日本財団が3月28日、地球規模で広がっている環境問題の原因のひとつである使い捨てプラスチックごみに関して、スポーツ界を横断して削減に取り組む『HEROs PLEDGE』を始動することを発表しました。

『HEROs PLEDGE』は、アスリートとともに社会課題解決の輪を広げていくことを目的とした『HEROs~Sportsmanship for the future~』(HEROs)プロジェクトのひとつです。

HEROsプロジェクト・HEROs PLEDGEとは

画像1: HEROsプロジェクト・HEROs PLEDGEとは

発表会冒頭、日本財団笹川順平常務理事がHEROsプロジェクトについて紹介。

笹川氏は、「なぜ、スポーツアスリート×社会貢献なのか」という問いには2つの理由があるとし、
「1つ目は、アスリートはファンがいてこそのアスリートであること。今まで力をもらってきた子供たち、ご家族、地域の方々も恩返しをする立場にあると思っている。2つ目は、アスリートは、本当に困難な状況を乗り越えて今の立場を獲得してきたこと。彼ら/彼女達が持つ力をどのように社会に貢献できるかを考えた時に、彼ら/彼女達には、昨今深刻化している社会活動に向かっていく力があると考えた。さらに、アスリートが社会に取り組んでいく姿をみて一般の方々が「私もやってみよう」と社会貢献に対してのアクションが広がっていくと考えている。HEROsでは、21競技/オリンピック/パラリンピック、それぞれ隔たりなく、アンバサダーの皆さんに率先してリーダーシップをとってもらっている。」と述べました。

画像2: HEROsプロジェクト・HEROs PLEDGEとは

また、日本財団 経営企画広報部HEROsチームリーダー 藤田滋氏は、『HEROsPLEDGE
』プロジェクトについて、「昨今地球規模での環境問題が非常に深刻化しており、海洋汚染では2025年にはごみの量が魚の量を超えるといわれ、気候変動では「地球沸騰化」といわれるほどであり、これからの数年が改善のラストチャンスになるかもしれないような危機的な状況である。これらの問題は、猛暑や雪不足で競技ができない状況が生じるなど、スポーツ界にも大きな影響を及ぼしている。このままでは、将来の子供たちにスポーツができる環境を残せないかもしれない、スポーツどころではなくなってしまうかもしれない。こうした中で、競技を横断してスポーツ界として立ち上がろうということで、地球規模で広がっている環境問題の原因のひとつである“使い捨てプラスチックごみ”に焦点を上げた『HEROsPLEDGE』プロジェクトを始動することを決めた。」と語りました。

このままではスポーツどころではなくなってしまうかもしれない。スポーツ界から使い捨てプラゼロに!

世界のスポーツ界では今まさに、プラごみを減らしていく様々な取り組みが進んでいます。

2018年には、気候変動に関する国際連合枠組み条約×国際オリンピック委員会により「スポーツ機構行動枠組み」が発足。同じく2018年には国際オリンピック委員会がワールドラグビーなど7つのスポーツ団体とともに「使い捨てプラスチック利用廃止に向けた取り組み」がスタートし、2023年ラグビーワールドカップでは、スポンサーのVolvicとともに「啓発の取り組み」も実施されました。2024年パリ五輪では、五輪初の取り組みとして、「使い捨てプラスチックの使用禁止」が計画されています。

HEROsS portsmanship for the future(HEROs)

画像: HEROsS portsmanship for the future(HEROs)

”HEROsS portsmanship for the future“は社会課題解決の輪を広げるためのプラットフォーム。アスリート達の社会貢献活動を推進することで、スポーツでつながる多くの人の関心や行動を生み出します。共感と行動の輪を広げ、社会課題解決に取り組む人を増やし、社会貢献活動を行うことが世の中の当たり前になることを目指すプロジェクトです。

HEROsには、”HEROs ACADEMY”、”HEROs ACTION”、”HEROs AWARD”の3つの取り組みがあります。アスリートの中には「興味はあるけど何をしたらいいかわからない」という方も多くおり、そのような方には、”HEROs ACADEMY”として、様々なセッション/研修など、学習の場を日本財団から提供しています。学びの中で、アスリート自身が「自分だったらこのような貢献ができる」と理解を深めることで、実際に”HEROs ACTION”に繋げていく。また世の方々に知ってもらうため、毎年一度、”HEROs AWARD”で賞賛の場を提供しています。

