子育て主婦が全く知識ゼロから起業し、小さなサロンを開業。インスタで地道に集客し、広告費なしで年商4億まで成長させた女性起業家が田中舞さん(@mai_remie)。

現在はドバイに移住し、海外生活を送る田中さんに、起業を志したきっかけやビジネスを成功に導いた秘訣について伺いました。

自分が好きな「美容」で起業しようと決意した

田中さんはCA(キャビンアテンダント)になりたいという目標から、以前は空港でグランドホステスの仕事をしていました。それが、自分の思っていた仕事のイメージとギャップを感じ、研修期間で辞めてしまったそうです。そこから、地元の佐賀県を離れて名古屋に引っ越し、ヘアセットの仕事をするように。夕方から深夜まで、キャバクラやホストクラブで働く男性や女性のヘアアレンジを行っていました。

画像: 自分が好きな「美容」で起業しようと決意した

「28歳の時に結婚し、旦那の都合でタイへ移住しました。子どもも生まれ、2〜3年は専業主婦としての暮らしを送っていましたが、しばらくしてから旦那の会社の事務員として仕事に復帰したんです」(田中さん)

ところが、コロナ禍に突入すると旦那の会社の状況が悪化。
「自分で稼げるようにならないと将来が怖い」と先行きに一抹の不安を感じるようになりました。

こうしたなか、「何かできることはないかと探し始めたのが、起業を志すきっかけになった」と田中さんは話します。

「起業経験なんて全くなかったので、どんなことをすればいいのか、最初は見当もつきませんでした。子育て支援やママに関することなど、色々とアイデアを模索していくなか、たどり着いたのが『美容』でした。ヘアセットの仕事をやっていた際、その場でお客様が笑顔になるのがすごく嬉しくて。また、自分自身でもクリニックやエステに通い、自己肯定感を高めることをやっていたので、“好きなこと”で起業しようと思いついたんですよ」(田中さん)

美容は女性を幸せにするもので、女性が幸せになれば家庭も幸せになる。
好きなことならモチベーションも続くし、エステは資格が不要なので、起業のハードルが低い。

「美容で起業する」と決めてからは即行動。2020年の夏にエステの基礎知識やスキルを学ぶスクールに通い始めました。

集客できない課題と向き合い、インスタで情報発信を続けた

しかし、エステサロンの開業に向けては、始めてのことだらけで多くの苦労を味わったと田中さんは言います。

「エステ開業に向けての資金調達にかなり苦戦しました。事業計画書を書き、融資を受けるために日本公庫や地方銀行を色々と回りましたが、全く目処が立たなかったんです。それでも、諦めずに資金調達に奔走したところ、最終的には地方銀行から1,000万の融資が下りました。『これで店舗や資材にお金をかけられる』と決心がつき、2020年12月に物件契約を交わし、2021年3月から無事に開業することができたのです」(田中さん)

無事に開業できたのもつかの間、田中さんの開いたエステサロンを知るお客様はいないため、集客も全て自分でしなければなりません。

画像: 集客できない課題と向き合い、インスタで情報発信を続けた

「開業から1年くらいは事業が上手くいかなった」

そう語る田中さんは、起業当初を次のように振り返りました。

「エステの経営スクールに通い、経営者の心構えやリピーターの増やし方などを学び、現場でアウトプットしても、全然集客に結びつかなくて。周囲のスクール生はうまくいっているのに、自分だけ成果が出せずにいたのがすごく悔しかったですね。うだつが上がらない日々が続き、ときに落ち込んだ場面もありましたが、それでも立ち止まって諦めようとはしませんでした」(田中さん)

