多いメインキーですら、うさぎマークの専用品なあたりは、コスト意識の高いスズキにしては異例で、大事にされている車種だなと思います。3代目はデビューからだいぶ時間が経ちましたが、先進安全装備などを中心に着実にアップデートされており、そんなに古さは感じません。デザインが気に入ったのであれば買って間違いのない1台でしょう。

雑貨系かわいい その2
スズキ「スペーシア」

画像: 雑貨系かわいい その2 スズキ「スペーシア」

軽自動車で人気カテゴリーとなったスーパーハイトワゴン、ダイハツ「タント」が開拓し、ホンダ「N-BOX」が現在はベストセラーを続けています。スズキはこのマーケットで苦戦を強いられてきました。2008年に後席両側スライドドアを武器に「パレット」をこのマーケットに投入し、ダイハツ「タント」に挑みましたが販売成績は伸び悩みます。後継として2013年に登場した初代「スペーシア」も、タントはもちろん新参者のN-BOXや日産「デイズルークス」にも後れを取り、4位が定位置という状況だったのです。

この状況を打開したのが2017年に登場した3代目の現行モデル。N-BOXやタントと一線を画した雑貨デザインとすることで見事に大ヒット、N-BOXには及ばなかったものの、最近までタントを上回るNo.2の座を維持してきました。2022年5月にはN-BOXの生産調整の間隙をついて見事に軽自動車首位にも(一度だけですが)輝いています。スーツケースをモチーフにした雑貨系デザインを内外装に採用し、ライバルと明らかに違うテイストとしたことが3代目スペーシアの勝因ですが、マイルドハイブリッドによる燃費の良さ、収納をはじめ後席用のサーキュレーターなど使い勝手の良い装備も魅力です。

登場から6年が経過したものの安全装備のアップデートは受けており、またスーパーハイトワゴンで似たようなデザインがないことも考えると、その商品力はいまだ衰えていません。

雑貨系かわいい その3
ダイハツ「ミラトコット」

画像: 雑貨系かわいい その3 ダイハツ「ミラトコット」

2018年にミラココアの後継として誕生した「ミラトコット」。丸く甘いデザインだったココアから一転して、直線基調の中に丸みを少し取り入れた、シンプルで道具感のある雑貨系デザインとなりました。インテリアもシートやインパネのデザインには無印良品でそろえた部屋のような清潔感があります。ダイハツによれば社内外の女性にインタビューした結果、いかにも女性っぽさを全面に出した「かわいい車」は時代遅れという結論に達したようです。トコットはデザインに加えて運転に自信のない人への配慮も力点が置かれていました。ちゃんとした運転姿勢を保つためにセパレート型シートを採用し、視界や車両感覚のつかみやすさも優れています。

そんなトコットですが販売は今ひとつ振るわない状況が続いており、登場から5年経過した段階でマイナーチェンジなどのテコ入れも行われていません。このままモデルチェンジを迎えるのか、現段階ではわかりませんが、すでに我々が撮影用などで借りる広報車両も用意がありません。「かわいい」に対する女性の意識変化を敏感に感じ取ったものの、ダイハツが出した答えは正解とはいえなかったようです。個人的には全体的に素気なさすぎることとフロントのライト周りのデザインがちょっとロボットっぽいのがイマイチですかね。あくまで個人の感想です。

雑貨系かわいい その4
ホンダ「ステップワゴン」

画像: 雑貨系かわいい その4 ホンダ「ステップワゴン」

1996年にデビューしたホンダ「ステップワゴン」はミニバンの先駆として大ヒットを記録しました。しかし、その後トヨタから「ノア/ヴォクシー」、日産からは「セレナ」が登場し、代を重ねるごとにステップワゴンの存在感は薄まっていきます。2015年発売の5代目ステップワゴンはリアゲートが横方向に分割開閉できるわくわくゲートや3列目シートの床下格納などを盛り込んだ意欲作でしたが、やはり販売シェアの失地回復につなげることはできませんでした。

現行モデルのひと世代前のこの時期、ホンダ車のデザインはキャラクターラインの多いゴチャゴチャしたものが多く、共通のフロント周りの意匠も好評とは言い難いものでした。そこで2020年にデビューした4代目「フィット」からシンプルなデザインへと舵を切ります。2021年に発表された2代目「ヴェゼル」、そして2022年から発売された6代目ステップワゴンもすっきりしたデザインへと切り替わりました。現行型のステップワゴンはシンプルな「AIR」と、エアロ路線の「SPADA」の2タイプ。特にAIRは初代ステップワゴンが持っていたクラスレスな道具感を取り戻した印象です。

上質になったインテリアには雑貨っぽさも感じます。ホンダご自慢の2モーターハイブリッドと低床シャシーによる走りは相変わらずクラストップレベル、セカンドシートのロングスライドやクラス唯一の3列目シートの床下格納など使い勝手も優れています。このマーケットはやはり押し出しの強さが求められているのか、現行のステップワゴンも残念ながら販売台数は今ひとつ伸びていません。とはいえ押し出しの強いライバルのノア/ヴォクシー、セレナとは異なる、シンプル+上質な内外装となったステップワゴンには独自の魅力があります。

生き物系かわいい その1
スズキ「ハスラー」

画像: 生き物系かわいい その1 スズキ「ハスラー」

他の分類がないので「ハスラー」は生き物系に入れましたが本来はアニメ調といった方がいいでしょうか。『Dr.スランプ』のアラレちゃんをイメージキャラにした初代のCMはなかなかインパクトがありました。2014年に登場したハスラー、そのデザインには遊び心がふんだんに盛り込まれ、流行りのクロスオーバーSUVということもあって大ヒット。今やスズキの屋台骨のひとつにまで成長しました。