スポーツ界から本気で社会課題解決を目指す!『HEROs PLEDGE』をリードする元競泳井本直歩子選手が強い思いを語る

画像: スポーツ界から本気で社会課題解決を目指す!『HEROs PLEDGE』をリードする元競泳井本直歩子選手が強い思いを語る

続いて、『HEROsPLEDGE』をリードする、元競泳選手でSDGs in Sports代表理事の井本直歩子氏が登壇。本プロジェクトへの強い思いを語りました。

井本氏は、「私は長くアフリカの発展途上国で教育支援をしており、国際機関で働いてきて、海洋ごみ問題や気候変動問題をとても身近に感じてきた。そのような状況で、海外でアスリートがたくさん声をあげたり活動をしている中で、日本でももっとスポーツ界が力を発揮して社会課題を解決していくべきだと思った。HEROsには2019年にAwardをもらい、今回、日本財団さんに『HEROsPLEDGE
』を提案させてもらった。今日のような華々しいプロジェクトの始動を迎えられたことにワクワクしており、ここからスタートできることを嬉しく思う。自分には環境問題についての知識がない、周りに声をあげている人がいない、自分が何をしたら良いのかわからない。そういった方がまだたくさんいると思う。みんなで学び、一緒に声をあげていくことで多くの効果が出せるのではないかと感じているので、日本財団、そしてアスリートやスポーツ団体の皆様と課題解決のために本気の取り組みをしていきたいと考えている。」と活動への強い思いを述べました。

『HEROs PLEDGE』参画アスリートが集結!

画像: 『HEROs PLEDGE』参画アスリートが集結!

今回発表された『HEROs PLEDGE』には、33名のアスリート、10組のスポーツ関連団体が参画しています(2024年3月28日時点)。この日は『HEROs PLEDGE』参画アスリートのうち、井本氏を始め、車いすバスケットボール根木慎志選手や、プロサーファー都筑有夢路選手など、13名が登壇し、それぞれの意気込みを語りました。

登壇アスリートコメント(一部)

・車いすバスケットボール根木慎志選手

多くの勉強会・現地視察を経て今日を迎えました。華々しくワクワクする気持ちでいっぱいです。今日登壇している12名のアスリート以外にも参画しているアスリートがたくさんいます。アスリートだけでなく勉強会の中で講師としてお話をしていただいた方や、共に活動するメンバーの方も多くいます。本当に今、環境問題が待ったなしの大変な状態になっているのは、みなさんご存知だと思いますが、こういう時だからこそ、アスリートの力で問題を解決していけるように、今日この日を迎え、まず宣言をし、スポーツ界から大きなムーブメントを起こしていきたいと思います。

・サーフィン 都筑有夢路選手

サーフィンという自然とすごく密接なスポーツをしていて肌で感じる自然の素晴らしさであったり、海がないとできないスポーツなので海を守りたいという気持ちが強くあります。ごみの分別や、マイボトルの持参、ビーチクリーンなどの取り組みをプロサーファーの一人として自分が実施していくだけでなく、このプロジェクトを通じて発信していくことでたくさんの人に自然環境を考えるきっかけを与えられれば嬉しいです。

画像: 登壇アスリートコメント(一部)

発表会は2部構成で行われ、第2部では、第1部に登壇した参画アスリートに加え、環境問題の専門家や、すでに環境問題に対してアクションを起こすスポーツ団体の方をゲストに迎え、2つのテーマのトークセッションが行われました。

テーマ1「海洋汚染・気候変動問題に対して、スポーツ界から取り組む意義」

登壇者:井本氏(ファシリテーター)、同志社大学 原田禎夫准教授、ヴァンフォーレ甲府
渡辺敬太選手、競泳岩崎恭子選手

1つ目のテーマでは、「私自身も地元の沼津でビーチクリーンをしているが、拾っても拾っても、ごみが永遠になくならない。なぜそうなるのかというと、海からのごみだけでなく、町からのごみも非常に多い。その中で、拾うのももちろんですが、もともとの使う量を減らすことの影響が大きいのではと思うようになった。」(岩崎選手)
「所属するヴァンフォーレでは、25年ほど前からリユースカップを利用している。地域の皆様の後援によって、復興したチームであるからこそ、地域を汚してはいけない、地域に貢献しなければならないという気持ちで、チームとして活動を続けている。また、こういった活動が広がり、環境に対するサポーターの方々の考え方も変わってきている。」(渡辺選手)
と、アスリートの環境問題への意識や、アスリートが取り組むことによるファンへの影響についてのトークが繰り広げられました。

