雨が多くなる梅雨の季節ですが、この季節になるとなぜかいつもより疲れやすい、気分が沈んでやる気が出ない、といった不調を感じることがないでしょうか。実はその不調は「梅雨ダル」と呼ばれる季節性のものかもしれません。
「梅雨ダル」は医学的には低気圧により自律神経のバランスが乱れることが原因とされており、単なる気のせいではありません。 今回は、「梅雨ダル」の仕組みとその対策を、医療法人福岡桜十字 桜十字福岡病院人間ドック・健診センター センター長・医師 髙司由理子氏監修のもと解説していきます。
医療法人福岡桜十字 桜十字福岡病院人間ドック・健診センター センター長・医師 髙司由理子氏
2022年より桜十字福岡病院人間ドック・健診センターのセンター長を務める。放射線科診断専門医、検診マンモグラフィー読影認定医として、福岡桜十字のピンクリボン活動の拡大に寄与。
「梅雨ダル」が起こる仕組みとは
梅雨の季節に起こる慢性的なだるさ、気分の落ち込み、頭痛といった心身に現れるさまざまな不調のことを言う「梅雨ダル」。これらの症状は医学的に以下の要因により引き起こされると考えられています。
• 気圧の変化によって自律神経のバランスが乱れやすくなる
• 日照時間の減少により脳内のセロトニン分泌が減少し、気分が落ち込む
• 高湿度・気温差により体温調節機能や消化機能が低下する
気圧の変動は自律神経に大きく影響します。耳の奥にある内耳は気圧の変化を感知する働きを持ち、気圧が急激に下がり交感神経が刺激されると血管が収縮し、頭痛・肩こり・めまいなどの症状が現れやすくなります。一方で気圧の低下によって副交感神経が優位になると血管が拡張し、無気力や眠気、片頭痛などの症状を起こします。
単なる「季節のせい」にしてしまいがちな不調ですが、これらは科学的根拠のある現象です。特にストレス耐性が落ちている時期や、女性のホルモンバランスが揺らぎやすい時期（月経前、更年期など）には症状が出やすい傾向があります。梅雨を快適に過ごすには早めにセルフケアをすることが大切です。
自宅でもできるセルフケア
では、どのようなセルフケアを行えばいいのでしょうか、髙司由理子医師は以下のセルフケアを紹介しています。
①自律神経を整える基本習慣
• 朝はカーテンを開けて日光を浴び、セロトニンを活性化
• 就寝・起床時間を一定にして生活リズムを保つ
• 日中の軽い有酸素運動（ウォーキングなど）を取り入れる
• 室温26〜28℃・湿度50〜60％を目安に快適な睡眠環境を整える
②不調時のポイントケア
• 耳の周りのマッサージで血行改善
• カフェインは適量に。偏頭痛を悪化させる場合もあれば、軽減させる場合も
• 水分と塩分を適切に補い、低ナトリウム血症の予防を
③梅雨時に取りたい栄養素
• 腸内環境を整える発酵食品：納豆、キムチ、ヨーグルト
• 抗炎症作用のある青魚、オメガ3系オイル、トマト
• 疲労回復に効くビタミンB群：豚肉、玄米
• 脾（ひ）を補う（消化機能を助ける）：山芋、はと麦
• 気を巡らせる：しそ、みょうが、ねぎなど香味野菜
ゆらぎ世代の女性のためのチェックコースが開始
今回「梅雨ダル」について解説してくれた髙司由理子医師が所属する桜十字福岡病院では、ゆらぎ世代にオススメな検査項目を加えたプレミアムレディースチェックコースを開始しています。
40歳を過ぎたあたりからの急な感情や体調の変化を女性特有の“ゆらぎ”と呼び、ホルモンバランスの変化によって様々な症状が引起こされます。このコースでは頭部MRI、低線量肺がんCT、腹部CT検査での全身チェックに加えて、乳がん検診(マンモグラフィ―+ 乳腺エコー)や子宮頚がん検診、ホルモンチェック (血液検査)、エクオール検査(尿検査)、骨密度検査を行います。詳細は以下のU R Lより。
https://www.mrso.jp/fukuoka/fukuoka-chuo/sakurajuji-fukuoka-hospital/plan/54224/
様々な不調を感じる梅雨の季節。今回紹介してもらったセルフケアを参考にして対策を行っていきましょう。
