7月10日、東京都立第一商業高等学校で、一般社団法人渋谷未来デザインとディップ株式会社が共同で推進する「渋谷闇バイトゼロプロジェクト」の一環として特別授業が行われました。当日は警視庁匿名・流動型犯罪グループ対策本部も参加し、アルバイト選びのポイントや闇バイトの手口、犯罪に巻き込まれないための知識を高校生たちへ伝えました。
「闇バイト」という言葉を知っている高校生は約9割。しかし、実際の求人を見ると約7割が「普通の求人との見分けがつかない」と回答しています。夏休みはアルバイトを始める高校生が増える時期。こうした実態を受けて実施された今回の授業では、若者が安全にアルバイトを選ぶための「見抜く力」を学びました。
「知っている」と「見抜ける」は違う

2026年4月にディップ株式会社が発表した調査では、東京都内の高校生の4人に1人が怪しい求人情報に接触した経験があることが明らかになりました。
SNSやDMで求人情報が届くことも珍しくない今、「闇バイト」という言葉を知っているだけでは十分ではありません。実際の求人に潜む危険なサインを見抜き、自分で判断する力が求められています。
クイズ形式で学ぶ“見抜く力”

授業では、高校生のアルバイト事情や働くことの意義について紹介した後、「時給が高い」「自分にもできそう」といった条件だけで仕事を選ぶことの危険性について解説。
アルバイトは収入を得るだけでなく、社会経験やコミュニケーション能力を身につける大切な機会であることも伝えられました。
続いて、生徒たちは知的エンタメ集団「QuizKnock」と共同制作した「闇バイト判別クイズ」に挑戦。「運ぶだけ」「高収入」「即日現金払い」「DMで応募」「ホワイト案件」など、一見魅力的に見える募集文をもとに、どこに危険なサインが隠れているのかを考えました。
知識を一方的に学ぶだけではなく、自ら考え、判断する力を養う体験型の授業に、生徒たちも真剣な表情で取り組んでいました。
「一度関わると抜け出せない」現実

後半は、警視庁匿名・流動型犯罪グループ対策本部による防犯講話が行われました。
講義では、闇バイトは「仕事」ではなく犯罪であることを改めて説明。一度応募すると、身分証や住所などの個人情報を送らされ、それをもとに脅迫されて抜け出せなくなるケースがあることも紹介されました。
また、「銀行口座を貸すだけ」「スマートフォンを契約するだけ」と思っていても、それらは犯罪に利用される可能性があり、口座売買やスマートフォンの譲渡は重大な犯罪となります。犯罪に加担してしまうと、逮捕されるだけでなく、その後の就職や銀行口座の開設、携帯電話の契約など、将来の生活にも大きな影響を及ぼすことも伝えられました。
一方で、「個人情報を送ってしまっても、今ならまだ引き返せる。一人で抱え込まず、すぐに警察や周囲の大人へ相談してほしい」というメッセージも、生徒たちへ届けられました。
「自分ごと」として考えるきっかけに

授業を受けた生徒からは、「危険がすぐ身近にあることを知り、身が引き締まった」「これからは親にも相談しながら安全に仕事を探したい」「友人が誘われたら止められる存在になりたい」といった感想が寄せられました。
また、東京都立第一商業高等学校の久保静生校長は、「専門家から実際の犯罪手口や法律について直接学ぶことで、生徒たちがこの問題をより『自分ごと』として捉えられた」とコメント。犯罪を未然に防ぐために活動する企業や行政、警察の姿に触れたことも、生徒たちにとって大きな学びになったとしています。
渋谷未来デザインは今後、教育現場だけでなく街のメディアや同世代による発信も活用しながら啓発活動を広げ、「渋谷モデル」として全国への展開も目指しています。
夏休みは新しいアルバイトを始める人が増える季節です。「高収入」「簡単」「すぐ稼げる」といった言葉に惹かれる前に、求人情報の発信元や仕事内容をしっかり確認すること。そして少しでも違和感があれば応募せず、困ったときは家族や学校、警察など信頼できる人へ相談することが、自分の未来を守る第一歩となるでしょう。