さらに専門家である原田先生は、「日本では、20年前に循環型社会を唱えて、当時世界で最先端の取り組みだった。一方、リサイクルをすればよい、という誤解が広がってしまった。ゴミを減らすことが重要ということも広がっていくべき。例えばお風呂があふれているときに、一生懸命周りを拭こうというより、まずは水道を止めようというような状況かな。」と分かりやすい例えでごみを減らすことの重症性を説明しました。

テーマ2「アスリートが社会問題に取り組み、発信することについて」

登壇者:井本氏(ファシリテーター)、ノルディックスキー複合渡部暁斗選手、バスケットボール
田渡凌選手、パラ競泳一ノ瀬メイ選手

2つ目のテーマでは、「環境問題はやはり内容自体が難しい。なので、自分が言っていることが本当に正しいのかはいつも怖い。ただ、環境問題は危機的な状況であり周知することがとても重要。だからこそ、発信する内容は本当に自分でたくさん調べて納得した内容を発信するようにしている。」(渡部選手)
「発信する上で気を付けていることは、口だけにしないこと。発信するからには、しっかりと責任をもって行動することを意識してる。例えば、コンビニに行くたびに、ペットボトルのお茶を買うか自問自答していて、毎回最後には、家でお茶をいれてマイボトルにいれていくぞ、と決めている。」(田渡選手)
「発信することは不安な要素もあるけれど、ポジティブにとらえるようにしている。ただ、どのようにみなさんに“自分事”として考えてもらうかが本当に課題。」(一ノ瀬選手)
など、アスリートが環境問題について発信する上でどのようなことを考えているのかを聞くことができました。

正直取材をするまで、“競技をしている、キラキラしたアスリート“のイメージが強く、環境問題とアスリートの組み合わせについて、少し不思議に感じていました。しかし、競技と環境問題の密接な関わりや、アスリート達の社会貢献/環境門田への取り組みに対する気持ちの強さを知ることができ、自分達も、一度普段の生活の中で立ち止まり、環境問題について考え、行動しなければいけないと思うようなトークセッションでした。

『HEROs PLEDGE』参画アスリート・団体

アスリート:荒井daze 善正/安藤美姫/一ノ瀬 メイ/伊藤 みき/井上 康生/井本直歩子/岩崎 恭子/岩下達郎/岡田 麻央/加藤 友里恵/近賀 ゆかり/久保 大樹/五郎丸 歩/櫛橋 茉由/杉本 一樹/杉山 文野/杉山 美紗/高梨 沙羅/武知 実波/谷川 真理/田渡 凌/都筑 有夢路/戸邉 直人/鳥谷 敬/中川 真依/根木 慎志/野中 生萌/堀 由美恵/真壁 伸弥/益子 直美/山田 明季/渡部 暁斗*敬称略

団体:B.LEAGUE/Jリーグ/FC今治/FC東京/ヴァンフォーレ甲府/川崎フロンターレ/鹿島アントラーズ/千葉ジェッツ/福島ファイヤーボンズ/セーリング連盟/バドミントン協会

みんなで一緒にPLEDGEしよう!

画像: みんなで一緒にPLEDGEしよう!

海洋ごみ問題や気候変動などの社会課題を考え、自分に何ができるのか考えるきっかけとして、HEROs PLEDGE WEBサイトでは、自身の取り組みをPLEDGE(宣言)することができます。その他にも、参画アスリートや関連団体、スポーツファンが一緒になって取り組むイベントの実施も予定されているそう。

この機会に皆さんもアスリートたちと一緒に気候変動や海洋ゴミ問題などの社会課題を考え、自分にできることをPLEDGEしてみてはいかがでしょうか。

PLEDGEする!

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