2代目も2020年にキープコンセプトで登場、特徴的な丸いヘッドライトは初代ハスラーが持っていた「かわいい」を見事に進化させています。内装もどこかGショックを連想させる個性的な造形のインパネに、初代と比べてさらなる遊び心が感じられます。

2代目ハスラーが出る前の2017年、ハスラーをモチーフにしたコンパクトカーの「クロスビー」が発売されました。ただ、クロスビーはちょっとグラマラスなボディで、ハスラーが持つ「かわいい」とは少々違う印象のデザインでした。スズキはハスラーのデザインの良さがわかっていないのではないか、と危惧したのですが、2代目ハスラーを見て安心しました(?)。2代目のハスラーは新世代のシャシーに更新され、剛性を高めるために構造用接着剤を使用していることもあって、その走りは大きく進化しています。個人的にはスズキの軽自動車で一番乗り心地が良いと感じます。

生き物系かわいい その2
トヨタ「シエンタ」

画像: 生き物系かわいい その2 トヨタ「シエンタ」

シエンタを生き物系に分類したのもワンちゃんに変身するテレビCMに多分に影響されています。ホンダ「フリード」と並んで貴重な3列シートのコンパクトミニバンの「シエンタ」のデビューは2002年。丸いヘッドライトが印象的だった初代からトレッキングシューズをイメージしたという2代目にチェンジしたのが2015年、そして欧州車のようなイメージの3代目に2022年にチェンジしたばかりです。3代目シエンタのCMにワンちゃんが登場するのは、家族になくてはならない相棒、ということでペットのように愛される車にしたいという意図なのだそうです。

2代目が冒険的なデザインを採用していたのに対して、3代目は初代の親しみやすい方向に回帰しました。フィアットやシトロエンのコンパクトカーのように見えるのは、塊感のあるシルエットとドア下の黒いプロテクターが効いているからでしょう。車のデザインにうるさい専門家からも意外や高い評価を獲得しています。インテリアも含めて全体的にシンプルシックな印象は、ちょっと垢抜けていてトヨタっぽくないですね。クラス随一のハイブリッドの好燃費や3列目のシートが2列目の下に格納できるなど先代の美点はそのまま受け継いでいます。いかにもではなく、ちょうど良い「かわいい」という点で、ダイハツ「ミラトコット」が目指したデザインをシエンタは実現できているような気がします。

生き物系かわいい その3
ホンダ「フィット」

画像: 生き物系かわいい その3 ホンダ「フィット」

日本を代表するコンパクトカーの「フィット」の4代目となる現行型は2020年にデビューしました。ステップワゴンの項で前述したように、シンプルなデザインへ舵を切った4代目フィットの外観デザインは、「親しみが持て安心感もある日本の柴犬」をイメージしたもの。3代目がやや前衛的なモノフォルムだったの対して、ボンネットの存在もそれなりにあるコンパクトカーらしいカタチとなりました。インテリアもオーソドックスな中にシックな印象を与えるデザインです。2022年にはマイナーチェンジで「おでこ」の出具合を微妙に修正し、ヘッドライトも丸さをより強調するデザインに変更するなど、「かわいい」に磨きを掛けました。

以前から定評のあった走りの良さは4代目も受け継いでいます。2モーターハイブリッドのe:HEVは電気自動車のような加速感と、トヨタのハイブリッドには及ばないものの十分な好燃費を発揮します。カタログ燃費にこだわらず、誰にでもそれなりに良い燃費が出せるようにしたという現実的なセッティングは、燃費を究極に追い求めなかったゆえの乗りやすさと合わせて、良い車づくりをしていると思います。また乗り心地も個人的にはノートでもなくアクアでもなく、フィットがクラスベストです。販売成績はそれほど良い結果は出ていないものの、方向性のあるデザインで一定の支持を得ているという解釈もできるのではないでしょうか。

生き物系かわいい その4
三菱「デリカミニ」

画像1: 生き物系かわいい その4 三菱「デリカミニ」

2022年11月に登場が予告され、23年1月の東京オートサロンでの参考出品、4月に正式発表、そして5月25日から発売、と随分念入りな手順を踏んできた三菱「デリカミニ」。三菱の軽スーパーハイトワゴンのクロスオーバーSUVとしては2020年3月に発売された「eKクロススペース」があったのですが、販売成績は今ひとつで短期間のうちに刷新されることになりました。eKクロススペース不振の理由が外観スタイルにあり、と把握した三菱は、今度は人気の「デリカD:5」のイメージをさらに強調しつつ、軽自動車に望まれる「かわいい」を盛り込んでいます。

画像2: 生き物系かわいい その4 三菱「デリカミニ」

デリカミニの一番のポイントはCMキャラに使用されているブルドック風の「デリ丸」と名付けられたワンちゃんのイメージと重なるフロントマスクです。ブルドックと聞いて初代ホンダ「シティ」のターボⅡを思い出すのは古くからの車好きですね。デリカミニは2019年のビッグマイナーチェンジでアグレシッブな顔つきになったデリカD:5よりも歴代デリカっぽく感じる好デザイン。以前の「パジェロミニ」が女性オーナーにも受けていたように、オトコくさいデリカのイメージをうまく「かわいい」に落とし込むことで拡販を狙っています。

ボディやインテリア、そしてシャシーも基本はeKクロススペースのキャリーオーバーですが、4WDモデルは最低地上高を10mm上げサスペンションにもチューニングが加わっています。売れ筋のスーパーハイトワゴン+クロスオーバーSUV、そしてかわいいデザインということで、すでに予約も発売前までに約16,000台と好調な様子。スズキ「スペーシアギア」やダイハツ「タントファンクロス」と好勝負が期待できそうです。

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