東京都指定有形文化財「百段階段」を舞台に、ミニチュアアートの魅力を堪能する特別な展示が開催中です。日本美のミュージアムホテルとして知られる【ホテル雅叙園東京】では、2025年1月18日(土)から3月9日(日)までの期間限定で「ミニチュア×百段階段~文化財に広がるちいさな世界~」を開催。伝統と現代アートが融合した唯一無二の空間で、繊細な職人技が光る極小アートの世界を体験できます。7つの部屋を舞台に、さまざまなジャンルや技術、感性によってつくり出された“ちいさな世界”の見どころの一部をレポートします。

7つの部屋に広がる幻想的なミニチュアワールド

東京都指定有形文化財「百段階段」の7つの部屋を舞台に、ひな祭りや食彩、街の風景など、さまざまなテーマのミニチュア作品が展示されています。リアルな情景や物語を感じさせる精巧なアートの数々が、まるで自分が小さくなったかのような錯覚を引き起こし、没入感あふれる体験を提供します。

史上初、文化財「百段階段」の約90年の歴史を“1枚絵”で表現

画像19: 極小アートの世界に没入♡「ミニチュア×百段階段~文化財に広がるちいさな世界~」【ホテル雅叙園東京】
画像20: 極小アートの世界に没入♡「ミニチュア×百段階段~文化財に広がるちいさな世界~」【ホテル雅叙園東京】

会場について最初に目に飛び込んでくるのは、会場エレベーターホールに展示された「妄想アーキテクツ」髙松瑞樹氏によるアート作品「ちいさな世界」。じっくり見てからこの展示会を回るとより楽しめるのでおすすめです。

90年以上の歴史を受け継ぐホテル雅叙園東京の前身の目黒雅叙園には、結婚式や結納をはじめとした祝宴の席や、太宰治やチャーリー・チャップリンといった著名人の滞在に関する逸話など、語り尽くせないほどの物語が息づいています。しかし、現存する各部屋の空間からその当時の営みを想像することは難しく、訪れる方全員がそうしたエピソードに触れられる機会がないという課題がありました。こうした背景から、本展のテーマである"ミニチュア"に重ね合わせる形で「ホテル雅叙園東京の歴史を俯瞰しながら、かつてこの場所で過ごした人々の息遣いを感じられる1枚絵」として、史上初となる旧目黒雅叙園や文化財「百段階段」の各部屋にまつわるエピソードそのもの」をモチーフにしたアート作品が制作されるに至りました。

本作品は、ホテル雅叙園東京史上初、文化財「百段階段」の約90年におよぶ歴史に息づく物語や逸話をミニチュアのような密度の高い1枚絵として表現しています。文化財「百段階段」の各部屋に息づく物語や逸話、室内に施された歴史ある貴重な装飾をモチーフに、人々が過去の時代をミニチュアのように眺めながらその時代に想いを馳せる様子を、全10エリア・総勢98体のキャラクターが織りなす高密度で情報量の多い「ごちゃ絵アート」として表現しています。

◎エリア別の詳細説明(イラスト右部の「①十畝の間」から番号順に解説)

1)十畝の間

披露宴を行っている様子が描かれています。八重桜、雀、桐、オナガドリなど、部屋の天井に描かれていた「四季の花鳥図」から飛び出した花や鳥が2人の幸せを祝福しています。花嫁は格式高い「黒引き振袖」を着ています。

2)漁樵の間
チャップリンが来日し、旧目黒雅叙園で天ぷらを食した際の逸話が描かれています。テーブルの周囲には通訳の方や旧目黒雅叙園で働く女中、取材をしている新聞記者が描かれています。(※チャップリンが旧目黒雅叙園に訪れた件は、翌日にニュースとして報道されました)

3)草丘の間

同窓会が開かれている様子が描かれています。机の上には、円卓を囲んで大皿に盛られたコース料理を食べる特徴を持つ長崎の卓袱(しっぽく)料理が並んでいます。 草丘の間は、天気のいい日には富士山が見え、昼間の宴会で人気の部屋でした。

4)静水の間

両家顔合わせの様子が描かれています。この部屋の壁や天井に描かれた扇が舞い立ち、その扇に描かれたウグイスや鶴もまた羽ばたいていく様子が描かれています。

5)星光の間

日本が発祥と言われている「料理取分け用の円卓テーブル」とそれを囲う家族の様子が描かれています。人生ではじめて食べる中国料理や、旧目黒雅叙園の名物である「鯉の丸揚げ」に驚いた人も多いというエピソードも合わせて表現されています。

また、旧目黒雅叙園はお客様に安心してお食事を楽しんでいただくために、価格を明確に提示する「明朗会計」を当時としては珍しく導入していたことから、お客様が楽しそうに料理を注文している様子も描かれています。

部屋内に描かれた桃や西瓜、稲などは全て「実りのあるもの」で、この部屋の壁や天井に実際に描かれているものです。

6)清方の間

太宰治が旧目黒雅叙園に訪れたエピソードをもとに、「作家が創作のインスピレーションを受ける空間」が描かれています。歌舞伎の主人公「白井権八」や歌舞伎俳優「9代目市川團十郎」が壁から飛び出し、創作のヒントやアイディアを作家にもたらす様子が描かれています。

執筆に臨む太宰治の隣には、太宰治に想いを馳せながら太宰の作品を読んでいる現代人が描かれています。 部屋の手前側では、この部屋の壁に鏑木清方が描いた美人画の女性が美しく舞っており、この舞いの様子も「旧目黒雅叙園という空間で過ごすことで新しいアイディアが浮かぶ」というメタファーとして描かれています。(※実際に、太宰治は旧目黒雅叙園を舞台とした「佳日」という作品を残しています)