毎日コツコツ取り組んだのは、インスタの発信を行うこと。お客様の役に立つ動画を、家事や子育ての“スキマ時間”に撮影して投稿していたそうです。

「お客様から感想やコメントをいただけるようなインスタの発信を心がけ、良い口コミが増えるように意識しながら継続したことで、少しずつリピーターのお客様が増えていったんです。化粧品やサプリメントといった商品物販についても、お客様に商品の良さや使い方を伝える際に、『名前入りの動画』を作ってお薦めをしていました。ちょっとした気遣いや丁寧なコミュニケーションを心がけ、無数にあるエステサロンの中で、「私に施術をやってもらいたい」と思ってもらいたい。そのような一心で、一人ひとりのお客様と真摯に向き合い、笑顔になって帰ってもらうことに徹していましたね」(田中さん)

移住先のドバイは子育てやビジネスに集中できる環境があった

さまざまな創意工夫を積み重ね、ちょっとずつ事業を成長させてきた田中さんは、「きなこプロテイン(ビューティーパウダー)」のオリジナル商品の開発から始まり、今ではサロン専売品の基礎化粧品シリーズ「Remie(リミエ)」を販売するなど、ビジネスをさらに拡大させていきます。

画像: 移住先のドバイは子育てやビジネスに集中できる環境があった

「オリジナル商品を開発する前は、メーカーの既存品を物販していましたが、次第に「自分でこだわった化粧水とプロテインを作ってみたい」と思うようになりました。オリジナル商品は当初、関係性のあるいくつかのサロンで取り扱ってもらっていたんですが、SNSや口コミから色々なサロンから『うちも舞さんのオリジナル商品を取り扱いたい』と連絡をもらうようになって。気づいたら、1ヶ月に注文件数が150件にも上っていて、さすがに自分一人で作業をこなすのは無理だったため、商品代行を行うGIVERS社に依頼しました。このようにして、サロン専売品のBtoBビジネスを構築していき、今では1000店舗以上のサロンと提携しています」(田中さん)

現在、田中さんはドバイに移住し、海外生活を送っています。以前から海外移住をしたいという思いがあったそうですが、ドバイに駐在する知人が現地にいたことから視察に訪れたところ、ドバイの魅力に惹かれ、移住を決めたそうです。

「プロテインや美容商品の物販ビジネスも軌道に乗り、金銭的な目標も達成できたのを機に、多国籍で治安も気候も良いドバイに移住しようと決めたんです。また、子どもにも海外の教育を受けさせたいと思っていましたし、日本を離れて海外に住むことで視野がさらに広げる。日本の美容業界はある種、閉鎖的なところもありますが、ドバイにいれば日本の情報が入ってこないので、余計なことを考えずにビジネスに集中できる環境が整っていると思いました」(田中さん)

迷ったら行動あるのみ。小さな「挑戦」を積み重ねるのが大切

今後の展望としては、「自社の商品をドバイと日本以外の韓国や中国といったアジアへの拡大も視野に入れていきたい」と抱負を語ります。

「直近の展示会では、海外のバイヤーからの引き合いも多く、手応えは感じているので、どのようにビジネスを展開していくかを考えながら取り組んでいきたいですね」(田中さん)

画像1: 迷ったら行動あるのみ。小さな「挑戦」を積み重ねるのが大切

また、自社の売上拡大だけでなく、エステサロンのコンサル事業もやっていきたいと田中さんは続けます。

「これまで、お付き合いのあるサロンには、自分自身が培ってきたノウハウや知見を惜しみなくお伝えしてきました。そうしたなかで、『ここが変われば絶対に変わる』という再現性を見出せ、どういう風にすればうまくいくのかという“答え”を見つけることができた。そのため、エステサロンのコンサルティングを始めようと思ったんです。ただ、コンサルはあくまで慈善事業であり、私のアドバイスでひとつでも多くのサロンが成功するようにしていければと考えています」(田中さん)

画像2: 迷ったら行動あるのみ。小さな「挑戦」を積み重ねるのが大切

田中さんは「小さい挑戦の連続を積み重ね、今の自分がある」とインタビューで語っていたのが印象的でした。迷ったら行動あるのみで、まずはアクションを起こしてみるのが大事なのではないでしょうか。

<取材・文・撮影(人物)/古田島大介>

This article is a sponsored article by
''.