7)頂上の間

京都画壇の大家である西村五雲に依頼をしたものの作品を描く前に他界してしまったエピソードをもとに、現在も彼が「どんな絵を描こうか」と想像を膨らませながら扇に筆を入れようとしている様子が描かれています。日本の家屋には、人目につかない場所にあえて未完の場所を作るというげん担ぎがあったように、この頂上の間では「未完成の美」が表現されています。

現代人が過去の人と同じポーズで外を眺めている様子には、未完成の文化財「百段階段」の逸話になぞらえて「どんな時代であっても、これからも完璧を目指して一層発展していく」という気持ちを込めています。

8)階段廊下
文化財「百段階段」の各部屋に描かれている「旧目黒雅叙園の過去」を体験しようと、現代の来場者が階段を上っている様子が描かれています。 昭和初期の当時の人々は等身が小さく描かれており、階段上には現代と過去の人がそれぞれ大小入り混じるように描かれています。

9)龍と鳳凰、海から向かう船
旧目黒雅叙園から使われているシンボルマークに描かれている「龍と鳳凰」が描かれています。左手には「漁樵の間」の床脇に菊地華秋により描かれた、船の上から紅葉を楽しんでいる人々の様子が表現されています。

画像: 過去の人を現代人が眺めるのと同時に、現代人自身もが未来の人に眺められている“入れ子構造”

過去の人を現代人が眺めるのと同時に、現代人自身もが未来の人に眺められている“入れ子構造”

10)未来から現代と過去を眺める未来人

旧目黒雅叙園をミニチュア的に眺めている現代人を、さらに俯瞰して眺める未来人の様子が描かれています。「現在にも過去の日本文化が受け継がれていったように、未来にも文化が脈々と受け継がれていくのでは」という想いから、着物を装う未来の人が描かれています。

過去をミニチュアのように眺める現代人も、いつかは未来の人から小さなものとして眺められる側の存在に変わっていくという「入れ子状の構造」で、過去に想いを馳せる豊かさを表現しています。

みどころ1.19人の作家や蒐集家による多彩なミニチュアが集結

身近な食品や、いつも持ち歩いているコスメ、日本の街の風景など、日頃見慣れた物や景色をそのまま縮小したような再現性の高い現代作品や、イギリスで1700年代後半に作られたドールハウス、元建築士という経歴を生かし、遠近法を用いてつくられたミニチュアハウスなど、ジャンルの異なるおよそ1,150点の作品を一挙公開。顔を近づけ、目を凝らし、その精緻な技を鑑賞したり、はるか天空から景色を眺めているような感覚で、俯瞰して全体を見渡したりと、さまざまな視点で愉しめるのも、ミニチュアの魅力のひとつです。テーマの異なる会場を巡りながら、ご自身の愉しみ方を見つけてみてください。

みどころ2.贅を極めた芥子雛を愛でるひな祭り

展示会場の一室、静水の間に所狭しと並ぶのは、今から100年以上前、江戸期の高級人形店「七澤屋」の雛道具や芥子雛など。雛道具研究家 川内由美子のコレクションより、約1,000点をお愉しみいただけます。実物と同じ工程をふんでつくられた七澤屋のお道具や、指先でようやくつまめるほどの木製のひな人形など、精巧なつくりと遊び心が溢れる仕掛けに往時の人々は心を奪われました。ちいさな仕掛けを発見した時の喜びが人々を魅了する今回の展示には、古くからのコレクションだけでなく、有職彩色絵師として活躍する林美木子による現代の作品も。およそ5㎜の貝殻に源氏物語54帖が描かれた合わせ貝は必見です。

みどころ3.不思議の国に迷い込む名作を文化財建築で体験

不朽の名作「不思議の国のアリス」をモチーフに、ジャイアントフラワーアーティストMEGUにより表現された日本版「Alice in “Wa”nderland」は、暖簾をくぐると、直径約2.5mもの大きな芍薬がお出迎え。先へ進むと、自分自身が小さくなり花畑の中に迷い込んだような空間が広がります。花の香りに包まれながら歩みを進めると、今度は路地裏BOOKSHELF作家 mondeによる文庫サイズの不思議の国のアリスの一場面が現れ、体がちいさくなったり大きくなったりする感覚に陥ります。おとぎばなしの中に入り込んだような錯覚を引き起こす不思議な空間は、フォトスポットとしてもおすすめです。

伝統建築と現代アートの融合

画像: 伝統建築と現代アートの融合

文化財「百段階段」の歴史的な建築美と、現代アーティストによるミニチュア作品が織りなす空間は、どこを切り取ってもフォトジェニック。とても見応えがある作品ばかりで時間の経過があっという間。なにかルーペのようなものを持参するとより職人さんたちの技術の高さに圧倒されるはず。歴史とアートが融合した「ミニチュア×百段階段」は、3月9日(日)までの限定開催。ここでしか見られないちいさな世界をぜひ体験してみてください。

「ミニチュア×百段階段 ~文化財に広がるちいさな世界~」

【期間】2025年1月18日(土)~3月9日(日)※会期中無休
【時間】11:00~18:00(最終入館17:30)
【会場】ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財「百段階段」
【料金】[当日券]一般 ¥1,600 / 大学・高校生 ¥1,000 / 小・中学生 ¥800
【販売】ホテル雅叙園東京 / 公式オンラインチケット
【主催】ホテル雅叙園東京
【お問合せ】03-5434-3140(イベント企画 10:00〜18:00)

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